新宿ストーカー殺人 和久井容疑者の独善
新宿のタワーマンション前でガールズバー経営の女性を滅多刺しにして殺害した和久井学容疑者について、精神科医の片田珠美氏がコメントを述べていますので取り上げます
片田氏は和久井容疑者の思い込みの強さ、を指摘します
愛車が象徴する「女性像」
精神科医の片田珠美氏は、注目すべき点として、まず容疑者が所有していた「車とバイク」を挙げる。自身のSNSで21年、「16年間大事にしてきたバイク(NR)」と「20年9カ月乗った車(ホンダNSX)」を手放したことを報告した和久井容疑者。「彼の知人は“車体はいつもピカピカで、かなりのカスタマイズを施した自慢の逸品だった”と話している」(同)という。
「精神分析的には、多くの男性にとって『車は女性の象徴的代理』と捉えられます。男性が所有する車への愛着や嗜好はしばしば女性に対する考え方や扱い方を反映しており、“カスタマイズに凝った”といった報道からは、容疑者の愛着対象への“こだわりの強さ”が窺えます。また“いつもピカピカ”や“車もバイクも真っ赤だった”との情報から愛着対象の外見へのこだわりも強かったことが読み取れます」(片田氏)
長年、カネと労力を惜しまず愛情を注いできた車とバイクを売る決断をしたのも、平沢さんが愛車たちと同等以上の愛着対象となっていたことを示唆しているという。ちなみに和久井容疑者はバツイチで、「約5年前に奥さんが家を出たのは、容疑者が車とバイクに“のめり込み過ぎたから”との話もある」(前出・記者)そうだ。
「それまで車とバイクに向けられていた“パッション(情熱)”が、今度は平沢さんに“恋の情熱”となって向けられるようになったと考えるのが自然です。ただし、“パッション”という言葉には情熱だけでなく、受難という意味もあることからも分かるように、必然的に危険性をはらみます。理由は車やバイクと違って、生身の女性は自分の思い通りに乗りこなすことなどできないからです」(片田氏)
それでも年齢差や境遇の違いなどを気に留めることなく、和久井容疑者が「結婚」を盲信した背景には“2つのキーワード”が隠されているという。
引き金は「二重の喪失体験」
片田氏が続ける。
「願望を現実と混同してしまうことを、精神医学の用語で『幻想的願望充足』といいます。たとえ周囲から“不釣り合い”と映っても、2人は結ばれ、幸せな生活が待っている――。容疑者はそんな幻想を抱いていたと推察され、さらにはフロイトのいう『惚れこみ』の状態にあった可能性も極めて高い。メディアの取材に応じた容疑者の父親が被害者との結婚の話を聞いた時、“やめといたほうがいい”と注意したにもかかわらず、容疑者は“(平沢さんは)可愛くて素直でいい子なんだよ”と聞く耳を持たなかったと証言しています。恋愛対象を過大評価して理想化し、“あばたもエクボ”と無批判に受け入れる状態を『惚れこみ』と呼びます」
恋い焦がれる気持ちが執着へと変わり、ついに“暴発”した背景について、片田氏がこう話す。
「犯行の引き金になったのは、車とバイクの売却、そして店への“出禁”措置で被害者まで失う『二重の喪失体験』だったと考えられます。それまでの生活を支えてくれていた愛着対象をすべて失い、暴発を抑制するブレーキがなくなってしまった。被害者の無念は察するに余りあり、容疑者との詳しいやり取りや関係性については今後の捜査の結果を待つほかありません。ただ、もともと容疑者が通っていた店は“疑似恋愛”と割り切って“恋愛遊戯”を楽しむ場だったのではないでしょうか。容疑者が遊び慣れていなかったためか、女性の営業トークの一部を真に受けたり、都合よく解釈したりした可能性は捨てきれず、事件に後味の悪さを残しています」(片田氏)
(以下、略。デイリー新潮の記事から引用)
ここで問題にされているのが、現実検討能力です。結婚という重大事を前に、一般の人ならさまざまな問題を考え、結婚のメリットやデメリットを比較し、どうやって結婚に漕ぎ着けるかを考えます。さらに結婚後の生活についても考えるはずです
しかし、和久井容疑者はバラ色の幸せな生活への期待ばかりで、何ら現実的な検討をしているようには感じられません。つまりは、現実に即して結婚生活を慎重に吟味し、想定し、検討する能力を欠いているのでしょう。若くて美人な女性と結婚し、新宿のタワーマンションに住み、女性の稼ぎでヒモのような暮らしができると夢見ていたのかもしれません
まるで結婚に憧れ、夢見る乙女と同じです(乙女の方々から怒られるとは思いますが)
おそらく和久井容疑者は今でも甘い夢から覚めておらず、警察の取り調べで、その後の検事調べで何を言われようと、「結婚の約束をしていた」と繰り返すのでは?
そのまま裁判の場でも、「結婚の約束をしていた」と主張しそうです
このように現実が見えなくなった状態であっても、心神喪失状態とは認められませんし、心神耗弱状態で減刑を求めても応じてもらえないはずです
弁護人は法廷戦術として、「和久井被告は結婚の約束を一方的に反故にされた結果、精神的に混乱した状態にあり、いわゆる心神耗弱状態にあったと考えられる」と主張し、減刑を狙いのかもしれませんが
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