飯能市一家殺害 10カ月もの精神鑑定後起訴

去年12月25日、埼玉県飯能市で3人を殺害した容疑で逮捕されていた斎藤淳容疑者(41)が、10か月間と異例の長期間に及ぶ精神鑑定の後、刑事責任を問えると判断され起訴に至りました。検察の執念が感じられます
斎藤被告は過去にも本件被害者であるビショップ・ウィリアムさん宅の車を傷つけるなど、器物損壊容疑で3回逮捕されているのですが、取り調べに対して何も供述しようとしなかったため、嫌疑不十分(警察官からの注意はあったのでしょうが)で不起訴となっています
ただ、同じ容疑で3度も逮捕され、取り調べにも沈黙したままとなれば、精神的な問題を抱えているのではないかと推察されるわけで、その時点で何か対処できなかったのかと思ってしまいます。器物損壊事件程度では精神鑑定に持ち込んだりしないのは理解できますが、結果からすればビショップさん一家への妄執にも似た思いが今回の殺人事件につながっているわけで、早い段階で対処していたら殺人事件を防げたのではないかと、ついつい考えてしまいます


埼玉県飯能市美杉台の住宅の敷地で昨年12月、住人夫婦と帰省中だった長女の3人が殺害された事件で、さいたま地検は21日、同じ住宅街に住んでいた無職斎藤淳容疑者(41)を殺人罪などでさいたま地裁に起訴した。
起訴状などでは、斎藤容疑者は昨年12月25日午前7時過ぎ、近所に住む米国籍のビショップ・ウィリアム・ロス・ジュニアさん(当時69歳)と妻の森田泉さん(同68歳)、長女の森田・ソフィアナ・恵さん(同32歳)の頭や首をおので複数回切りつけて殺害したうえ、夫婦宅に灯油をまき、放火したなどとしている。
斎藤容疑者の自宅は夫婦宅から約60メートルの場所。捜査関係者によると、近くの防犯カメラに犯行の状況が映っていたが、斎藤容疑者は逮捕後の調べに対し、「知らない」と否認したり、供述を拒否したりしていた。
地検は刑事責任能力の有無を調べるため、2月以降、斎藤容疑者の鑑定留置を2度にわたって実施。計10か月にわたる鑑定の結果、刑事責任能力を問えると判断した。
(読売新聞の記事から引用)


斎藤被告は携帯電話もパソコンも所持しておらず、自宅に固定電話もなかったそうです。ただ、母親からの月5万円の仕送りに依存して生活していたとされ、精神的にかなり荒廃した状態(廃人の二歩手前くらい?)だったのかもしれません。が、食べて寝て、生きていたのですから、完全な心神喪失状態にあったとまでは考えられません
事件の背景には、この地域には珍しい外国人一家に対する何らかの妄想(ビショップさん一家はCIAの工作員で自分の命を狙っているとか、アメリカ政府の命令で自分を監視しているとかの被害妄想)があったのではないかと推測されます。荒唐無稽のようですが、欧米系外国人=スパイといった妄想はしばしば見られます。斎藤被告が自身の抱えていた妄想を精神鑑定で明らかにしたのかどうか、です。家宅捜索では妄想など書き記したメモや日記の類がないか、調べたりもしているはずです
先述したように斎藤被告は携帯電話やパソコンを所持していなかったので、その履歴から犯行の背景や原因につながる情報を探る手は使えません。が、携帯電話やパソコンを持たなかったのは、盗聴されているとの妄想を抱いていたからではないか、との推測もできます
検察としては一家3人殺害の凶悪事件ですから、何としても起訴に持ち込みたかったのでしょう。しかし、精神障害なり何らかの病的な要因も絡みますので死刑求刑とはいかず、心神耗弱状態を考慮し無期懲役の求刑になるかもしれません

(関連記事)
飯能市一家殺害 斎藤容疑者は起訴されるか?
飯能市一家殺害 斎藤容疑者鑑定留置延長
飯能市一家殺害 専門家の見解
飯能市一家殺害 両親離婚、ボッチ、ひきこもり
飯能市一家殺害 斎藤容疑者とは
新居浜一家殺害事件を考える 無期懲役判決
名古屋路上2人刺殺事件 懲役30年確定
甲府放火殺人 「家族全員殺すつもり」
甲府放火殺人 犯人は19歳の生徒会長
甲府放火殺人 交際拒否で逆恨み
門真4人殺傷事件を考える5 母親に賠償を命じる判決
門真4人殺傷事件を考える4 控訴審も懲役30年
門真4人殺傷事件を考える3 懲役30年判決も不服で控訴
門真4人殺傷事件を考える1 犯行の狙いは?
世田谷一家殺害事件から15年
世田谷一家殺人 「犯人は15歳から22歳」と警察
蟹江町3人殺傷事件 死刑判決に不服、控訴
愛知蟹江町3人殺傷事件 中国人被告の裁判開始
茨城一家殺害事件を考える 精神鑑定終え起訴
茨城一家殺害事件を考える 岡庭容疑者は反社会パーソナリティ障害か
茨城一家殺害事件を考える 容疑者は10年前のナイフ少年か