学校体育祭リレーで怪我 訴訟に発展
学校での事故や怪我はないのが理想ですが、体育の授業や学校行事、部活動など、思わぬ場面で重い怪我を負うケースがあります
関西の中学校では体育祭のリレーに参加していた生徒同士がぶつかり、転倒して負傷した事案が、損害賠償を請求する訴訟にまで発展したと報道されています
体育祭のリレー競技中に生徒同士が接触して転倒-。どこの学校でも起こりうる事故を巡り、民事訴訟が提起された。けがをした女性が損害賠償を求めて相手を提訴し、大阪高裁が2月上旬、1審に続いて女性の訴えを認めて165万円を支払うよう命じたのだ。相手側の「不可抗力だ」との反論を退けた司法判断からは、学校での事故に対する補償制度の課題も浮き彫りになった。
「意図的に押された」
事故が起きたのは、関西の中学校で開催された体育祭での学級対抗リレー中だった。2人は第1走者として並んでスタートラインに立った。
走行レーンは分けられておらず、スタートの合図で一斉に駆け出した。女性のほうが前に出て走っていたところ、後続の生徒のバトンを持っていた右手が背中に接触。女性はバランスを崩して転倒した。
何とか次のランナーにバトンをつないだものの、全身を強打し、1カ月以上の入院を余儀なくされた。その後、「意図的に押されて転倒した」として、約220万円の損害賠償を求めて提訴した。
(以下、略。産経新聞の記事から引用)
細かな背景・事情が判らないのであれこれ推測するしかないのですが、訴訟にまで至ったのですから当事者間では解決できず(学校も中に入って話し合い、和解を模索したはずですが)、感情的な問題もあったのでしょう
裁判の場で加害者側は、「体育祭のリレーに参加する以上、接触・転倒等があるのは事前に理解していたはず。本件は不可抗力の事故」だと主張したのに対し、被害者側は「意図的にぶつかり、転倒させたものだ。体育祭の競技では(相手を負傷させるような)意図的な接触は予定されていない」と主張していました
通常、公立の小中学校、高校は学校単位で独立行政法人日本スポーツ振興センターの提供する共済制度に加入しており、学校の授業中や行事における怪我は共済の給付金が支給されます。ただ、一部の私立中学・高校などはこの共済制度に加入していない場合があります。そうした学校は保険会社と独自に団体保険契約を結んでるケースもあります
記事にあるところの中学校がどうであったのかは不明です
共済制度や損害保険に加入していれば、そちらから医療費など出るはずなのに、損害賠償請求訴訟になったのは被害者側が加害者に対し相当の処罰勘定を抱いていたため、と思われます。さすがに刑事事件にすることまでは考えなかったのでしょうが(体育祭のリレーでも、故意に負傷させる意図があって接触した場合は傷害罪に問われます。ただ、故意であると立証するのは難しいので警察は事件として扱うのを嫌がるでしょう)
なお、記事に添付されているイラストでは、接触があったのはコーナーの入口付近であり、走者たちがコースの内側へと体を寄せぶつかる危険が高い場所です。前を走っていた被害者にぶつからないよう注意する義務が、後ろを走っていた加害者にあったと、裁判所は判断したのでしょう
裁判は大阪地裁、大阪高裁と争っているため、裁判費用もバカにならないくらいかかっているはずで、その上に敗訴で165万円の支払いを命じられたのですから、加害者側の親子としては不満たらたらでしょう
裁判所も民事訴訟ですから、双方に和解するよう勧告したと思われます。しかし、被害者側が頑として和解を拒否したのかもしれません
学校生活を安全に過ごすためにも、損害保険や自転車保険に加入しておく必要があります
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