堺市女子大生殺害 懲役20年を求刑
堺市で元交際相手に刃物で襲いかかり、殺害したとして起訴された山本巧次郎被告の裁判について2度目の言及です
山本被告は犯行について「記憶がない」と主張する一方、「自分がやったことに間違いない」と述べています
検察は起訴前に精神鑑定を実施していたはずで、その結果を踏まえ責任能力に問題なしと判断し起訴しています。しかし、公判前の争点整理段階で弁護側はおそらく最初の検察による精神鑑定結果を受け入れず、別途精神鑑定を要求し、裁判所がこれを認めたと推測します(はっきりと報道している記事が見当たらないので、自分の推測です)
その結果、山本被告が犯行時急性の精神障害だったとする鑑定結果が示され、弁護人はこれを根拠に弁論を組み立てているのでしょう
2022年に大阪府堺市で、当時20歳の女子大学生を刺殺した罪に問われている男の裁判。2月5日の論告求刑公判で、検察側は懲役20年を求刑しました。
山本巧次郎被告(24)は、2022年8月に堺市西区で、大学生の大田夏瑚さん(当時20)を包丁で刺殺した罪に問われています。
(中略)
公判で被告は “覚えていない” 旨の供述を繰り返す
初公判での罪状認否で山本被告は、「いまは覚えてないのですが、僕のしたことは間違いないです」と述べ、起訴事実を認めたものの、”記憶はない”としました。
被告人質問でも、大田さんの自宅に行ったこと自体を覚えていないと供述。犯行後に自ら110番通報したことも、記憶にないとしています。
弁護人は「急性の精神障害の影響で、被告には当時、殺意も責任能力もなかった」として無罪を主張しています。
山本被告が事件当時、急性の精神障害を発症していたか否かについては、法廷で証言した精神医学の専門家でも見解が真っ二つに割れています。
「強固な殺意に基づく執拗で残酷な犯行」懲役20年を求刑
2月5日、大阪地裁堺支部で開かれた論告求刑公判で、検察側は「被害女性が別の男性と外泊したり、復縁に応じなかったりするなどのストレスが溜まっていた中で感情が爆発した末の犯行」と指摘し、「動機は通常心理として理解でき、山本被告に完全責任能力があったのは明らか」と改めて主張。
「憐憫の情すら感じさせない容赦ない行為に及んでいて、強固な殺意に基づく執拗で残酷な犯行態様だ」と糾弾し、懲役20年を求刑しました。
(MBSニュースの記事から引用)
自分に不都合な部分は「忘れた」、「思い出せない」、「記憶がない」と主張するのは刑事裁判あるあるで、珍しいものではありません
事件時、山本被告は自分で警察に電話をし、「人を殺した」と通報しています。駆けつけた警察官に対しても、犯行の経緯をペラペラとしゃべっており、いわば殺人による目的の達成感でハイな状態になっていたものと推測されます。なので、決して異常な精神状態だったとは考えられないのであり、「記憶がない」との主張も詐病ではないかと疑いたくなります
上記の記事によれば犯行時に精神障害はなかったと鑑定した医師と、急性の精神障害を発症していたと鑑定した医師がそれぞれ、公判で証言したのでしょう。ここは大事なところですから、きちんと記事にしてほしいのですが、どの報道を見ても省略されています
検察の求刑は懲役20年で、これも過去のストーカー殺人の判例を基準にしたものです
裁判員はおそらく被害者の無念に思いを馳せるでしょうし、山本被告の「彼女が裏切ったから殺した」との言い分に同情するとは思えません。求刑通り懲役20年でよいのでは
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