蒸し返される俗説 「演歌の起源は韓国」

昔読んだ五木寛之の小説の中に、レコードプロデューサーで「演歌の竜」と異名をとる高円寺竜三という人物がいて、日本の演歌の起源は朝鮮半島の恨歌や艶歌だと力説していました。五木寛之は小説だけでなくエッセイの中でもこの主張を繰り返し書いています
五木寛之は朝鮮半島に赴任していた学校長の息子として彼の地で終戦を迎えていますので、朝鮮の文化に思い入れがあったのでしょう
しかし、韓国の大衆歌謡は日韓併合の後、日本の歌謡曲が広がったことで近代的大衆歌謡が生まれたのであり、日本から流入した演歌が朝鮮の大衆歌謡に影響を与えたと考えるのが自然な流れです
それでもなお、「演歌の起源は韓国歌謡だ」とか、「美空ひばりの父親は在日朝鮮人だった」とか、俗説が何度も蒸し返されます
が、こうした俗説は明確に否定されおり、以下のように説明されています


ロックやフォークソングが優勢になり、アイドル歌手も登場した七〇年代の日本において、韓国から来た二〇代の歌手は日本人の郷愁を誘う演歌歌手として受容された。
李成愛の登場で、日本で「演歌の源流は韓国」という言説が登場した。
その直接のきっかけとなったのは、李成愛の日本初アルバム『熱唱』のキャッチコピー「演歌の源流を探る」である。
当時、李成愛のプロモーションを担当していた岡野弁(おかのべん)らはこれを話題づくりのための宣伝用フレーズとしか考えていなかったが、このフレーズをみた人々によって、「演歌の源流は韓国」と語られるようになった。
さらには「朝鮮に住んでいた古賀政男が(朝鮮の民族楽器である)伽耶琴カヤグムの音色に影響された」という俗説も登場した。
だが第1章でみたように、韓国の大衆音楽は日本による植民地支配のもとで、日本のレコード会社の朝鮮進出を通して、日本の流行歌の影響を受けつつ成立したものである。
そのため、このような言説は韓国や在日韓国人の論者から批判され、現在では根拠のないものと考えられている。
(『K-POP現代史 韓国大衆音楽の誕生からBTSまで』著:山本浄邦 ちくま新書)


ちなみに古賀政男が韓国系である、とのデマもあるのですが間違いです
美空ひばりについては、戦後に登場した天才少女歌手について、「これほど歌が上手い女の子が日本人のはずはない」との噂が在日韓国・朝鮮人の間で広まり、根強く信じられてきたというのが真相です。さらに韓国の作曲家が公然と、「美空ひばりや都はるみなど、日本で活躍している歌手は韓国系である」と言い触らした影響もあり、定説のように扱われてきました

【日韓交流】日本歌謡界の伝説、「美空ひばり」物語

なお、インターネットで検索すると、九州在住の方に「演歌の起源は韓国」との俗説を信じている方が多くいるのが分かります。ラジオで韓国の放送が当たり前のように聞ける地理的環境もあって、韓国の大衆歌謡が耳に入りやすいため、九州方面ではこうした俗説が流布しているのだろうと思われます

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