奈良若草山白骨遺体 控訴審も元彼に懲役18年判決
当ブログでは事件を追いかけて、できる限り裁判で判決がでるところまで取り上げるようにしています。日本の刑事裁判では、1審で有罪判決が出ると控訴しようと上告しようと、そのまま有罪が確定するケースがほとんどです。まれに控訴審で有罪が無罪の判断に変わったり、「審議が尽くされていない」として差し戻しになる場合もありますが
ただ、すべての事件が詳細に報道されるはずもなく、情報が足りないまま判決だけを当ブログで伝える場合もままあります
奈良若草山白骨遺体事件もその1つで、控訴審判決(1審判断を支持し懲役18年)が出たのを機会に少し深堀りしてみます
事件は2016年、当時交際していた末海征河被告が専門学校生だった木村京花さんを殺害した上、遺体を奈良県若草山に遺棄したものです
2人は小学校、中学校、高校まで同じ学校に通う幼馴染であり、事件当時木村さんは妊娠していたと判明しています。木村さんはこどもが生まれるのを楽しみにしており、自殺する動機はなかったのですが、末海被告は木村さんの自殺を主張し「殺害していない」と言い張ってきました
2016年、京都府井手町で、当時19歳の交際相手の女性を殺害した罪に問われ、一審で懲役18年を言い渡された27歳の男の裁判の控訴審で、大阪高裁は25日、被告側の控訴を退け一審と同じ懲役18年を言い渡しました。
末海征河被告(27)は、2016年、京都府井手町に住んでいた木村京花さん(当時19)を殺害した罪に問われています。
木村さんは事件直後から行方不明になっていましたが、2022年、交際相手の末海被告が木村さんの遺体を遺棄したと認め、供述をもとに警察が奈良県の若草山を捜索したところ、骨の一部などが見つかりました。
末海被告は、殺人の疑いで逮捕され、逮捕直後の調べでは殺害を認めていましたが、2023年、京都地裁で一審の裁判が始まると一転、「殺していません」と起訴内容を否認しました。
供述を変えたことについて末海被告は「自殺を隠すためだった。自分が殺したと言った方が、木村さんのためじゃないかと思ってウソの供述をした」と説明し、弁護側も「木村さんは末海被告がいない間に自殺した」などと無罪を主張していました。
2023年7月、京都地裁は「関係の悪化から突発的に犯行に及んだ。被害者が自らの子どもを妊娠していると知りながらも殺害に及んだ点も見過ごすことはできない」として裁判での末海被告の供述は信用はできないと判断し、求刑通り懲役18年の実刑判決を言い渡し、その後、末海被告は判決を不服として控訴していました。
25日の判決で大阪高裁は、「逮捕後の取り調べで自白した供述内容は、実際の状況とよく整合していて十分信用できる。他方、裁判で殺害行為を否認する説明は不自然で信用できない」として、末海被告側の控訴を棄却しました。
(読売テレビの記事から引用)
幼馴染で同い年の末海被告にすれば木村さんの妊娠に動揺し、「何とかしなければ、このままなしくずしに結婚する羽目になる」と思ったのでしょう。当時、末海被告も19歳ですから
気心がしれた幼馴染ではあっても、いざ結婚という現実に直面すれば臆してしまうのでは?漫画やテレビドラマでは、「幼馴染とハッピーエンド」という展開が当たり前ですが
こどもの中絶を求める末海被告と木村さんとの間で激しい口論となり、末海被告が木村さんの首を絞めて殺害した…と考えるのが自然です
その後、「自殺したのを隠そうとした」とする末海被告の主張はいかにも不自然で無理筋です。木村さんの家族が行方不明となった娘をどれだけ心配したのか、末海被告は側で見ていたはずです。それでも沈黙を続けたのは、自身の犯行がバレるのを恐れたからでしょう。死体遺棄罪が3年で時効成立となることを踏まえ、木村さんの自殺で事件を決着させ、自分は逃げ切る計算の上で遺体を遺棄した場所へ警察官を案内した…とも考えられます
警察は当然ながら交際相手だった末海被告に的を絞り、繰り返し事情聴取を重ねたはずです。末海被告も容疑者として扱われているのは承知していたでしょう。が、いつまでも容疑者扱いされるのは耐えられなかったのでは
死体遺棄罪が3年で時効でも、殺人罪には時効がなく、いつまでも警察の操作対象のままです
末海被告が主張するように、携帯電話の充電コードで自ら首を締め自殺するというのはなかなか困難です。意識を失うと同時に手がゆるでしまいそう簡単に死にきれるものではありません。あれこれ工夫すれば可能ではあるものの、口論から自殺を思い立った被害者があれこれ小細工してから自殺を図るとか、あり得ません。第三者(この場合は末海被告)が充電コードを使って絞殺する方がよほど現実味があります
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