宮崎駿 2度目の米アカデミー賞獲得
宮崎駿監督が「君たちはどう生きるか」で2度目となるアメリカアカデミー賞(長編アニメーション映画賞)を受賞した、と報じられています
過去の実績と名前で賞を獲ったと揶揄する声もあるのですが、興行結果もしっかりと伴っていますので、実力通りの評価といえます
宮崎駿監督(83)10年ぶりの新作長編アニメーション映画「君たちはどう生きるか」が、長編アニメーション映画賞を受賞した。
03年の「千と千尋の神隠し」以来、21年ぶり2度目の受賞となった。06年には「ハウルの動く城」、13年にも前作「風立ちぬ」がノミネートされたが、受賞は逃していた。14年11月には、宮崎監督が黒澤明監督以来、日本人2人目の米アカデミー名誉賞を授与されていたが、10年ぶり4度目のノミネートで2度目の栄冠獲得となった。
「君たちはどう生きるか」は、22年12月13日に都内で開かれた東宝の23年ラインアップ発表会見で公開が発表されて以後、あらすじ、声優キャストなど作品に関する情報は一切、開示されず、製作報告会見なども公開初日まで一切、開かれず、宣伝活動は、ほぼ行わなかった。その中、23年7月14日に全国441館で公開後、17日までの4日間で興収21億4000万円、動員135万人を記録。興収120億2000万円を記録した、13年7月公開の同監督の前作「風立ちぬ」との興収対比で150%超と好スタートを切り、スタジオジブリ作品ではトップ、日本の歴代興収で2位の316億8000万円を記録した、01年の「千と千尋の神隠し」初動4日間の、19億5437万6300万円をも超えた。
23年9月には、米アカデミー賞の前哨戦として知られるトロント映画祭(カナダ)で、日本映画で初めてオープニング上映された。同12月8日からは米国とカナダの2205館で公開され、公開初日から同10日までの3日間のオープニング興収(先行上映含む)で約1280万ドル(約18億6000万円)を記録し、全米週末興行収入ランキング1位を獲得。北米の週末興行収入ランキングで日本映画が1位を獲得したのは、1999年「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」、22年「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」以来3作品目だが、漫画や小説などの原作がないオリジナル作品としては初の快挙。また、全米で今年公開した「外国映画」(非英語作品)としても、同1日に北米で公開された「ゴジラ-1.0」(山崎貴監督)のオープニング興収(約1100万ドル)を超えて1位となった。
公開前から、クリスチャン・ベール、デイブ・バウティスタ、ジェンマ・チャン、ウィリアム・デフォー、カレン・フクハラ、マーク・ハミル、ロバート・パティンソン、フローレンス・ピューなど豪華な英語吹き替え版キャストが大きな話題を呼んだ。同11月22日からニューヨーク、ロサンゼルスの4館で先行上映が始まると、米国での宮崎駿監督作品の劇場平均興収として過去最高成績を記録。ニューヨーク・タイムズやロサンゼルス・タイムズなど米国内主要メディアからも好意的なレビューが出たのも追い風となり、1日にニューヨーク批評家協会賞のBest Animated Film、10日にはロサンゼルス映画批評家協会賞のBest Animationとボストン映画批評家協会賞Best Animated Filmを受賞した。
1月7日(日本時間8日)には、米アカデミー賞の前哨戦の1つとして知られているゴールデン・グローブ賞が発表され、アニメ映画賞を受賞した。同賞は、ハリウッド外国人記者協会(HFPA)が主催し、2007年(平19)に設けられた同部門には「君たちはどう生きるか」と、新海誠監督の「すずめの戸締まり」がノミネート。日本映画は湯浅政明監督の「犬王」に続き2年連続のノミネートだったが、受賞は初めてだった。
(日刊スポーツの記事から引用)
「日本のアニメーション全体を考えうなら、宮崎駿以外の誰か(新海誠や湯浅政明ら)がアカデミー賞を獲った方がよかったのに」という声もあります。「いつまでも宮崎駿の時代ではあるまい」との指摘もあります
それはかつての「日本映画=黒澤明」といった図式にも当てはまるのでしょう
ただ、優れた作品を生み出すクリエイターが日本では次々と現れていますので、宮崎駿に並び追い越す可能性はあります。決して宮崎駿という一枚看板で勝負しているわけではないと。いずれは新海誠もこうした賞の栄誉を受けるのは確実でしょう
さて、以前にも書いたように自分は中学時代に吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」が課題図書あるいは推薦図書として、読むように強制され反発した経緯があり、宮崎駿の「君たちはどう生きるか」は観ていません。この2つはもちろん別の作品なのですが
課題図書などと押し付けられずとも、図書館で手当たり次第に読みたいものを読んでいた生意気な中学生ですから、「いまさら吉野源三郎なんて」と思っていたのです
そろそろ、そうした先入観を捨てて観るべきなのだろうな、と思います
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