ふじみ野市医師殺害 渡辺被告に無期懲役判決

訪問診療をしていた医師らを自宅に呼びつけ、散弾銃を発砲して殺害した渡邉宏被告に対し、さいたま地裁は求刑通り無期懲役の判決を言い渡しています
散弾銃を人に向けて発砲しておきながら、「殺意はなかった」と渡邉被告は主張していたのですが、当然ながら通用しません
被告・弁護側の主張はほぼすべて退けられた判決になっており、渡邉被告は不満たらたらでしょう


去年1月、埼玉県ふじみ野市で散弾銃を持って自宅に立てこもり、母親の主治医を殺害するなどした罪に問われている男に対し、さいたま地裁は無期懲役の判決を言い渡しました。
ふじみ野市の渡辺宏被告(68)は去年1月、母親の診療を担当していた医師の鈴木純一さん(当時44)の胸を散弾銃で撃ち、殺害したあと、理学療法士の男性の腹を撃ち、殺害しようとした罪などに問われています。
さいたま地裁で開かれている裁判員裁判で、渡辺被告はこれまで、殺人や殺人未遂の罪について「殺意は全くなかった。右ひざを狙って大けがをさせてやろうと思った」と起訴内容の一部を否認。
被告人質問で弁護側から「母親はどのような存在か」と問われた渡辺被告は「この世で一番大切な存在」と話し、「母親への蘇生措置をお願いしても聞いてくれず、頭に血が上ってしまった」と述べていました。
弁護側も「膝を撃とうとしたが、銃をしっかり持っておらず、胸などを撃ってしまった」などと、傷害致死の罪などが成立すると主張していました。
一方、検察側は「渡辺被告は母親が死亡した喪失感から自殺を考えたが、鈴木医師らの診療に不満があり、道連れにしようとした。被告には殺意があった」と指摘。
「診療の恩を忘れて凶行に及び、動機は理不尽で自己中心的」として、無期懲役を求刑していました。
きょうの判決で、さいたま地裁は「近い距離で銃身を胸に向ける危険な行為である」と殺意を認定し、「一方的に恨みを募らせ、強固な殺意に基づいて行われた理不尽かつ冷酷な犯行」として、無期懲役の判決を言い渡しました。
(TBSニュースの記事から引用)


拳で殴りつけたのであれば、「殺す気はなかった」との主張もあるいは通用するかもしれません。しかし、殺傷性の高い散弾銃や刃渡りの大きなナイフ・包丁で危害を加えたなら、殺意があったものと見なすのは妥当な判断です
しかも公判の中で渡邉被告は死亡した鈴木医師や重傷を負った理学療法士に対する謝罪の言葉もなく、ただ「殺意はなかったのだから刑を軽くしろ」と言ってるのと同じです
根底にはいまだに鈴木医師らに対する怒りが燻り続けており、謝罪したり反省の弁を述べる気持ちになれないとの事情があるものと推測されます
しかし、判決は渡邉被告と弁護人の言い分は全否定するような内容ですから、とても承服できないのでは?
だとしても、控訴したら東京高裁で「被告に殺意はなかったとものと推測され、1審は量刑判断を誤っている」などという判断が示されたりはしません
このまま不満を抱えて服役し、仮釈放のないまま刑務所の中で生涯を終えるのでしょう(無期懲役刑ですから、仮釈放を得るには30年近く服役し、なおかつ刑務作業に励み、改悛の情が顕著であるなど行刑成績が良好であることが必要です)。渡邉被告は68歳ですから、この先30年を健康を維持したまま刑務所生活を送るのは無理でしょう

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