旭川夫婦殺傷事件 控訴審でも正当防衛主張

2022年9月、北海道旭川市で、小学生の娘の“いたずら”から30代の夫婦を殺傷したとして求刑どおり懲役25年の判決受けた川口和人被告が判決を不服として控訴していました。隠し持っていたナイフで30代の父親の体を20か所以上刺し、妻にも重傷を負わせた凶悪な犯行なのですが、川口被告は正当防衛を主張し無罪だと争っていました
控訴審でも引き続き正当防衛を主張しているのですが、1審で「反省の態度は一切、見受けられない」と指摘されたのがよほど響いたのか、控訴審に出廷した川口被告は謝罪の弁を繰り返したと報じられています。通常、控訴審では被告人の出廷が義務つけられておらず、弁護人のみが出廷して進められるのがしばしばです


25日午後、札幌高裁で始まった控訴審で、弁護人からの質問に対し、涙を流しながら下記のように答えました。
Q.1審の判決は?
「非常に重いと感じています」
Q.判決文を読んで、違うところはどこだと?
「一番違うなと思いましたのは『全く反省の態度が現れていない』というところです」
Q.1審で、謝罪していないのはなぜ?
「1審では、全て弁護人の指示に従った。記憶のないところの犯罪は、一切、謝罪が必要ないと言われていた」
Q.違和感は?
「もちろん、感じておりました」
Q.家族とはどのように?
「母と姉も私が謝罪したいという話もしていたが、かないませんでした」
Q.一審の弁護士に「反省を言いたい」などと申し立てたことはある?
「確か、2~3回、申し出たことはあります」
Q、今現在、遺族への気持ちは?
「大切な命を奪ってしまいました。大きな傷をつけてしまった奥さん、お父さんを亡くしたお子さん、ご親族の方に心から申し訳ないことをした。謝罪をしたい気持ちでいっぱいです。申し訳ありません」
Q.(犯行時の)記憶はない?
「そのとおりです」
Q.本当に記憶ないのに、真摯に謝罪の気持ちがある?
「大切な人様の命を奪ってしまったと思ってる。心から申し訳ないと思っている。心から罪を償っていきたい」
さらに、検察からの質問に対しては、下記のように答えました。
Q.(50万円の)被害弁償金以外に手紙とかでの謝罪の申し入れはあった?
「直接の手紙、謝罪文はありません」 ※被害者は弁償金を受け取らず
Q.弁護人に見せた手紙を、遺族に見せたい申し入れはしなかった?
「私は、しておりません」
Q.本当に謝罪の気持ちあるなら、まず謝罪での気持ちは表すのでは?
「そのとおりだと思います。言い訳かもしれませんが、刑事事件は初めてで、謝罪金というのも、常識がない人間かもしれませんが、直接、手紙を出せることも知りませんでした。申し訳ありません」
このように、1審では一言もなかった謝罪の言葉を川口被告がくり返し、控訴審は即日結審しました。判決は、5月28日に言い渡されます。
(以下、略。北海道放送の記事から引用)


1審の懲役25年判決に驚き、控訴審には自ら出廷しひたすら謝罪の言葉を述べてはいますが、「正当防衛だから無罪だ」との言い分は変わりません。「正当防衛で無罪ではあるけど被害弁償として50万円支払う」と川口被告は遺族に申し入れたものの無視された格好です
遺族の気持ちを考えれば当然でしょう
「50万円支払うからチャラにしろ」と言われて納得するはずもありません。遺族が望んでいるのはまず川口被告に厳罰を科すことです
川口被告の殺傷行為は過剰なものであり、正当防衛の範囲を著しく逸脱したものと言わねばなりません。殺害された男性は確かにいかつい顔つきだったかもしれませんが、武器など所持していないのですから。それに顔つき、体つきだけで「ヤクザだ」と決めつけた川口被告の判断は大いに疑問です(体つき、顔つきは生来のものであり、それを理由に一方的に攻撃を加えるのは差別と同じです)
上記の記事の中で川口被告は「心から罪を償っていきたい」と述べたようですが、何ら具体性もなく中身のない発言です
控訴審で川口被告は無罪を証明できる証拠、証人を用意できないのですから懲役25年の1審判決がひっくり返って無罪になったりはしません
58歳の川口被告は長年、無職の引きこもり状態で家の周囲に監視カメラを設置し、その画像を眺めながら「自分を攻撃してくる何か」を見張っていたのでしょう
精神鑑定の結果、精神障害は否定されており、この過剰な反応は精神障害ではなく人格の偏奇による誤った対応の結果、なのかもしれません。ただ、被害者遺族にすれば殺害されたという結果が問題なのであって、川口被告の人格、資質、生い立ちなどどうでもよい話です

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