四谷大塚盗撮事件 森被告の言い分の奇妙さ(1)

学習塾「四谷大塚」で女児への盗撮を繰り返したとして起訴され公判中の森崇翔被告の発言を、産経新聞が記事にまとめています。その中でも奇妙にして、不自然な発言がいくつか見られます
まず、森被告が犯行のきっかけを、「仕事が忙しく騒がしいこどもたち相手に手を焼いていたため、『仕返し』として盗撮を思い立った…」という部分がひっかかります
繰り返し書いてきたように、森被告は高校生時に児童へのわいせつ行為を繰り返し少年院送致となった事実があります。つまり元々小児性愛者です。なので、仕事が忙しいから盗撮したとか、こどもへの仕返しとして盗撮したというのは、裁判のために森被告がでっちあげた嘘だと思われます。以下、産経新聞の記事から引用します


中学受験塾大手「四谷大塚」で教え子の女児を盗撮するなどしたとして性的姿態撮影処罰法違反や個人情報保護法違反などの罪に問われた元講師、森崇翔(そうしょう)被告(25)の公判が東京地裁で行われている。謝罪の一方、自身が繰り返した行為の重大性を認識していないかのような発言を繰り返した被告。法廷では、「ゆがんだ思考回路」が形成された過程も明らかになった。
仕事に疲れ「仕返し」
事件は、被告が講師として勤務していた東京都内の四谷大塚の教室などで令和5年3~8月に発生した。
起訴状などによると、教え子の小学生の女子児童計12人の下着などをスマートフォンで動画撮影し、チャットアプリの被告が運営する小児性愛者グループ内で、児童の個人情報付きで投稿したとされる。
被告は公判で罪を認め、「大変申し訳ない」と児童らに謝罪。被告人質問で、犯行経緯を詳細に語った。
盗撮に手を染めたきっかけは、騒がしい児童への対応などで不満をため込み疲弊していたある日、不意に低学年の女子児童の「下着が見えたこと」だった。
盗撮することで児童に「仕返しをしよう」と思い、動画撮影をオンの状態にしたスマホをスーツの胸ポケットに入れて隠し撮りし、動画を「出来心で」小児性愛者のチャットグループに送信。反響は大きく、「(メンバーの)メッセージに興奮した」という。
以来、動画盗撮とグループへの送信を繰り返すようになった被告。「(メンバーに)リアルに感じてもらえる」との理由から、一部の児童については動画に名前や住所、小学校名なども加えて共有していた。
あえて「嫌われ役」に
法廷では、耳を疑うような被告の発言も相次いだ。
«こんなにかわいい子を目の前にして、手を出さないのはさすがです»被告によると、盗撮動画を共有すると、チャットメンバーから称賛の声が上がったといい「自分は我慢していると思っていた」。
犯行後、被害児童らに対しては課題を増やすなど「ほめて育てるのではなく、厳しく接した」。嫌われ役を買って出ることで「(勤務校の)成績は上がった」とし、それが盗撮した児童らへの「贖罪(しょくざい)だった」と語った。
弁護側から「事件で子供たちにどんな影響があったと思うか」と問われると、保護者が児童に短パンやスカートを着せないようになり「今しか着られない服を着る機会を奪ってしまった」、捜査がお盆の時期と重なり「(児童が)お盆休みを心から楽しめなかったかもしれない」などと回答した。
周囲からの賛同で…
自身の行為について罪悪感を「ほとんど感じることができなかった」と振り返った被告。心の中で何が起きていたのか。
公判では、性依存症治療を専門に取り組むクリニックで被告と面会したという精神保健福祉士の男性が証人として出廷。
小児性愛者のチャットメンバーから盗撮動画への賛同を受けたことや、同じく児童の盗撮に関与していた職場の先輩=性的姿態撮影等幇助罪で罰金30万円の略式命令=が盗撮に好意的だったことから「罪悪感が薄れ、『認知のゆがみ』にいたった」と指摘した。
「認知のゆがみ」は心理学上の用語で、考え方のゆがみや、癖を指す。依存症治療プログラムはこうしたゆがみをただす「認知行動療法」に取り組むことで、依存症からの脱却を目指すものだ。
(以下、略。産経新聞の記事から引用)


自分は精神分析に信を置く者です。が、何でもかんでも精神分析で解決できるとは思っていません。そして認知行動療法が小児性愛者に対して有効なのかどうか、疑いを持ちます。効果を発揮するケースもあるのかもしれませんが
記事の中に登場する精神保健福祉士はクリニックで認知行動療法を担当しており、自身の治療的働きかけに自信を持っておられるのでしょう。ただし、森被告が高校生時からこどもへの性犯罪を繰り返してきた小児性愛者だという事実と、真正面から向き合っていないようにも感じます
「たまたま、偶然、こどものパンツを盗撮しようとしただけの人」といった扱いで、同僚に盗撮画像を褒められたため「罪悪感が薄れ、認知の歪みに至った」との指摘には同意できません。「認知の歪み」と言うなら四谷大塚の講師になる以前から、森被告の認知は歪んでいたと指摘するのが筋でしょう
森被告とあらかじめ打ち合わせをし、話を作ったようにも感じられます
精神分析の側からすれば、森被告の小児性愛という嗜好がいつから始まったのか、どのようなきっかけがあったのか、無意識の領域に踏み込んで探るところから始めます。認知を歪みをもたらした根源的な要因・力動こそが重要だと考えるからです
しかし、認知行動療法では過去を掘り返すようなアプローチはせず、問題(犯罪)となりえる行動への欲求にいかに対処するか、という対処法を学ばせるのが主です。おそらくグループ・セッションのような形で複数名の性依存症の方が集まり、逸脱行動に至った経緯などを正直(?)に告白し、互いに助言し合う場面が用意されているのでしょう。ただ、そこで語られるのはあくまで個人が認識している話、あるいは他人へ語るため意図的に作り上げた話であって、認識できていない無意識下の欲動について語られることはないのです
森被告は既に保釈金を積んで保釈されており、この認知行動療法のクリニックに通院しているのでしょう。そこで得た情報をベースに「自分の犯行は盗撮動画を褒められ、調子に乗ってしまった結果であり、認知の歪みさえ改善できれば再犯はない」というストーリーを作り上げてしまっているように映ります。これでは内省は深まりませんし、小児性愛に至った根本的な性的衝動が何であったのか気づかないままだと思われます。表面的な適応で2~3年は自重して生活できるかもしれませんが、小児性愛の嗜好そのものが解消されたわけではないので、いずれは再犯に至る可能性が潜んでいます
話が長くなりますのでここで一旦、区切りとします

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