三春町ひき逃げ殺人 最高裁は無期懲役を支持
殺人など重大事件は裁判員裁判で審議されます。裁判員を何人も招集し、公判を重ねて判決を下すのですが、この裁判員裁判の判決を控訴審である高等裁判所はあっさりとひっくり返すのがしばしばです
となれば、何のための裁判員裁判なのか、と思ってしまいます。裁判員の時間や公判に立ち会う心労などを費やして出た判決を、高裁判事がひっくり返して無にしてしまうなら、最初から地裁の判事だけで裁判をやればよいのでは?
裁判員制度を土足で踏みにじるような真似を高等裁判所、最高裁判所が平気で行っているのですから、首を傾げざるを得ません。高裁判事は「裁判にシロートが口出しするんじゃねえ!」と腹の中では思っているのかもしれません
福島県三春町で刑務所を出所したばかりの盛藤吉高被告が「刑務所に戻りたい」と思い、トラックを盗んで人をはねれば有罪判決で刑務所に戻れると考え犯行に及んだ結果、地域の清掃活動に従事していた男女2人を轢き殺した事件の続報です
1審では死刑判決が下されましたが、2審の仙台高裁はこれをひっくりかえし無期懲役判決でした。最高裁に上告した結果、最高裁も「死刑の選択が真にやむを得ないとまでは言い難い」として無期懲役を支持しています
福島県三春町で2020年、面識のない男女2人をトラックではねて殺害したとして、殺人や道交法違反(ひき逃げ)などの罪に問われた盛藤吉高被告(54)の上告審で、最高裁第1小法廷は死刑を求刑していた検察側の上告を棄却する決定をした。27日付。裁判員裁判で審理された1審福島地裁郡山支部の死刑判決を破棄し、無期懲役とした2審仙台高裁判決が確定する。
5人の裁判官全員一致の結論。決定理由で堺徹裁判長は、被告が2人を殺害しようと周到に準備していたとは言えず「死刑の選択が真にやむを得ないとまでは言い難い」とした。
21年6月の1審判決は、事件2日前に出所していた被告が刑務所へ戻るために犯行に及んだと指摘。「人命軽視が甚だしい」として死刑を適用した。しかし昨年2月の2審判決は、場当たり的な動機や計画性を踏まえ「生命の軽視が顕著とまでは言えない」と判断して1審判決を破棄し、無期懲役とした。
(産経新聞の記事から引用)
最高裁がこのように1審の裁判員裁判の判決をないがしろにしているようでは、今後、裁判員となってこの制度のため尽力しようとする国民がいなくなるのでは?
「どうせ2審でひっくり返されるのだから」と思えば、私生活を犠牲にしてまで公判のため裁判所に通う気が失せます
「死刑の判断はプロの裁判官が下すべきで、シロート裁判員が口出しするな」と裁判官たちが考えているのであれば、死刑判決の可能性がある殺人事件や強盗殺人事件などの1審は、地方裁判所の判事だけでやるべきでしょう
裁判所側が裁判員制度の見直しを発議もせず、実質的に裁判員裁判の判決を否定する真似を続けるのは極めて陰湿であり、愚かな行為です
上記の事件でも盛藤被告に更生の意欲など皆無で、被害者への補償もできません。被害者遺族が望むのは、せめて盛藤被告が死刑判決を受けて執行されるくらいなのでは?
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