明光義塾盗撮事件 懲役3年執行猶予4年判決
先だって「四谷大塚」の元講師による盗撮事件を取り上げました。盗撮のみならず児童の氏名や住所など個人情報も流出させた個人情報保護法違反でも起訴されたのですが、判決は懲役2年で保護観察付き執行猶予5年との判断でした
刑罰が重いか軽いかはともかく、当ブログとしては森被告が性依存症の治療のため認知行動療法を受けるとの方針に注目し、認知行動療法だけで十分なのかと疑問を提起したところです
さて、今度は埼玉県内の「明光義塾」での盗撮事件です
生徒10人ほどを盗撮したとして起訴された平田芳和被告に対し、さいたま地裁は懲役3年で保護観察付き執行猶予4年の判決を言い渡しています。求刑は懲役3年ですから、「四谷大塚」の事件と同様、検察は実刑を求めない判断だったのでしょう
大手学習塾「明光義塾」の埼玉県内の教室で生徒10人を盗撮したなどとして、性的姿態等撮影と児童買春・ポルノ禁止法違反の罪に問われた、当時同塾の教室長だった平田芳和被告(38)=春日部市=の判決公判が27日、さいたま地裁で開かれ、北村和裁判官は平田被告に懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役3年)を言い渡した。
北村裁判官は判決理由で、平田被告が過去に盗撮をしようとした際に声をかけられた男性を振り払いけがを負わせたとして、罰金刑に処されたにもかかわらず犯行を繰り返したと指摘。被害を受けた生徒の多くが日頃から信頼していた被告人から盗撮されたと知って心理的ショックを受けたとし「動機に酌むべき点は全くない」と非難した。一方で「全ての罪を認め反省も深まっている」として、保護観察付きの執行猶予判決とした。
判決などによると、平田被告は2022年1月ごろから昨年8月ごろまでにかけて、自身のスマートフォンで塾内の女子トイレや授業中に女子生徒10人を盗撮。データを被害者ごとに分けて保存するなどした。
(埼玉新聞の記事から引用)
犯行の態様など詳細は不明ながら、「四谷大塚」の事件と同じく保護観察付き執行猶予で実刑は回避、という判決です。今後も同様の盗撮事件は「右にならへ」で保護観察付執行猶予の判断が下されるのでしょう。司法の判断としては明確な基準を示したと言えるのかもしれません。ただし、個々の犯人は性格も資質も、生育歴も現在の家庭環境も異なるのですから一律に同じ判決でよいのか、との疑念を自分は抱きます
さて、「四谷大塚」の判決は「十分に重い」と弁護士JPニュースが解説していますので、その部分を引用します
同被告は都内の校舎で盗撮を繰り返し、小児性愛者のグループチャットへ盗撮した画像や児童らの個人情報を送っていたという。その卑劣な犯罪行為から、判決についてSNSやネットには「罪が軽すぎる」「執行猶予が付くなんて」といった驚きのコメントが並んでいるが、刑事事件に詳しい杉山大介弁護士は今回の判決を「すごく重いですね」と受け止める。
過去の事例を踏まえても厳しい判決
「まず、本件は強制わいせつ(現行法:不同意わいせつ)ではなく『盗撮』の事件であると踏まえる必要があります。
盗撮については、昨年7月の法改正で『性的姿態撮影処罰法違反罪』が新設されましたが、それでも法定刑は3年以下です。
本件と同様に懲役2年の判決が出た事例としては、複数人の子どもにキスなどのわいせつ行為をした強制わいせつ事案(法定刑:6か月以上10年以下)がありますが、これを踏まえても、今回の判決は法定刑3年以下の犯罪で出てくるものとしてはかなり重く評価されています」(杉山弁護士)
つまり法定刑が懲役3年ですから、性的姿態撮影処罰法違反事件に問われた場合、初犯であれば懲役3年以下の判決で実刑ではなくことごとく執行猶予付き判決になる…という理屈です。懲役3年を超える刑罰だと執行猶予は付きません
つまりは性的姿態撮影処罰法違反の法定刑を「懲役4年以下」にしないと実刑を科すのは難しいわけです
また、個人情報保護法違反の場合、法定刑は1年以下の懲役または100万円以下の罰金であり、これでは懲役刑を科すより罰金刑で済ませるケースが多いのだろうと推測されます
「四谷大塚」の事件の場合、下着が見えるポーズを取らせた上で撮影していたと報じられたましたのでそうした姿勢を強要すること自体、強制わいせつに該当するのではないかと自分は考え、加罰されるだろうと思っていたのですが、難しいようです
いずれにしろ、「盗撮がバレても執行猶予で済む」との認識が広がれば犯罪抑止効果が足りなくなるわけで、刑罰を重くするしかないと考えます。執行猶予を付けるなら、治療を義務付けるべきだとの意見もあります。が、本人に性依存症を治療したいという強い動機があるならともかく、裁判所の命令で嫌々治療を受けるようでは最初から治療効果など期待できず、ムダになってしまいます
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