堺市女子大生殺害 殺意も責任能力もなく無罪を主張

別れ話を持ち出した交際相手に逆上し、刃物で襲いかかるという事件を繰り返し取り上げています。ストーカーと化した挙げ句の犯行もあれば、別れ話に即反応して暴力に走る男もいて、その暴走ぶりに毎回驚かされます。別れ話がそこまで精神を刺激し、逆上させ、残虐な犯行の呼び水になるわけで、これでは迂闊に別れ話など切り出せなくなるのではないか、とさえ思います
こうした逆上男と交際しないのが何よりで、交際を続けたところでハッピエンドにはなりません。結婚してからもDVに悩まされる結果となります
2022年の夏、大阪府堺市で交際相手だった女子大生を刃物で複数回切りつけ、殺害した山本巧次郎被告の公判が始まりました
山本被告は罪状認否の際、自身の犯行を認める発言をしていますが、「記憶にない」と主張。弁護人は「山本被告は当時、非定型精神病であり善悪の判断がつかない状態にあった」として無罪を主張しています


ベランダから飛び降りて倒れていた被害者に馬乗り 胸を複数回突き刺す…
山本巧次郎被告(24)は2022年8月、堺市西区で大学生の大田夏瑚さん(当時20)を包丁で刺し、殺害したなどの罪に問われています。
大田さんはマンション4階の自宅で、山本被告から刃体の長さ約15cmの文化包丁で、両脚を切りつけられたり脇腹を刺されたりし、逃げようとしてベランダから転落。
山本被告も階段を駆け下りてマンション前の路上に。あおむけの状態で倒れていた大田さんに馬乗りになり、胸を複数回刺したとみられています。
被告「僕のしたことは間違いない」弁護人は「殺意も責任能力もなかった」と無罪を主張
1月29日、大阪地裁堺支部での初公判で山本被告は「今は覚えていないが、僕のしたことは間違いないです」と起訴事実を認めました。
一方で弁護人は、「当時、被告は『非定型精神病』を発症し、善悪の判断などができない状態だった。殺意も責任能力もなかった」と無罪を主張しました。
弁護人は具体的には、
▽事件前、山本被告は教員採用試験のプレッシャーで精神的に不安定な状態だった
▽そうした中、大田さんが別の男性と関係を持ったことがわかり、交際を解消した
▽被告はこの頃から、「試験の前に浮気をするなんて、自分を自殺に追い込んでいるのではないか」などの被害妄想に侵されるようになった
▽事件の日に大田さんの自宅に行ったのは、置いていた自らのスーツを取りに行くためだった
▽大田さん宅に着いてからの記憶が被告にはない
と主張しています。
検察官「通報時や警察官が来た際に、殺害方法や経緯を被告自ら説明」
検察官も、大田さんが別の男性と関係を持ったことをきっかけに、山本被告と大田さんが交際を解消した点は争っていません。
そのうえで
▽大田さんに対し、復縁を迫ったものの、断られた恨みから犯行に及んだ。強い殺意があり、確実に被害者を殺害できる行為に躊躇なく及んだ。精神疾患もなかった
▽実際に被告は、自ら110番通報した際や、現場に警察官が駆けつけた際に、殺害方法や殺害に至った経緯を説明した
と主張しています。
判決は2月13日に言い渡される予定です。
(MBSニュースの記事から引用)


繰り返し書いていますが、弁護人は被告の意向に沿って弁護活動を行います。なので、「非定型精神病」とする弁護人の弁論も山本被告の主張に基づいたものです。弁護人は内心、「こんな主張は通用しないぞ」と思っているはずです
事件発生から随分と時間が経っていますので、検察は起訴前に精神鑑定を実施しており、責任能力に問題はないと判断して起訴しているはずです。なので精神鑑定の結果を争っても、鑑定医は「非定型精神病」とは認めず詐病だと指摘するでしょう
上記の記事によれば、事件直後に警察官が駆けつけた際、山本被告自身が殺害に至った経緯など説明しているのですから、逆上した末に我を忘れるほど興奮状態にあったとは考えられません。むしろ、冷徹に冷酷に被害者を幾度も切りつけ、確実に殺害しようとしたと推測できます
犯行について記憶がないとの言い分は嘘であり、精神障害を言い立て少しでも減刑を得ようとの算段なのでは?
逮捕後も精神障害を伺わせるような異常な行動はなく、「殺したあんな女のせいで長期の服役などばかばかしい」と考え、後付で精神病の影響だと言い出しように思えます
この種の事件で毎度思うのは、なぜ相手を殺害する必要があったのか、です。おそらく山本被告は別れ話についてじっくり考えようともせず、即座に「殺してやる」と結論を出し行動に移したのではないでしょうか?
類似した事件の逆上男も多少の差はあれど速やかに、「殺してやる」との結論に至っており、他の選択肢を思い浮かべたり考慮してなどいないと想像します。こうして視野狭窄に陥るのが資質や性格によるものなのか、あるいは他に要因があるのか、検討する必要があります
ただし、一連の事件をすべて「同じもの」と括って扱うのは危険ですし、間違った方法であり、個々の事件の相違にこそ着目すべきなのは言うまでもありません
山本被告がどのような人物であるのか、もう少し情報を集めた上でまた取り上げます

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