新潟連続強姦殺人事件を考える9 控訴審でも無罪主張

新潟県新発田市とその周辺で女性4人を相次いで襲い、1人を殺害したとして無期懲役が確定し服役していたのが石垣島生まれの喜納尚吾受刑者です。服役後に余罪として新たな強姦殺人容疑で起訴され、1審の新潟地裁で無期懲役判決を受けています(求刑は死刑)
新発田市周辺では2013年から女性が行方不明になったり暴漢に襲われ強姦される事件が相次ぎ、喜納受刑者の犯行として立件できたのが最初の無期懲役判決分の4件でした。田舎の同一地域で類似した事件があれば、同一犯による連続した犯行と推測されるのですが、物証に乏しく立件が難しかったという事情もあります。が、現在裁判で争われている余罪分も含めて立件できていれば、喜納受刑者は2人を殺害したことになり、間違いなく死刑判決を受けていたでしょう(もう1件、立件には至らない女性殺害事件が残っており、こちらも喜納受刑者による犯行が疑われているのですが、遺体は発見時白骨化しており容疑者のDNAを検出できないままとなっています)
余罪となった強姦殺人での無期懲役を不服として喜納被告、検察とも控訴しており、東京高裁での控訴審が結審したと報じられています
FRIDAYの記事から一部を引用します


弁護側と検察側の主張は真っ向から対立した。
2月16日に東京高裁で行われた、’14年1月に当時20歳の女性を殺害し殺人や強制わいせつ致傷の罪などに問われている喜納尚吾被告(40)の控訴審。弁護側は無罪を訴え、検察側は死刑を求刑したのだ。
『FRIDAYデジタル』は’22年12月3日配信の記事で、弁護側と検察側が無期懲役の判決を不服として両者控訴した当該事件について詳しく報じている。再録し、喜納被告の犯行と法廷での驚きの証言を振り返りたい(内容は一部修正しています)ーー。
「性的行為を目的に女性を物色」
検察側、弁護側ともに控訴した。
新潟県新発田市内で女性にわいせつな行為をはたらいたうえ殺害したとして、殺人などの罪に問われていた喜納被告の裁判。’22年11月18日、新潟地裁は無期懲役の判決を下した。しかし11月30日、検察側と弁護側の両者とも判決を不服として東京高裁に控訴したのだ。
「事件が起きたのは’14年1月です。被害者は製菓工場に勤めていた当時20歳のAさんでした。事件当日、Aさんは早朝4時にアパートを出て、自身の車で勤務先の工場へ。しかし出勤時刻の4時40分になってもAさんは現れず、行方不明となります。
一方の喜納被告は夜間の仕事を終え、複数の同僚と未明まで飲酒。ラーメン店に移動する途中で、1人だけ別行動をとったようです。起訴状によると、性的行為を目的に女性を物色していたとされます」(全国紙社会部記者)
検察側の主張によれば、喜納被告は出勤途中だったAさんを見つけて興味を持ったとされる。車外から声をかけ車に乗り込むと「抵抗すると痛い目にあうぞ」などと脅迫。下半身をさわるなどのわいせつ行為におよび、全治1週間のケガを負わせたという。
「その後、喜納被告は近くの川へ車を移動させます。事件が発覚するのを恐れたのでしょう。Aさんの顔を掴んで川の中へ突っ込み、首を絞めるなどして殺害したとされるんです」(同前)
わいせつ略取誘拐、強制わいせつ致傷、殺人の罪に問われた喜納被告。逮捕・起訴されたのは、今回だけではない。
「’13年から’14年にかけ、新発田市内では若い女性を狙った強姦などのわいせつ事件が続発していました。強姦致傷や建造物等以外の放火などで服役していた喜納被告が、刑期を終え新発田市内で暮らし始めたのは’13年7月。喜納被告は、市内の少なくとも4件のわいせつ事件に関わっていたことが判明しています」(別の全国紙社会部記者)
Aさんを殺害した事件の公判で、喜納被告は都合の悪い質問に対し「覚えていません」「記憶にない」と驚愕の証言を繰り返した。物的証拠を提示されても、事件への関与を完全に否定。無罪を主張したのだ。
Aさんの車からは、彼女と喜納被告の混合DNA型も検出されている。検察側は喜納被告の主張に対し、こう反論し死刑を求刑していた。
「(喜納被告は)極めて強い性欲の持ち主といわざるをえない。意のままにわいせつな行為ができるなら、誰でもいいという無差別的な犯行。嫌がる女性をムリヤリ姦淫することに性的興奮を覚え、本質的に強姦への強い欲求がある。Aさんの殺害は、事件の発覚を防ぐ目的があった」


以前にも書いたのですが、無期懲役刑が2つ確定した場合、先に確定した無期懲役刑が執行されます。有期刑の上限が懲役30年ですから、喜納受刑者は30年以上服役したところで最初の無期懲役刑の執行が終了した扱いとし、次の無期懲役刑が執行される段取りとなります
喜納受刑者は現在40歳ですから、2度目の無期懲役刑執行中に死亡するものと考えられます。仮釈放で出所する可能性はありません
石垣島生まれの喜納受刑者は高校生の時に事件を起こして少年院送致となり、その後も放火事件で逮捕されて服役しています。一連の事件でも強姦への執着が強く、しかも裁判では否認を貫くありさまで反省など微塵もないのでしょう
東京高裁での控訴審判決については、おそらく1審と同様無期懲役を言い渡すものと予想されます

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