四谷大塚盗撮事件 治療可能性という問題

繰り返し取り上げてきた学習塾「四谷大塚」での盗撮事件ですが、森崇翔被告に懲役2年保護観察付き執行猶予5年の判決が言い渡され、これで刑事裁判としては決着でしょう。弁護側も検察側も控訴しないものと思われます
さて、森被告は拘置所から保釈された後、性依存症治療のクリニックで認知行動療法を受けており、その点を斟酌して執行猶予付き判決になったわけですが、それでよいのかと当ブログでは指摘してきました
AbemaTimesでも明星大学心理学部教授の藤井靖氏がいろいろと指摘をしていますので、記事から一部を引用します


「性依存症を治療」で責任軽減 教え子盗撮「四谷大塚」元講師の判決に公認心理師が“3つの違和感”
(前略)
東京地裁が、性依存症の治療中であることなどを「刑事責任を軽減する事情」とした判決について、明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は次のように違和感を指摘する。
1.量刑が軽い
「類する事件で共通して感じることだが、量刑が軽い印象がある。僕は法律の専門家ではないが、犯行の様態に比例して、傷害よりも殺人の方がより量刑として重くなるように、インパクトはある程度考慮する必要がある。判決の中で、いくつか犯罪の事実が裁判でも認められてはいたが、被害者の視点からすると子どもはもちろん、その親に与えるインパクトは生涯続くといっても過言ではない。
常に『撮られているんじゃないか?』という不安を抱えながら、しかもその画像がずっとネット上に残り続けることも懸念される。法的には考慮しきれていない印象がある『精神への影響』を勘案して、もう少し量刑は重くてもいいのではないか。被害者の心の傷をもっと社会的に共有し、予防に繋げていく必要がある」
2.「反省」の中身の分析は?
「判決からだけだと、森被告が反省の念を抱いているかは推し量るしかない部分がある。裁判の中で反省の言葉を言っているだけではなくて、その中身はどういうことかを踏まえた上で酌量されているのか気になる。例えば『もう二度とこのようなことがないようにしたいと思います』くらいの反省なら、極端に言えば誰でも言えてしまう。
森被告は自分の性的嗜好をあらかじめ理解していたというような報道もあるが、それを受け入れた上で今後も同じようなことをしないよう具体的にどうするか、自分の中に取り込めているかも含めての反省だと思う。仮に『自分の性的嗜好をなんとかしたいと思います』くらいの反省だと、本人の考え方としてはいいが、客観的に見て『じゃあ性的嗜好はなんとかできるものなのか?』という疑問も生じる。実際に治療も受けているという話だが、自分の意気込みや主観ではなく、正しい方向性でちゃんと自分を変えていこうと考えているかどうかは大事なポイントだ」
3.「治療可能」の根拠は?
「類する事件の判決などでも、通院して治療を受けていることが情状酌量に影響したりする。ただ、僕が現場で実際に色々な人が治療に通うのを見ていて、治療に向き合う意欲や意思のレベルも人それぞれでバラバラだし、『たぶんいずれまたやります』などと言い、治療内容に抵抗し続けることもある。なので、『治療機関に通っている』ことだけで情状酌量の余地があるとはなかなか言えないのではないか。しかも性依存症といっても人によって病態はさまざまで、パーソナリティなど複雑に特性や症状が入り組んでいると、治療対象として扱えるかどうかも微妙な場合もある。治療を行っているのであれば、そこの治療者の所見や治療の経過を踏まえた上で、判断すべきではないか。しかも仮に治療が通常の『通院』の形態であれば、その間は容易に性衝動を喚起させる刺激に触れられるわけで、それは治療経過にはマイナスに働く」
(以下、略)


ちなみに藤井教授は認知行動療法の専門家でもあるため、その取り組みの効果も実施上の難しさも理解して言及しているものと思います
認知行動療法が治療プログラムありきで実施されると、個々の性依存症患者の抱える問題点や人格特性など十分に把握しないまま、所定のプログラムを順番にこなしてゆく流れとなり、効果が伴わなくなってしまうのではないかと懸念します
行動を改善・是正することを目的とした心理療法は、とかく原因や問題の由来など問わずに行動の変容だけ求めがちになるのです。その例が「不登校児童」への治療です。不登校になった原因を掘り下げることはせず「学校へ行ってみる(教室には入らず帰宅する)」から始めて「保健室登校」など、順を追って行動を改善させ、最後は通常登校へ繋げるわけです。しかし、行動は変容しても不登校に至った原因が解消されたとは限らないため、半年から1年後には再び不登校に陥る場合があります
性依存症も同様で、行動の変容という結果ばかりを追い求めていると、患者本人は「自分は変わった。自分の衝動をコントロールできるようになった」との自己満足で終わってしまい、再犯に至る場合も起こり得ます
ただ、治療プログラムの実施者は個々の患者の内面に踏み込むようなアプローチをしないため、患者としては己の恥部に触れられるのを心配せずに済み、それが認知行動療法が好まれる理由の1つでしょう
カウンセリングにしろ、精神分析にしろ、患者の内面にぐいぐいと踏み込むようなアプローチは警戒されますし、嫌われる場合がしばしばです。警戒や嫌悪を克服するには患者の側に強い治療動機が必要とされます。自身の心の奥底にある問題を突き止め、これを解決したいと欲する患者の場合はそれが可能です。もちろん、1対1で取り調べのように圧力をかけて告白させるのではなく、箱庭を使ったり絵を描かせたりする投影法を用いるなど、さまざな技法を用います

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