中国アニメは質・量とも向上、という記事

中国メディアが中国アニメを称賛する記事は度々目にします。今回はフランスメディアのAFPの配信記事ですが、よく見ると元記事は新華社であり、結局は中国人記者による自画自賛の内容です。外国の通信社が取り上げる(転載する)にしても、記事の中身を吟味・精査するべきでしょう
「中国アニメが人気だ」と書くのは簡単ですが、その人気の中身が重要です
中国はアニメーション作品の国産化を推進し、その結果、日本よりも多くの作品を毎年生み出しています。しかし、少なくとも自分の知る限り高い評価を受けた作品というのは数点しかなく、大量に生み出される作品のほとんどが日本のアニメファンからすれば観るに値しない駄作、のレベルです
しかし、新華社の報道によれば中国アニメは質・量とも大きく向上していると強調しています


中国のアニメは近年、量・質共に大きく向上している。2023年には主要動画プラットフォーム上で国産の新作129本が配信された。今後も300本近くが公開される。アニメ映画は中国産作品の興行収入が過去5年間の最高記録を更新し、1千万元(1元=約21円)以上が14作品、1億元以上が4作品となり、累計で50億元を超えた。ネットアニメの規模も拡大しており、配信方法のアップグレード、視聴層の入れ替わりにより国内作品にさらに多くの可能性が生まれている。
中国のアニメ産業は、03年に国家広播電視(ラジオ・テレビ)総局に重点支援文化産業の指定を受けて以降、制作数が飛躍的に増加。総生産額は3千億元に近づき、ユーザー規模は4億人を超える。中国伝媒大学アニメーション・デジタルアート学院の王雷(おう・らい)院長は、ここ数年急速に発展する中国アニメが再び勃興期に入ったと指摘した。
業界関係者は、中国のアニメ産業が量から質の段階に入ったと考えている。高品質な作品を安定的に生み出すには、1人が全てを担当する方式をライン作業のフロー生産に転換し、作業内容を細分化して外注する「アニメの工業化」が鍵を握るとされる。
動画配信大手、?哩?哩(ビリビリ)初のオリジナルアニメ作品「時光代理人-LINK CLICK-」は、キャラクター原案を韓国のイラストレーターが作成、美術監督と音楽を日本人が担当し、多くの海外企業に参加を要請した。21年に第1期が配信されると、英語や日本語、韓国語、タイ語などに翻訳され、多くの国・地域で公開。漫画・アニメに特化した国際的なレビューサイト「MyAnimeList」で中国アニメとして最高の10点満点中8・88点を獲得した。
中国アニメはすでに国境を越え、大陸をまたいだ協業により完成する芸術となった。広範で効率的な国際分業も新たな可能性をもたらしている。工業化の過程において、海外の観客により受け入れられやすい表現を採用し、中国の文化と情緒の中核を伝えている。ここ数年は制作者が伝統文化から巧みに題材を見いだすようになり、アニメのキャラクターが伝統の世界に活力を与えている。中でも映画「ナタ魔童降臨」「西遊記ヒーロー・イズ・バック」などは国内で興行的に成功しただけでなく、世界市場でも観客を魅了した。
世界のアニメ大国と比べ、中国のアニメ界は発展途上にある。今後は潜在能力の発掘を加速させ、イノベーションに立脚しつつ、IP(知的財産権)事業化を促し、良質な作品を創造し続けることが影響力と生命力の維持につながる。
(AFPの記事から引用)


まずアニメーション作品を工業製品に例え、大量生産するような考え方が大間違いなのでは?
1人がすべてを担当する方式ではなく、工程ごとに担当を分散し、「アニメの工業化」が必要だと記事では主張しています。これでは劣化コピーのような作品を大量に生み出すだけで、良作を生み出すのは無理でしょう。宮崎駿が耳にしたら激怒し、1時間くらい説教を始めるのでは?
また、「海外の観客により受け入れられやすい表現を採用し」という方策も疑問です
日本ではおそらく新海誠も、宮崎駿も、押井守もそんな方策を採用しません。海外の観客に理解しにくい表現だろうと、自身の信じるところを貫き押し切るのがクリエイターです
中国や韓国のアニメスタジオは日本のヒット作やディズニー作品を研究し、いわゆる成功の方程式を見つけ出そうとします。売れる作品には売れる要素があるはずだから、そのメソッドを抽出し真似れば自分たちもヒット作を作れるはず、と考えるのです。が、結果は「どこかで観たようなアニメ」を量産するだけで、視聴者から批判を浴びるだけです
上記の記事もイノベーションだの、協業だのともっともらしい熟語を並べているだけで、中身は噴飯ものです。中国のアニメーション製作を指導する立場の人間がこんな思い違いをしている限り、中国のアニメが日本に追いつくのは不可能でしょう
3年前に公開された中国の劇場版アニメ「白蛇・縁起」の予告編を貼っておきます。中国のアニメ関係者は「日本でヒット間違いなし」と豪語していました。が、予告を観るだけで日本でウケる要素が何もない、のが判ります。「出来損ないのディズニー・アニメ」にしかみえません

白蛇:縁起】本予告 60秒Ver

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