連続企業爆破 桐島容疑者への奇妙な同情論
文筆家の山本一郎はかつてインターネットの掲示板「2ちゃんねる」創設者ひろゆきと行動を共にし、その後喧嘩別れした人物です。世の中の出来事を世間一般とは違った視点で眺め、記事にするのを生業としています
その山本一郎が連続企業爆破事件で先日死亡した、桐島聡容疑者(70)について文春なオンラインに記事を書いていますので取り上げます
長文の記事ですが、結論として「桐島聡容疑者の生きた歴史から何を学ぶべきなのか」との投げかけで結んでおり、いわば読者への投げっぱなしで終わっています。さらに、「桐島さんは昔悪いことをしたけど、その後は社会の片隅でひっそり生きてきた」と事件そのものを矮小化させ、奇妙な同情と共感を示す文面であり、違和感しかありません
「東アジア反日武装戦線」と称する過激派集団のメンバーであり、アジアに進出している日本企業を標的とした爆弾闘争(無差別殺人)に加わっているのですから、決して小さな犯罪ではなく矮小化して扱うのは大間違いです
いきなり末尾の部分を引用します
逃亡者・桐島聡「セルフ終身刑」問題と関係当局大反省会《私たちは彼の生きた証から何を学ぶべきなのか》
(前略)
確かに桐島聡さんは行きがかり上、若かりし頃のやらかしで悲惨な事件を起こした責任を自ら背負う形で厳しい人生を送りましたが、特段犯罪を犯したわけでもないのにまともな生活を送ることができず生涯独身のまま孤独な死を迎える日本人にとっては他人事ではないぞということです。
そして、マイナンバーカードによる健康保険証(マイナ保険証)の是非も出てくるかと思うのですが、これは紙の保険証を桐島聡さんが使ったのではないかと問題視するのではなく、まっとうに暮らす国民として偽造されることの少ない身元保証の仕組みがしっかりあることでこのような問題から自分の身を守ることができる、というのは大事なことです。
駆けつけた捜査員には「後悔している」と供述していたらしい桐島聡さんの魂に平穏あれかしと祈りたく思いますが、事件を起こした後、組織とほとんど接触することなく新たな事件を起こさず静かに人生の幕を閉じたのであれば、私たちは彼の生きた歴史から何を学ぶべきなのでしょうか。
記事にあるように桐島容疑者は「行きがかり上(やむを得なく)」爆弾闘争に加担したのではなく、自らの意志で過激派メンバーになっており、山本一郎の認識がズレています
桐島容疑者は自首することなく潜伏し続けたのはそれが「闘争」であったからでしょう。単に逃げ隠れしているのではなく、潜伏し、捜査当局を撹乱し、仲間の次なる作戦行動を間接的に支援しているのだと自分に言い聞かせていたからだと考えられます。「オレはまだ闘っている」との自負が彼を支えていたのでは?
そして自首せず、逮捕から逃げ続けていたのですから己の罪とも向き合う気はなく、山本一郎の言うところの「セルフ終身刑」との表現は受け入れがたいものがあります
桐島容疑者が40年、50年逃げ続けても、それが事実上の「終身刑」だと見なすのは山本一郎だけで、罪を償ったと認める人は皆無でしょう
そして桐島容疑者の生き様から学ぶものなど何もない、というのが自分の結論です
もし桐島容疑者が自首したなら、「仲間への裏切り」と謗られ、「負け犬」との烙印を押されるのが怖かったのしれません。あるいは自分が「正しい」と信じた、爆弾闘争の理念を自分で否定するのが嫌だったのか?
痕跡を残さないよう心がけていた桐島容疑者ですから、アパートに手記など残していないはずで、彼の考えを知る術はないのでしょう
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