横浜市教育委員会が裁判の傍聴を妨害　続報

事件を考える
横浜市立小学校の校長が女子児童を校長室に招き入れ、わいせつ行為をした事件では横浜地裁が懲役１年６月執行猶予３年（求刑懲役２年）の判決を下しています
この事件を含む、複数の横浜市教員によるわいせつ事件の公判に、横浜市教育委員会は職員を派遣し、傍聴席を埋めて一般傍聴人を公判廷に入れないようにする工作を実施していました
教育委員会職員は仕事に取り組むべき時間に持ち場を留守にし、交通費の支給を受けた上で横浜地裁に出向いていたのであり、公判の傍聴を組織的に妨害していたものと推認されます
共同通信記者のその辺りを取材し、記事にしていますので取り上げます


裁判の傍聴席が満員「この人たちはどこから来たのか？」違和感から重ねた取材　地裁に通い続け、尾行、質問状、記者会見。粘り強く不祥事を明らかにした２か月半
（前略）
１５日夕、市教委教職員人事課長から口頭で「第三者の傍聴で被害児童・生徒の情報が拡散することを恐れ、複数部署に傍聴を呼びかけた」と回答があり、１７日夜、「今後はもうしない」とする正式な書面回答がなされた。市教委自ら、動員には問題があったと認めたのだ。
そして、専門家への取材依頼や、記事の準備を進めていた５月２１日の正午前。課長から突然「本日午後発表する」と連絡が入った。聞けば「質問状が届いた７日以降、内部で傍聴動員の適切性について検討を進めた結果だ」という。取材が契機にもかかわらず、記事を封じるようなかたちでにわかに発表となったことに強く抗議し、準備していた記事で報じた。
▽「結果的に加害者を守っているように見えてしまうかもしれないが、被害者側の視点に立っている」？
ふたを開けてみれば、共同通信への回答では「回答できない」「記録は取っていない」としていた、動員開始時期や、動員対象事件が何件あったかも、記者会見では公表された。２０１９～２０２４年度にかけて、４事件、計１１回の公判に１回当たり最大５０人を送り出していたと陳謝した。
市教委は記者会見後、２０２４年１月３０日付で「関係部長」宛てに出された「協力依頼」の文書を公開した。
「教職員による不祥事事案にかかる公判が２月に予定されています。当該事案は、児童の人権に関する事案であり、被害児童保護の観点から、部外者による児童の特定を避ける必要があります。つきましては公判の傍聴について、職員の動員をお願いします」
その上で、注意事項を記していた。
・関係者が集団で傍聴に来たことをわからないようにするため、裁判所前の待ち合わせは避けてください。また裁判所内で、お互いに声かけや挨拶（会釈を含む）などはしないようにお願いします。
・ドアが開いたら入室し、１番前の列から座り、席を埋めてください。
・裁判所内や裁判所近くで、被害者名や学校名などの口外は控えてください。
動員が明るみに出ないように指示しており、身内の事件を外部に知られまいとする強い意志がうかがえる。
「憲法が定める〝裁判公開の原則〟をないがしろにしたのではないか」―。各社から厳しい質問が相次いだ会見は２時間半以上に及んだ。被害児童・生徒の保護目的と言いつつ教員以外から性暴力を受けた場合には傍聴動員をかけていなかったことや、動員による傍聴を業務として扱い職員に交通費を支給していたことも露呈した。
（以下、略。共同通信の記事から引用）


本当に４つの事件、計１１回の公判だけに職員を派遣し、傍聴席に座らせたのでしょうか？
実際はもっと多くの事件で職員を派遣していたのではないか、との疑いが浮上します
しかも、本来は自分の職場で職務に当たってるべき時間に、およそ職務とは考えられない裁判の傍聴に出向いていたのであり、その時間分の給与を返納すべき事案です。いわば仕事をさぼってパチンコ屋へ行ってたのと同じです
裁判の傍聴を「職務の一環」として動員をかけた横浜市教育委員会の部長なり、課長の責任も問わなければなりません。このまま誰も責任を負わないで有耶無耶にするなど、とんでもない話です
前回も書いたように、横浜市議会は是非ともこの問題を追及し、４つの事件の計１１回の公判にのみ職員を派遣したのか、問い質す必要があります。交通費を支給しているのですから、記録は残っているはずです。同じ日付けで１０人～１５人もの職員に同じ額の交通費が支給されていたなら、裁判所へ出向いた可能性が考えられます
性犯罪の場合、被害者を匿名扱いする必要は十分に理解できます。しかし、加害者を匿名にしなければならないケースというのは限定的であり、今回の事件のように学校長名が公になったからといって、直ちに被害者が特定されるものではないはずです。懲戒処分でも懲戒対象となった教員の名前が伏せられたままだったりするのは、納得できません

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