横浜女子大生殺害 伊藤被告に懲役18年判決
2023年6月、大学生の冨永紗菜さん(当時18歳)を横浜市鶴見区のマンションで殺害した罪で起訴されていた、元交際相手の伊藤龍稀被告(23)の裁判員裁判で、横浜地裁は懲役18年の判決を言い渡しています。求刑は懲役20年でした
同種の事件では懲役20年というのが判決の相場です。ここから2年を割り引いたのは、「男女交際のもつれであり、女性の側にも落ち度があった」と裁判官や裁判員が考えた結果ではないか、と思われます
■ドライブレコーダーに残された言葉「もう殺そう。懲役行こっかな」
事件が起きたのは去年6月。横浜市鶴見区のマンションの駐車場で伊藤龍稀被告(23)は冨永紗菜さん(当時18)を包丁で刺し殺害した。
きっかけは2人の別れ話だった。事件の7日前に口論がきっかけで伊藤被告から暴力を振るわれた冨永さん。それまでも暴力を振るわれ、別れては復縁するということを繰り返していたが、この日暴力を受け「完全に別れたいと言った」(証人尋問での父の証言)という。ただ伊藤被告の考えは違った。
弁護士:どのような交際状況だと認識していたか
伊藤被告:無理と思ったが、形式上は付き合っていた
弁護士:どうしたかった?
伊藤被告:よりを戻したかった
その後もSNSなどを通じ執拗に復縁を迫った伊藤被告。事件前日には冨永さんに「やめて」と言われていたアルバイト先の飲食店に押しかけてまで復縁を迫っている。嫌がる冨永さんの声に伊藤被告が耳を傾けることはなく、身勝手な思い込みを続けた。
検察官:SNSで『怖いからやめて バイト先に来るのもやめて』と紗菜さんが送っているが本当に怖がっているとは思わなったのか?
伊藤被告:思わなかったです。そう言うことで龍稀くんが強く出れないと思ってる、とだけ
アルバイト先に押しかけた伊藤被告は冨永さんとその両親と話をしたが、結局冨永さんから「別れたい」と告げられた。
伊藤被告:別れを告げられると思ってなくて本当に驚いた。開いた口がふさがらなかった
この帰り道の車の中で伊藤被告が一人口にした言葉がドライブレコーダーに残されていた。「いや、もう殺そう。懲役行こっかな」
■「包丁で脅して戻ってきてもらおうと…」犯行直前まで殺害は「実行しようと思わなかった」
事件当日の朝、伊藤被告は凶器の包丁を量販店で盗むために車を走らせた。
車内のドライブレコーダーには「必ず刺さないと。未遂で終わったら、紗菜がハッピーになるだけ」と殺意を窺わせる言葉が記録されている。
しかし伊藤被告は法廷で「実行しようと思わなかった」と話し、包丁は脅すために使おうと考えていたと明かした。
伊藤被告:普通じゃだめなので包丁で脅して戻ってきてもらおうとした
弁護士:本気でそう思った
伊藤被告:当時は思った
冨永さんの自宅に着いた伊藤被告は返していなかった合鍵を使い自宅に侵入。寝ていた冨永さんを起こし2人で話すために部屋を出た。
このとき冨永さんは母親に伊藤被告が部屋に入ってきたことを伝え、母親は外出していた父親に連絡している。
父親は「警察に連絡するよう伝え家に向かった」というが、「かわいそうだから警察に連絡しないで」という冨永さんの考えを家族は尊重し、警察に連絡しなかった。
だが、「かわいそうだから」と思う冨永さんの気持ちは伊藤被告に届かなかった。
(以下、略。TBSニュースの記事から引用)
このTBSの記事には法廷でのやりとりが記されているため、引用しました
ストーカーまがいにつきまとう男に対し、「かわいそうだから警察に連絡しないで」と、一片の同情を寄せた結果がこれです。もちろん、それで紗菜さんを責めるのは間違いで、伊藤被告は紗菜さんの心遣いを最後まで理解できなかったところが大いに問題ですし、殺害を正当化できるものではありません
おそらく紗菜さんは伊藤被告から不幸な生い立ち、少年時代の陰惨な体験を聞かされ、心の底から同情していたと推測されます。なのでそこは紗菜さんの思いやりであり、やさしさだったと受け止めましょう
冒頭で述べたように、この種の事件では懲役20年が量刑の相場となっていますので、2年も割り引く必要があったとは思えません。伊藤被告に斟酌すべき事情、理由があったとは認められないので
となれば、「被害者の側にも落ち度があった。被害者が露骨に拒絶せず、被告と話し合っていれば殺害に至らなかった可能性がある」とでも考えたのでしょうか?
これだけの事件を起こしたのですから、求刑通り懲役20年で何ら問題はないと自分は思慮するのですが
伊藤被告は法廷でこそ神妙な態度を示していたのでしょうが、心の中では「あのバカ女、殺したくらいでは足りねーぞ」と恨みつらみを繰り返していたのかもしれません。控訴せず、判決を受け入れるのでしょうか?
追記:伊藤被告の弁護人は被告の抱えていた発達障害が事件に大きく影響した、として減刑を求めていたようです。どのような主張であったのか、現時点で確認できる報道が見つかりません。もし見つけたなら取り上げるつもりです
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