今治女性殺害事件 差し戻し控訴審で無期懲役
段ボール製造会社の倉庫で作業中の女性従業員にわいせつ目的で襲いかかり、殺害したとして2018年2月、同じ会社に勤める西原崇被告が逮捕・起訴されました
他に従業員がおらず2人きりだったとしても、常軌を逸した犯行です
話を整理し、前回当ブログで取り上げた内容も併せて書きます
1審の松山地裁では弁護側が西原被告に知的障害があったとして無罪を主張しましたが、懲役19年の判決を言い渡しています(求刑は無期懲役)。検察、弁護側ともこの判決を不服として控訴した結果、高松高裁は「わいせつ目的だとする検察側の主張について、審議が尽くされていない」とし、松山地裁に差し戻しを決定しています
差し戻しとなった松山地裁では西原被告のわいせつ目的での殺害を認め、無期懲役判決を下しました(これが前回、当ブログで取り上げたところです)
西原被告はなおも判決を不服として高松高裁に控訴していたのですが、1月18日付けで無期懲役の1審判決を支持し控訴棄却を言い渡しています
愛媛県今治市で平成30年、勤務先の運送会社の同僚だった女性=当時(30)=の首を両手で絞め、わいせつな行為をして殺害したとして、殺人と強制わいせつ致死の罪に問われた無職、西原崇被告(40)の差し戻し控訴審判決で、高松高裁(佐藤正信裁判長)は19日までに、無期懲役とした1審松山地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。判決は18日付。
佐藤裁判長は、強制わいせつ致死罪も成立すると判断した昨年3月の1審判決は「論理則、経験則等に照らして不合理なところはない」と認めた。被告側はわいせつな行為をする前に女性は死亡していたなどと訴え、量刑不当を主張していた。
1審判決によると、30年2月13日、今治市の段ボール製造会社の敷地内で一緒に作業していた女性の首を両手で絞めた上でわいせつな行為をし、タイツで首を絞めて窒息死させた。
(産経新聞の記事から引用)
西原被告の言い分は、1審の松山地裁が認めた強制わいせつ致死罪は成立せず、無期懲役とした量刑判断は誤りというものです。その理由として、被害者が死亡後に衣服を脱がせ、体を舐め回すなどの行為をしたのであって、強制わいせつではないとの理屈です(この際、遺体そのものを損壊してはいないので遺体損壊罪にもあたらないと言いたいのでしょう)
他の報道も織り交ぜて説明すると、西原被告は被害者女性にぞっこんだったと社員の証言があり、最初からわいせつ行為をする狙いがあったと考えられます。なので、懲役19年の判決を言い渡した最初の判決で「わいせつ目的だったとは認められない」とした裁判官の判断が誤りだったのです
被害者に何ら落ち度もなく非難される点もないのに一方的な暴力を受け、殺害された無念を裁判官は汲むべきだったと思います
当時の裁判で弁護側は、西原被告に殺意はなかったと主張した上で、「西原被告には軽度の知的障害があり、犯行当時の精神年齢は9歳程度だった」、「ストレスなどで行動をコントロールできず、犯行当時の記憶も失っていた」、「精神障害の影響で心身喪失状態だった」として、無罪を主張しています。そして犯行に至った原因は仕事上での作業の進め方をめぐり、被害者女性に怒りを覚えた結果の無自覚な犯行だったと弁護していました
そもそも、9歳程度の精神年齢しかない人物が女性の衣服を脱がせ遺体を舐め回したりするでしょうか?それは大人のスケベオヤジの行動であり、とても9歳程度の精神年齢などとは考えられません。西原被告は生き返らせようと心臓マッサージをし、その際に指を舐めた唾液が遺体に付着した、と説明しています。この西原被告の説明(弁護人の入れ知恵でないのであれば)も、精神年齢9歳程度とは思えません
西原被告は自動車運転免許を取得しているのですから、道路交通法を理解するだけの知的な能力はあると判断されますし、殺人が重罪であるというのも理解できるはずです
加えて、被害者女性と作業の進め方を巡ってトラブルになり、怒りから首を絞めたと主張してわいせつ目的を隠蔽しようと狙っているのですから、ずる賢さも垣間見えると感じます
事件から随分と時間がかかりましたが、無期懲役という形で決着するものと推測します。最高裁に上告しても棄却されるでしょう
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