飯塚事件第2次再審請求 再審を認めない判決
1992年、飯塚市で女児2人が殺害され遺体で発見された「飯塚事件」で殺人罪などに問われ、2008年に死刑が執行された久間三千年元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求裁判で、福岡地裁は請求を認めない決定を言い渡しています
この事件については一部のメディアが冤罪説を唱え、新たな証言の発掘などを取り上げて大々的に報道していました
ただ、そうしたメディアの報道には「飯塚事件は冤罪であったほしい」とのバイアスが働いており、死刑判決への疑問ばかりを列挙し、久間死刑囚をあたかも「善良な市民」のように描き出そうとする節があります
まとめサイトの中には久間死刑囚を「善良な夫」と表現しているところもあるわけですが、実際は妻を勤め先へ送って後はパチンコ屋へ入り浸っており、無職でした。事件当時52歳で、年金を受け取っていたとの話もあるのですが、詳細は不明です。52歳で年金が受給できるとすれば障害者年金でしょうが、障害者認定を受けていたのかどうか、判然としません
福岡県飯塚市で1992年に小学1年の女児2人が殺害された「飯塚事件」で略取誘拐や殺人罪に問われて死刑が確定し、2008年に執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(執行時70歳)の第2次再審請求審で、福岡地裁は5日、裁判のやり直し(再審)を認めない決定を出した。弁護側が「新証拠」として提出した2人の事件当日の目撃証言について、鈴嶋晋一裁判長は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠とは認められない。再審請求は理由がない」と述べた。
死刑執行後に再審開始決定が出た例はなく、地裁の判断が注目されていた。弁護側は決定を不服として10日までに即時抗告する方針。
殺人罪に問われた久間元死刑囚は94年の逮捕時から一貫して無罪を主張。06年9月に最高裁で上告が棄却されて、その後死刑が確定し、再審請求の準備中だった08年10月に刑が執行された。09年10月に妻が1回目の再審請求をしたが、地裁が再審を認めず、福岡高裁と最高裁も支持した。妻が21年7月に2回目の再審請求をしていた。
第2次再審請求審の焦点は、確定判決で被害女児2人の「最後の目撃者」とされた当時20代の女性の新証言の信用性だった。弁護側は、女性が「見たのは当日ではない。当時も捜査当局に『その日に見たのか、はっきりしない』と説明したが聞き入れてもらえなかった」などと述べた供述録取書を新証拠として提出。女性の当時の目撃証言を基に連れ去り現場と時間を認定した確定判決は「誤りだ」と主張し、再審開始を求めた。
一方、検察側は「被害女児の目撃供述の重みを抱えきれなくなり、『記憶違いだった』と思い込むようになった。信用性はない」などと反論し、請求棄却を求めていた。
確定判決は、元死刑囚と事件への関与を示す直接的な証拠はないとしつつ、複数の状況証拠を総合的に検討。当時20代の女性の最後の目撃証言を基に、2人は「事件当日の午前8時半~50分ごろ」に「飯塚市の三差路付近」で連れ去られたと認定。その上で①元死刑囚の車と特徴が似た紺色のワゴン車が「三差路付近」と、衣類など遺品の遺棄現場の両方で目撃されていた②元死刑囚の車に血や尿の痕があり、血痕は被害女児1人と血液型が一致した――ことなどを認定し、元死刑囚を有罪と判断した。
(毎日新聞の記事から引用)
毎日新聞は冤罪説を支持する側なので、原判決批判を中心とした記事になっています
記事の文末にあるように、原判決では久間死刑囚が事件当時使っていた車からは血液の痕跡や尿の痕跡が発見され、これを久間死刑囚が犯人である証拠の1つとしています。いかにメディアが冤罪説を唱えようと、これは否定できない事実です
事件当日、久間死刑囚が車を念入りに洗車していたのも目撃されています。証拠隠滅を図るための行動、と解釈されます
また、取り調べ段階で「不利になるから」と思ったのか、久間死刑囚とその妻がいくつもの嘘をついていた点も見逃せません。一例として、女児の遺体には犯人のものと推認される血液が残されていたのですが、これは男性性器から出血したものと考えられました。当時、久間死刑囚は性器に炎症があり、治療薬をしばしば薬局で購入していたのですが、取り調べに対しては「炎症はあったが事件当時は治っていた」と嘘の供述をしています。薬局の従業員が久間死刑囚の顔を覚えており、事件の前後にも治療薬を購入に来店していたと証言し、久間死刑囚の嘘がバレています
また、取り調べ段階で「不利になるから」と思ったのか、久間死刑囚とその妻がいくつもの嘘をついていた点も見逃せません。一例として、女児の遺体には犯人のものと推認される血液が残されていたのですが、これは男性性器から出血したものと考えられました。当時、久間死刑囚は性器に炎症があり、治療薬をしばしば薬局で購入していたのですが、取り調べに対しては「炎症はあったが事件当時は治っていた」と嘘の供述をしています。薬局の従業員が久間死刑囚の顔を覚えており、事件の前後にも治療薬を購入に来店していたと証言し、久間死刑囚の嘘がバレています
再審を申し立てること自体を批判するつもりはないものの、「冤罪ありき」でバイアスのかかった報道をするのはいかがなものか、と思います。新たな目撃証言をことさら大きく取り上げ、死刑判決をひっくり返す決め手のように持ち上げるのは首を傾げざるを得ません
新たに真犯人だと名乗り出る人物が現れるとか、第三者による犯行を示す物的証拠が発見されるとかしないと、「原判決を覆すに足るあらたな事実」とは言えないわけで
飯塚事件に関する本がいくつも出ていますが、それらは飯塚事件=冤罪事件との前提で書かれています。原判決に疑いを抱かせるよう読者を誘導する意図が込められている、と理解した上で読まないと、冤罪説を信じ込まされてしまいます
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