大阪万博か能登半島復興優先か問題

大阪万博の工事を中断し、能登半島地震復興を優先すべきとの主張が飛び交っています
これに対し、猪瀬直樹参議院議員(元東京都知事)は「大阪万博は能登半島復興の妨げにならない」と主張しています


元東京都知事で参議院議員の猪瀬直樹氏が23日、自身のnoteを更新。来年の大阪万博開催が能登半島地震被災地復興の遅れにつながるという言説を「言いがかりに過ぎない」と否定した。
猪瀬氏はnoteで「大阪万博に否定的な言説を振りまくのが知識人の資格だと勘違いしている、そういうムード的な意見がネットで散見される」とした上で、「大阪万博のおかげで能登復興が遅れてしまう。ファクトベースで考えればそれは言いがかりに過ぎない」と断言した。
その根拠として「日本全国の建築工事発注は年間70兆円である。能登の復興は2.6兆円と見積もられている。万博の会場建設費は2350億円、民間パビリオン等の建設は1024億円、合計3500億円に過ぎず、能登復興を遅らせているという理由にはまったくならない」と説明。「何もしなければ批判されない。しかし何か企画すれば批判され脚を引っ張られる。これが失われた30年に日本を支配した空気である」と断じた。
万博に関しては「始まる前に文句ばかり垂れていてもそういう連中こそケロッと忘れ、どうせ始まればみな野次馬と化す」と推察。05年の愛知万博の来場者が2200万人だったことを挙げ、「大阪万博は2800万人が予想されている。インバウンドの時代なのでたぶんそれを上回るに違いない」と期待感を示した。
(デイリースポーツの記事から引用)


猪瀬直樹の「来場者が予想を上回るから開催すべきだ」との主張は日本維新の会が言う、「経済効果は2兆円。いや3兆円あるから文句を言うな」と同じでしょう
また、日本の年間工事発注額が70兆円で大阪万博工事も能登半島復興事業もその範囲内だから問題ない、という主張は説得力皆無です。工事を施工する側からすれば、重機オペレーターが手配できるか、電気工事を担当する職人の頭数を揃えられるのか、塗装は間に合うのかが問題であって、工事発注額が何兆円という総枠は関係ありません。猪瀬直樹は建設現場を知らないのでしょう
また、「万博会場にデザイナーによる2億円のトイレ設置」が話題になっています。各メディアが有識者やタレントのコメントを並べ高いの、安いのと報じています
ですが、一番の問題は万博会場にし尿処理設備がないことです。大阪湾の埋立地が会場ですから、陸地側にある大阪市の下水処理施設と海底の配管で接続してるわけではないのです。会場各地に設置されたトイレからし尿を配管によって集め、タンクに溜める方式だと思われますが、そのまま海に流すわけにはいきません。大阪万博協会の基本計画(PDFファイル)を見ても、「タンクに溜め適切に処理する」としか書かれていません。大阪市の万博に関するQ&Aでは「段階的に整備する」とあるだけです。恒久的な浄化装置を夢洲に建設するのは無駄になりので、タンクから汲み取って船で運ぶのでしょうか?
さらには会場をぐるりと取り囲む木造のリングですが、これが完成してしまうとリング内のパビリオン建設工事に資材を搬入したり、大型重機を入れるのが困難になると、日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)が指摘しています。パビリオンの建設工事が進まないため、外周のリング建設を先行させたのですが、この先の工事予定はどうなるのか?
リングの内側で各国のパビリオン建設が始まると、数多くの工事業者が狭い場所で行き交うのですが、全体を仕切って工事日程を調整し、大型重機の出し入れや資材搬入のタイムスケジュールをすり合わせできるのか心配になってきます。これまで会場整備の予算の管理もできず、日に日に費用が増大するという杜撰な真似をしている万博協会に、工事日程の調整ができるとは思えません
記憶に新しいところでは、リオデジャネイロ・オリンピックの会場整備工事で事故が多発し、3年の工事期間中に11人が死亡し多くの負傷者を出しています。万博の会場工事で人命が失われないよう、関係者は安全第一で取り組んでもらいたいものです

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