稲美町放火殺人 公判で犯行を認める
兵庫県稲美町で小学生のこども2人が寝ているところを放火して殺害し、住宅も消失させた松尾留与被告の初公判が開かれました。取り調べに対して黙秘することが多かったとされる松尾被告ですが、初公判では起訴内容を「間違いありません」と認めています
弁護側は松尾被告に知的障害があると主張し、考慮すべきとの弁論をしています。これまでの報道から弁護側は松尾被告の精神障害を挙げて争うのではないか、と予想していたのですが、知的障害で争う方針のようです
弁護側は松尾被告に知的障害があると主張し、考慮すべきとの弁論をしています。これまでの報道から弁護側は松尾被告の精神障害を挙げて争うのではないか、と予想していたのですが、知的障害で争う方針のようです
2021年11月、兵庫県稲美町の住宅が全焼し、小学生兄弟が死亡した放火殺人事件で、兄弟と同居していた伯父で、殺人と現住建造物等放火罪に問われた男(53)の裁判員裁判・初公判が25日、神戸地裁姫路支部で開かれ、男は起訴状の内容を認めた。判決の言い渡しは2月15日の予定。
起訴状などによると、男は2021年11月19日深夜、妹夫婦らと同居していた兵庫県稲美町の木造2階建ての自宅で、押し入れに収納していた布団にガソリンをまいて火を放ち全焼させ、就寝中の兄(当時12歳・小学6年)と弟(同7歳・小学1年)を殺害したとされる。
男は逮捕段階で、事実関係を認めていた。また動機について、妹夫婦から食事や住宅内の移動、入浴など生活を制約されたと思い込み、「両親に精神的な苦痛を与えたくて、大切な子どもを狙った」と供述していた。
25日の初公判で、検察側は冒頭陳述で「(男が)妹夫婦への恨みを晴らすべく、子ども2人を殺害すれば(両親が)苦しむだろうと思い、火をつけた」と指摘した。
一方、弁護側は、「男が妹夫婦から日常的に家庭内でぞんさいな扱いを受けていた」などと当時の状況に触れ、「精神的に追いつめられていた」と主張した。
男はこの住宅では兄弟と、その父親と母親(妹夫婦)の5人で暮らしていた。
犯行から5日経った2021年11月24日、逃亡先の大阪市北区の公園で逮捕された。その後、犯行時の精神状態などを調べるため 、同年12月10日から7か月間、鑑定留置されていた。
神戸地検姫路支部はその結果を踏まえて、2022年7月8日、男の刑事責任能力は問えると判断して起訴した。
(ラジオ関西の記事から引用)
自分が少年鑑別所に勤務していた当時の上司は、「放火は女性的な犯罪」との持論を唱えていました。今なら「女性蔑視」と批判されかねない主張ですが、「放火犯には女性が多い」と言ってるのではなく、「腕力に自信のない男が報復の手段として放火を選ぶ」とする説です。確かに刃物で刺して殺害するにも相応の腕力は必要ですから、放火は非力な者にも可能な犯罪ではあります
同じように、「放火は知的障害や精神障害のある者が選ぶ犯行手段」とする説もありました。これも上記の説とどっこいどっこいで、統計的な裏付けはなく単なる主観で語られていたものと思います(もしかすれば裏付けるデータがあるのかもしれませんが)
ただ、京都アニメーション放火事件や甲府の放火殺人事件のように、ある意味復讐の方法としては効果的であり、大きなダメージを与えられる犯行手段で、知的障害があれども実行可能です。ゆえに松尾被告も放火による殺害を選択した、と考えられます
もう一つ精神分析的な見方をするならば、松尾被告が放火した家は長男である松尾被告が相続したものと報じられており、松尾被告には家を燃やしてしまいたい潜在的な欲動があったのかもしれません。家は家族、特に母親を象徴するものであり、放火による破壊は母親への報復と推測できます。知的障害を抱えていた松尾被告は親から理解されず、たびたび叱責されたり体罰を受けて育った可能性が考えられ、そのため家を離れ大阪でホームレス生活をしていた…との仮説が立てられます。つまり実家は松尾被告にとって重苦しく、嫌な記憶に満ちた場であり、妹夫婦も松尾被告の両親と重なる「嫌な存在」と映っていたのでは?
松尾被告の供述調書には、「妹夫婦から監視カメラで見張られている」との主張があります
これも松尾被告が両親から厳しい目で見られ、繰り返し叱責された記憶の反映ではないかと思われます
知的障害を抱えた人物といえども、自尊心はあります。叱責や侮蔑、罵倒によって心は傷つきます。松尾被告も過去には就労し、雇用主から激しく叱責され、クビを言い渡された経験があったのでは?
それゆえ、「(叱られるくらいない)働くたくない」と思い至ったのかもしれません
以上は自分の仮説であって、明確な根拠に基づいて書いているわけではないと記しておきます
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