福島での歩道暴走事故 1億3千万円賠償求め提訴

高齢者の運転する自動車がペダル操作を間違えて暴走したり、道路を逆走して事故を起こすなど、連日のように報道されています
池袋の暴走事故で飯塚幸三受刑者が有罪判決を受け、90歳で刑務所に収監された件の影響で、高齢者の運転免許返納が進んだとも言われます。が、それでも80歳以上で日常的に自動車を運転している人はまだまだ大勢いるのが現実です。中には飲酒して運転していたり、薬を服用して意識朦朧状態で運転するなど、法令を無視した高齢者もいます
2022年、福島市で軽乗用車を運転していた97歳の男性がペダルを踏み間違え、歩道を暴走した挙げ句、女性をはねて死亡させ、他の車にも衝突する事故があり、高齢男性には禁錮3年執行猶予5年の有罪判決が下されました
被害者の遺族がこのほど運転していた男性を相手取り、1億3千万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしたと報じられています


福島市の歩道で2022年、軽乗用車が暴走し5人が死傷した事故を巡り、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪に問われ、有罪が確定した男性(98)に対し、死亡した女性の遺族が計約1億3000万円の損害賠償を求めて福島地裁に提訴したことが28日、分かった。提訴は4月6日付。
事故は22年11月19日に発生。ブレーキとアクセルを踏み間違え、軽乗用車は時速約60キロ超に加速し、女性=当時(42)=がはねられ死亡したほか、車3台に衝突し4人がけがをした。
訴状によると、事故は運転操作の誤りが原因で「重大な過失があることは明らかだ」と指摘。女性の夫は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、目の前で母親を亡くした娘らにも計り知れない精神的苦痛があるとした。
福島地裁は昨年4月、運転していた男性に禁錮3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。
(産経新聞の記事から引用)


この事故について当ブログでも取り上げましたので、詳細は以下の関連記事を参照してください
運転していた人物は歌人として著名な人物であり、97歳でひとり暮らしをしていました。自宅から1キロほど離れたイオン福島店へ車を運転して買い物に行くのが日常だったのでしょう
97歳でひとり暮らしをしなければならない事情、理由は判りません。が、年齢からすれば1人で生活するのは無理です。ましてや、車を運転するのも難しいのであり、事実、この人物は車をぶつけることもしばしばだったと報じられています
買い物代行を依頼するとか、ヘルパーを依頼するとか、代替手段はあるはずです。ただ、本人がそれを嫌がったというだけなのでは?
本件でも訴訟の前に、自動車保険会社から被害者遺族には死亡保険金が支払われているはずですが、その金額に納得できないがゆえに訴訟となったものです
遺族と保険会社との間であれこれ交渉はあったものの、保険会社は査定した金額しか支払いません。その金額に遺族が不満を抱き、加害者に賠償を請求したのでしょうが、加害者側が支払いに応じなかったため提訴した…という経緯です
97歳で交通死亡事故を起こし、人の命を奪ってもなお、お金は払いたくないとする加害者の心情は理解不能です。墓場までお金を持って行きたいのでしょうか?
たとえ多額の賠償金は支払えなくとも、いくらかの金を支払って遺族側と和解する選択をしなかった理由が、加害者側にはあったのか?
加害者はすべてを保険会社任せにし、遺族に対して直接謝罪もしていないとか、遺族側の心情を害する振る舞いがあったのではないか、とも推測できます
本来はそこを取材して記事にしてもらいたいところです。地元の福島民友新聞の記事も確認したのですが、上記の産経新聞の記事とほぼ同等であり、遺族側に取材はしていないままです
裁判所は既に保険会社から支払いを受けた死亡保険金をベースに、それ以上の損害賠償を認めるかどうかを判断するのでしょう。今回、遺族側が請求した金額が過大だと判断すれば減額した額で判決を下します

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