遠足で水分補給認めず裁判 双方の言い分対立
小学校の遠足中に1年生だった女児(8)が茶の購入を要望したのに教諭が認めなかったため、熱中症で救急搬送されたと女児の両親が大阪府八尾市を相手取り、慰謝料など220万円の損害賠償を求めた訴訟の報道を取り上げます
当ブログで前回取り上げように、学校側は対応に落ち度はなかったと闘う構えです
この件では、徒歩の遠足で水筒の水を飲みきってしまっても水分補給は認めない、という前近代的な対応が問題視されました。学校側が熱中症を甘く見過ぎており、場合によっては命に関わる重大な事態だと認識していないのも問題です。学校側には児童の安全を守る責任があるわけで
裁判資料によると、学校側は訴訟までの間、遠足を通じて「(女児に)不調がないか確認する指示が適宜出され、様子が把握されていた」と女児側に説明してきた。
茶を購入させなかったのは、女児が同級生と元気に会話する様子などを十分に確認した上での判断で、母親を呼ばなかった後も、教員が女児と手をつなぐなどして様子をつぶさに確認した、とする。また「しんどい」という直接的な訴えはなかったとし、「過失はなかった」との主張だ。
学校法務に詳しい小美野(おみの)達之弁護士(大阪弁護士会)は「裁判所は、教員の職責として、どのような兆候があれば熱中症に気付くべきかを踏まえ、今回の対応の妥当性を判断する」と指摘。学校現場で起きたことは、直接的な証拠が少なく事実認定が難しい面もあり、「教員や児童の証言と、証言を支える間接的な証拠が重要になる」との見方を示す。
水分補給なぜ我慢
法的責任の有無は別として、学校側が結果的に女児に水分補給を我慢させたのは、なぜなのか。そこには学校ならではといえる事情もあった。
「(女児に)お茶を買うと、ほかの子にも次々と買うことになる。教育活動をする上でそれはふさわしくない」。校長は遠足時の対応について訴訟前にこうも説明したという。
学校活動中に現金を使うことを禁止するルールは大阪府にはないが、紛失などのトラブルを考慮すれば、確かに現金使用は一般的とはいえない。ただ、府内の学校関係者からは「遠足では予備の水分を持っていったり、大っぴらにではないが、飲料代を立て替えて購入したりしたこともある。現場の裁量で購入を認めることもありえるし、やり方はあったはずだ」との声も上がる。
女児側が訴訟にまで踏み切ったのは「学校の安全管理に警鐘を鳴らしたい」との思いがあるからだという。八尾市は今回の事案を巡る調査結果をまとめているが、公表していない。再発防止策についても、八尾市は取材に「裁判中のため答えられない」とコメントした。
(産経新聞の記事から引用)
軍隊の行軍訓練じゃあるまいし、というのが自分の感想です
遠足での帰路、女児がお茶の購入を求めたのに対し、これを認めなかった判断について、とても合理的理由があったとは思えません。「1人にお茶の購入を認めたら他の子もお茶を購入したがるから」というのはあくまで学校側の憶測です。事実に基づいた判断ではなく、仮定の話です
ましてやそれを「教育活動をする上でふさわしくない」と決めつける論拠が不明です。教育活動というのはあくまで児童・生徒の安全の上に成り立つものであり、水分補給を禁じて熱中症になるリスクを高めるという間違った判断の上に教育活動など成立しません
次に女児が「ママを呼んでください」と申し出ているわけで、その時点で体力的な限界がきているか、熱中症による体調不良を察知する必要があったのに、女児の単なるわがままだと判断しこれを認めないのは大間違いでしょう
もちろん、裁判官の判断次第でどんな判決になるか、予想はできないわけですが
訴訟に至る前に双方話し合って和解する途もあったはずなのに、学校側が「判断に誤りはない」と突っぱねたのではないか、という気がします
教科教育に関する事項なら学校側(教師)の判断を尊重してしかるべきでしょう。しかし、遠足という校外行事での学校側の判断は時代錯誤であり、硬直したものと言わざるを得ません
学校は生徒全員の安全に対して責任を負うのであり、1人でも熱中症で体調不良者が出たなら学校側の配慮が足りなかったことになります
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