中国メディア「日本アニメは人気だが…」

宮崎駿監督作品の「君たちはどう生きるか」が中国での興行収入100億円を突破し、好調です。中国メディアが「日本のアニメ映画はなぜますます人気なのか」との記事を配信したとレコードチャイナが記事にしています
読んで分かるように中身はほとんど興行収入の話であり、「君たちはどう生きるか」が中国でなぜウケたのか、分析する内容ではありません。おそらく分析するだけの能力を欠いているのでしょう。繰り返し書いているように、優れた作品を生み出すには作家の想像力だけではなく、作品を批評する能力も必要です。中国メディアが日本のアニメーションについてあれこれ記事を書いてはいますが、中身がスカスカなものばかりで、作品を批評する力がまだまだ不足しているのではないか、と言いたくなります


スタジオジブリの映画「君たちはどう生きるか」が中国で日本を超える興行収入を記録する中、中国メディアの第一財経は「日本のアニメ映画はなぜますます人気なのか」との記事を9日に配信した。
中国で清明節連休前日の3日に封切られた同作は、わずか4日間で日本での興行収入を抜いたことも話題になった。記事は「すでに5億3400万元(約112億円)に達している」と紹介し、「近年、少なくない日本のアニメ映画が中国で優れた成績を収めている」と言及。その一方でこれまで中国アニメの緩慢な発展を背景に市場の空白を埋めてきた日本アニメだが、中国のアニメ映画産業の発展に伴いその強みは徐々に弱まっていくのかとも問い掛けた。
記事によると、中国で興行収入1位の日本のアニメ映画は8億元(約168億円)に上った「すずめの戸締まり」だ。「THE FIRST SLAM DUNK(スラムダンク)」は約6億6000万元(約139億円)。「STAND BY ME ドラえもん」も5億元(約105億円)を突破した。
中国の中央文化観光管理幹部学院の孫佳山(スン・ジアシャン)副研究員は、日本アニメの中国での広がりについて「少なくとも2世代の人々が20年余りの間にさまざまな作品を見てきた」と語り、「ほぼ全国範囲の地域を超える共通の文化体験だ」と指摘。観客の基盤が固められたとした他、「日本アニメは欧米のアニメに比べて文化的に中国の観客により近い」と分析した。
一方、劇作家で演出家の向凱(シアン・カイ)氏は、「日本アニメは早期に発展してアニメ産業も比較的成熟している。日本で生まれたアニメ映画は子どもだけでなく多くの大人からも愛される」と評価し、日本には学ぶに値する技術があるとの考えを示した。
ただ、中国のアニメ映画の発展が中国市場で日本の作品に一定のプレッシャーをつくり出したと考える業界関係者もいるといい、記事は「わが国はアニメ産業への投資をずっと重視している」などと紹介した上で、前述の孫副研究員が中国の優れた伝統文化が非常に受け入れられている現在、日本の作品が引き続き「ブレーク」を願うのであれば難度は低くないとの見方を示したことを伝えた。
(レコードチャイナの記事から引用)


「日本のアニメーションに学ぶべき」とは書いても、どこを学ぶ必要があるのかすら判っていないのでは?
中国アニメは国内でそこそこヒット作を出していますが、海外ではウケない状況が続いています。劣化版ディズニーのようなフルCGアニメ作品を量産しているものの、突き抜けたものがありません。さらに中国の歴史や文化について、日本人ならある程度の知識を有しているため理解可能ですが、欧米人にはそのような知識もなく理解し難いのが実際です
当ブログで紹介した中国アニメ「兵馬俑の城」も、欧米文化圏、アラブ文化圏ではとっつきにくいのだろうと想像します
だからといって理解可能な題材を求めるのではなく、工夫を凝らすなり、身近な日常のストーリーとからめるなり、やり方はいろいろあるはず
巨大ロボが登場せずとも、少年少女が地球の危機を救う話でなくとも、猫型ロボットなしでも、異世界転生でなくとも面白いストーリーは作れるのでは?
日本のマンガ・アニメーションには「日常系」というジャンルがあり、「サザエさん」や「あたしンち」、「男子高校生の日常」といった作品が人気を得ています。声高に社会風刺をするでもなく、日常の生活を観察し、そこから題材を拾い上げストーリーとして構成した作品です
バカバカしさ、くだらなさをも作品化できてしまうのは、きちんと脚本化し、演出し、ドラマにする能力が備わっているからでしょう
大上段に振りかぶった劇場公開作品ばかりではなく、テレビで気楽に視聴し、楽しめる作品作りというのも日本のアニメーション文化の形態の1つです

中国の3DCGアニメ映画『兵馬俑の城』

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