弘前市の中学校長 わいせつで懲戒免職も非公表
各市町村の教育委員会は市町村の行政機関ですが、市長や町長の指示よりも県教育委員会からの指示で動く組織です。なので市長が教育改革を主張しても、県の教育委員会が承知しなければ改革案は潰されてしまいます。県教育委員会としては県内の各学校で同じ教育が実施されるべきと考えており、一部の市町村だけが独自の教育をすることは許さないのです
これは教員に対する扱いも同じで、教員の働き方改革が進まないのもこの「県内一律」とする県教育委員会の前提が支障になっています
それはともかくとして、青森県弘前市立の中学校長が強制性交容疑で書類送検され、県教育委員会から懲役免職処分を受けたものの一般には公表されていない、と読売新聞が報じていますので取り上げます
知人女性にわいせつな行為をしたとして、青森県警が、弘前市立中学校に勤務していた元校長の男を強制性交容疑で青森地検に書類送検していたことがわかった。複数の関係者によると、県教育委員会は元校長を懲戒免職とし、教員免許法に基づき、教員免許も取り上げた。ただ、県教委は免職処分を公表していない。現職校長だった教員の免職を公表しないのは異例だ。
関係者によると、元校長は昨年春、弘前市内で、知人女性にわいせつな行為をした疑いが持たれている。女性からの被害申告を受け、県警は元校長から任意で事情を聞き、昨年夏頃、捜査書類を地検に送った。
関係者の話を総合すると、県教委は県警の捜査とは別に事実関係を調査。昨年10月の臨時会(非公開)で処分について協議し、免職を決めた。
教員免許を巡っては、県教委は11月30日付で小学1級、中学1級(保健体育)、高校2級(同)を取り上げ、12月20日付の官報に元校長の氏名や処分理由を記載。取り上げの理由は、児童・生徒に対する性暴力などを除く「わいせつ行為またはセクハラ」となっている。
ただ、県教委は元校長の懲戒免職と人事上の処遇を一切公表していない。
読売新聞が情報公開請求し、入手した処分関連文書では、元校長の免職処分を指すとみられる部分は全ての項目が黒塗りになっている。他の処分者は所属(小、中、高)や職責、処分内容、処分日、問題行為の内容が記載されている。
県教委によると、懲戒処分は原則、全てが公表の対象となる。ただ、わいせつ行為など「当事者の今後の人生に与える影響が大きい場合」(教職員課)、公表しないこともある。
一方、八戸市内で昨年8月、女性にわいせつ行為をしたとして県警から不同意性交容疑で逮捕され、その後不起訴になった中学の男性教諭については免職処分を公表していた。
県教委は昨年12月、元校長の後任として、弘前市教委の職員を1月1日付で充てる人事を公表したが、前任の元校長の処遇については一切触れていない。
現職の校長だった教員が強制性交容疑で書類送検されたことについて、県教委の長内修吾・教育次長は「現段階でコメントできることはない」とした。免職処分や人事を公表しない理由についても、「個別個別に案件の性質がある。お伝えできるような状況になれば、しっかりとお伝えするが、今の段階でお伝えすることはない」と話した。
元校長は1月、読売新聞の取材に対し、知人女性に対するわいせつ行為を否定。また、免職処分を不服とし、県人事委員会に処分の審査請求をしていると明らかにした。教員免許の取り上げ処分についても不服を申し立てる予定という。女性との関係や事件当時の状況については、「教育委員会から何も話すなと言われている。検察庁が判断する」と話した。
(読売新聞の記事から引用)
官報のWebサイトでは、国家公務員や地方公務員の人事異動を掲載しているほか、教員免許剥奪の公示も掲載しています。が、Webサイト
で確認できるのは一ヶ月分に限られ、それを経過すると表示されなくなります
なので、この弘前市立中学校の校長の件を検索したものの、何も見つけられませんでした
元校長が在職していたのは弘前市立津軽中学校だとの情報がありますが、真偽は不明です
さて、上記の記事で気になるのは元校長が強制性交罪について否認しているにも関わらず、書類送検の時点で懲戒免職を決定した扱いです
懲戒処分上のテクニカルな問題なので一般の方は興味が湧かないかもしれませんが、自分の関心事なので書いておきます
本人と面談し、事実確認をした上で弁明を採録し、容疑を認めているならば書類送検前や公判前に懲戒処分を実施するケースはあります。しかし、犯罪容疑を否認している場合は公判まで処分を保留するのが通常の対応です。公判でも否認するのであれば判決を待って処分します
なので、容疑を否認しているのに懲戒免職とする青森県教育委員会のやり方は「おかしい」のです
さらに教育委員会側が一切の説明を拒んでいるのも「おかしい」とわけです。氏名や強制性交の状況や被害者について伏せるにしても、懲戒案件の事実を公表するのは公務に携わる者として、組織として当然です。教育委員会の判断だけで非公表とするのは公務の公平性、透明性を否定する暴挙です
なお、元校長が取材に対し、「教育委員会から何も話すなと言われている」と返答しているのもおかしな対応で、懲戒免職を受け教育委員会とは雇用関係がない以上、教育委員会の職務命令に従う必要はありません。堂々と釈明しても問題はないはずです
教育委員会といえど、退職した者に何かを命令する権限はないのですから
書類送検を受けて検察が起訴すれば公判になり、事件として扱われます。しかし、不起訴となった場合は懲戒する事由に該当しなくなり、懲戒免職処分そのものが違法となるので、教育委員会は懲戒免職処分を取り消す必要に迫られます。どうするつもりなのでしょうか?
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