四谷大塚盗撮事件 NHKスペシャルの取材に応じる
NHKスペシャル「調査報道・新世紀」取材班が、四谷大塚盗撮事件で懲役2年保護観察付き執行猶予5年の判決を受けた森崇翔元被告に接触し、手紙をやり取りを介して、彼の言い分・考えを聞き取ったと報じられています
この取材をまとめた番組、NHKスペシャル「調査報道・新世紀 File3 子どもを狙う盗撮・児童ポルノの闇」は6月15日夜10時まで、NHKプラスで視聴できます
なぜ彼は盗撮に手を染めたのか? 元講師から届いた7通の手紙
元講師の手紙
「成人を恋愛対象とする人と、子どもを恋愛対象とする人、どちらになりたかったかと問われれば、迷いなく全員前者を選ぶでしょう。にもかかわらず、気づいたら後者になっていたわけです。小児性愛者は世間の嫌われ者です。社会の敵です。なりたくてなったわけじゃないのに、なぜこんなに嫌われなきゃいけないのか、そういう不満も持っているのです」
元講師は、自身を「小児性愛者」と捉えていました。
子どもに性的な関心を持つ人の中には、精神障害の1つである「小児性愛障害」と診断される人もいます。
通常13歳以下の子どもを対象として性的興奮をもたらす強い空想、衝動、または行動が反復的にみられることが特徴とされます。
もちろん、小児性愛障害の診断を受けた人が必ずしも加害行為をするとはかぎりませんし、子どもに性加害をした人すべてが小児性愛障害であるともかぎりません。
元講師の手紙
「私は大学生のころに、小学生の女の子に一目ぼれしました。ただ、好きといっても、おつきあいしたい、という感情ではないです。その子を強姦して自分のものにしたいという感情です。だから恋愛感情とは少し意味が違うかもしれません。私は自分の欲望を文字に起こすことで、実際に性加害をしたいという気持ちを抑えていました」
本来、性行為は、対等な相手と双方の合意のうえで行われるはずです。
元講師が抱いていた感情は、恋愛とは別のもので、暴力的な欲望が背景にあったと感じました。
誰にも言えない欲望を抑えるために、元講師が始めたのが、インターネットに自作の小説を投稿することでした。
ところが、投稿を続けていると、いまでも脳裏を離れないという出来事が起きたと言います。
読者の1人から、子どもが性被害に遭っている姿が映った動画が送られてきたのです。
元講師の手紙
「小説執筆の応援として低学年の女の子が被写体となった児童ポルノ動画を2本送ってもらい、それを見たときは感無量でした。だって、本物の小学生なんですから。それ以来、私は子どもを被写体とした漫画には見向きもしなくなり、ひたすら児童ポルノ動画を探すようになりました」
一方、手紙では、塾に就職したのは望んで選んだわけではなかったと語りました。
元講師の手紙
「もともと塾に就職するつもりはありませんでした。塾に就職すればいずれ子どもに性加害をしてしまうことはわかっていました。5年程度の間なら我慢できるかもしれません。ただ、定年まで40年間となると、子どもに性加害をすることなく定年を迎えることは全く考えられませんでした。0%だと思っていました。だからこそ、教育業界を避けていたのです」
志望していた業界は人気が高く、40社以上受けたものの、すべて不採用になり、塾に唯一内定をもらえたため、就職したと説明しました。
(中略)
現在は、性犯罪歴のある人が通う専門のクリニックに通院しながら、自宅で生活を続けています。
罪を背負いながら、再犯しないように暮らしていってほしい。その思いを込めて、最後の質問を送りました。
盗撮した生徒たちに対して今、どんな思いなのか――。
元講師の手紙
「申し訳ないと思っているに決まっています。被害生徒に限らず、生徒はみんないい子たちばかりでした。でも盗撮行為はバレない限りは、相手を傷つけることなく性欲を満たせられる手段だということに気づき、何の罪悪感もなく繰り返してしまったのです。おそらく相当ショックを受けたと思います。先生から盗撮されただけでなく、その盗撮動画を個人情報とともに、変質者たちに売られたということは、今後大人を信用することができなくなるほどのショックだったと思います」
最後の手紙で反省の弁を語った元講師でしたが、合わせてつづられていたのは、事件の報じ方への不満でした。
元講師の手紙
「●●●●(あるメディア)が報道した1枚の写真によって、事件のあった校舎がバレ、近隣の小学校では一部の男子たちが四谷大塚のその校舎に通っている女の子たちに『お前、盗撮された?』などと聞いて回ったそうです。その時の被害生徒の気持ちを考えると、言葉にならないですよね。ロリコン講師と報道されたときは、大きな憤りを感じました。ロリコンの性的対象は13歳から17歳で、ペドフィリア(小児性愛者)の性的対象は0歳から12歳。わかりますか?全然違うわけですよ。私の性的対象は4歳から12歳の男子と女子。ロリコン要素は一切ないわけです」
