ヤマト運輸男女殺傷事件 ヤマト側が賠償で遺族と和解

2020年にヤマト運輸「神戸北鈴蘭台センター」でパート従業員だった筧真一受刑者が、解雇処分に激昂して従業員の男女2にんを刃物で刺し、1人が死亡し1人が負傷する事件がありました。筧受刑者は懲役27年の刑が最高裁で確定しています
死亡した廣野真由美さんの遺族がヤマト運輸側の対応の杜撰さによるもの、として損害賠償を求め裁判で争っていましたが、このほどヤマト運輸と和解が成立したと報じられています


4年前(2020年)、神戸市にあるヤマト運輸の配送センターで、従業員の男女2人が元パート従業員に包丁で刺されて死傷した事件をめぐり、女性の遺族がヤマト運輸に対し注意義務を怠ったなどとして1億円余りの賠償を求めていた裁判で、和解が成立しました。
4年前の2020年、神戸市北区のヤマト運輸の配送センターで、パート従業員の※廣野真由美さん(当時47)と60代の男性従業員が49歳の元パート従業員に包丁で刺され、廣野さんが死亡しました。
元パート従業員は殺人などの罪で懲役27年の刑が確定しています。
この事件をめぐり、女性の遺族は、事件前日の上司の言動が元パート従業員の恨みを招いたにもかかわらず、女性が被害を受けないよう配慮する注意義務を怠ったと主張して、ヤマト運輸に対し、あわせておよそ1億1000万円の賠償を求める訴えを神戸地方裁判所に起こしていました。
この裁判で、去年11月に和解が成立したことが遺族の弁護士への取材で分かりました。
賠償金の支払いの有無など具体的な内容については明らかにしていません。
和解が成立したことについて、ヤマト運輸は「コメントは差し控えさせていただきます」としています。
(NHKの記事から引用)


殺傷事件の経緯は当ブログの過去記事でも取り上げましたので、簡略に書くにとどめます。筧真一受刑者は荷物の仕分けを担当していましたが、荷物を乱雑に扱うとして度々注意を受けていたものの素行が改まらず、激昂して腕を振り回した際に廣野さんの顔面に当たって負傷させるに至りました。配送センター側はこの件を口実に筧受刑者を解雇しようと考え、廣野さんを説得し警察に被害届を提出させます。ただ、廣野さんは筧受刑者をいつも気にかけ庇っていたのが実際で、被害届提出をためらったと伝えられています
しかし、筧受刑者はこれを逆恨みし、刃物を持参して襲いかかったわけです
配送センター側が廣野さんを出汁に使って解雇しようとしたところに問題があります。上司の指示に従わず、職場を乱す行動があったのですからそれを理由に解雇とすればよかったものを、なぜ「廣野さんに暴力をふるったから」と理由付けをしたのか?センター長らの判断は批判されて当然でしょう
筧受刑者は以前にも「神戸北鈴蘭台センター」で勤務していましたが、勤務態度がよくないと問題になり、退職しています。人手不足なのは理解できますが、いわくつきの人物を再雇用しておきながら勤務態度を改めるよう十分に指導せず、現場に丸投げしていた管理職の責任は明らかでしょう
和解内容は非公開なので何とも言い難いところですが、強いて憶測するならヤマト運輸側が責任を認めて謝罪をし、交通事故の死亡保険金程度(5000万円前後)慰謝料として支払う条件で双方が妥協した…と考えます
なお、筧受刑者には賠償に応じるだけの資産がなく、請求しても得られるものはないと判断されたのでしょう

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