(以下、略)
NHKの取材班が受け取った手紙をベースに構成されており、いわば森元被告の言い分オンリーです。記事からの引用では省略しましたが、記事の最後に精神科医で国際医療福祉大学の小畠秀吾教授が森元被告の手紙とそこに開陳されている言い分について、コメントをつけています。小畠教授は「小児性愛者であることが問題ではなく、性犯罪をしたことが問題」と指摘し、森元被告が自身の性犯罪にきちんと向き合おうとしていないと述べています。これには自分も同意します
NHKの記事には森元被告からの手紙が写真で掲示されているのですが、それを見ればやや癖はあるものの整った文字で、書き誤りなどなく、何度も書き直し清書した上でNHK宛てに発信したものと推測されます。手紙がNHKスペシャルの中で公開されるのを前提に、練りに練った内容をしたためたのでしょう
ただ、小畠教授の言うように、自己弁護や自己欺瞞、責任の転嫁などなど並んでおり、被害者の親御さんたちが見れば「そうじゃないだろ」と言うはずです
森元被告は認知行動療法を受けていますが、まだまだ認知のずれや歪みが大きいのが判ります。つまり、自分の中で「こうだ」との思い込みに囚われており、被害者の親御さんたちが欲するような反省の段階にはまだ到達しないままなのです
この先、認知行動療法でどこまで修正できるのか、と思うばかりです
必ずしも森元被告の現時点での認識を全否定し、バケツの水を頭からぶっかけるような真似をする必要はないものの、彼が自分の思い込みに執着し、「自分はもう十分反省したから」と認知行動療法の継続を辞めてしまったなら、何の自己変容もなく、内省も深まらないままでしょう。そして再犯に至るのではないか、と懸念します(森元被告にすれば、「余計なお世話だ」と言うはずです)
NHKの記事には森元被告からの手紙が写真で掲示されているのですが、それを見ればやや癖はあるものの整った文字で、書き誤りなどなく、何度も書き直し清書した上でNHK宛てに発信したものと推測されます。手紙がNHKスペシャルの中で公開されるのを前提に、練りに練った内容をしたためたのでしょう
ただ、小畠教授の言うように、自己弁護や自己欺瞞、責任の転嫁などなど並んでおり、被害者の親御さんたちが見れば「そうじゃないだろ」と言うはずです
森元被告は認知行動療法を受けていますが、まだまだ認知のずれや歪みが大きいのが判ります。つまり、自分の中で「こうだ」との思い込みに囚われており、被害者の親御さんたちが欲するような反省の段階にはまだ到達しないままなのです
この先、認知行動療法でどこまで修正できるのか、と思うばかりです
必ずしも森元被告の現時点での認識を全否定し、バケツの水を頭からぶっかけるような真似をする必要はないものの、彼が自分の思い込みに執着し、「自分はもう十分反省したから」と認知行動療法の継続を辞めてしまったなら、何の自己変容もなく、内省も深まらないままでしょう。そして再犯に至るのではないか、と懸念します(森元被告にすれば、「余計なお世話だ」と言うはずです)
番組の意図した「彼はなぜ盗撮に手を染めたのか」が、十分に解明されたとは言えず、中途半端に終わっているのが残念です
欺瞞と責任転嫁
最後に自分が欺瞞や責任転嫁と考える点をいくつか列挙しておきます
1 高校生時に児童へのわいせつ行為で少年院送致になっているが、その事実をスルーし触れていないのはなぜか?
2 塾への就職=児童との接触であり、そこには児童へのわいせつ行為狙いの意図があったのでは?
3 会社への不満から盗撮に至ったとの説明は事実なのか。会社のせいにしているだけで、本当は自身の性衝動を抑えられなかったからなのでは?
4 ロリコンとペドフィリアの区別に執着しているが、世間一般からすれば両者は同じであり、こどもを性的に蹂躙する卑劣な性犯罪者扱いなのだが、そこをどう認識しているのか?
欺瞞と責任転嫁
最後に自分が欺瞞や責任転嫁と考える点をいくつか列挙しておきます
1 高校生時に児童へのわいせつ行為で少年院送致になっているが、その事実をスルーし触れていないのはなぜか?
2 塾への就職=児童との接触であり、そこには児童へのわいせつ行為狙いの意図があったのでは?
3 会社への不満から盗撮に至ったとの説明は事実なのか。会社のせいにしているだけで、本当は自身の性衝動を抑えられなかったからなのでは?
4 ロリコンとペドフィリアの区別に執着しているが、世間一般からすれば両者は同じであり、こどもを性的に蹂躙する卑劣な性犯罪者扱いなのだが、そこをどう認識しているのか?
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