京都アニメーション放火事件 死刑求刑

長かった裁判もようやく本日で結審となります。検察側は、「青葉被告に京都アニメーションにより小説の一部を盗用されたとの妄想があったとしても、それが極刑を回避する理由にはならない」として死刑を求刑しました
順序が前後しますが、11月6日の公判で青葉被告が、「それでも京都アニメーションが悪いことをしたとの思いは消えない」と、京都アニメーションを恨む気持ちが残り続けていると胸中を語っている記事と、死刑求刑を報じた記事の2本を貼ります


36人が死亡し32人が重軽傷を負った令和元年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第21回公判は6日午後、被告人質問が続いた。青葉被告は謝罪の言葉を口にする一方、「京アニが悪いことをしたという気持ちは消えないまま」とも述べた。
この日の被告人質問では弁護側、検察側に続き遺族や被害者の代理人弁護士が尋問。事件で亡くなった寺脇(池田)晶子さん=当時(44)=の夫が「(寺脇さんに対し)今はどう思うか」と問うと「申し訳ないと思います」と力なく答えた。
京アニに小説のアイデアを盗用されたと主張してきた被告。これまでの公判では、京アニの社員は「全員同罪」とした上で、「京アニがしてきたことは全部不問か」と逆質問する場面もあった。
この日、別の遺族の代理人弁護士が「今でも京アニが悪いことをしたと考えているか」と質問すると、「そういう気持ちが消えるほうが楽で、消えないままだからこそ考えるものがある」と京アニへの被害感情がいまでも残っていることを明らかにした。
また、被告の想定より被害が拡大した点について「決して(らせん階段などの)構造上の問題にはしない」と断った上で「運、ツキがなかった部分があるのは否定できない」と語った。
被告の刑事責任能力の有無や程度が最大の争点。検察側は被告に完全責任能力があると訴え「類例なき凄惨(せいさん)な大量放火殺人事件だ」と主張。弁護側は事件当時、心神喪失や耗弱の状態だったとして無罪や刑の減軽を求めている。
(産経新聞の記事から引用)

京都アニメーション放火殺人事件の裁判が大詰めを迎えています。検察側は7日の裁判で、青葉真司被告に死刑を求刑しました。
社員36人を殺害した罪などに問われている青葉真司被告(45)の裁判は7日午前から、検察側が求刑を示す論告公判が行われています。
裁判では、青葉被告の「刑事責任能力」の有無や程度が最大の争点となっています。
検察側「妄想が極刑を回避する事情ではない」
検察側は「被告の筋違いの恨みによる、類例なき凄惨な大量放火殺人事件で、日本の刑事裁判史上、突出して被害者数も多い」と指摘。
被告の「京アニに盗用された」という妄想は、「筋違いの恨みを強化した程度で、妄想があることが極刑を回避する事情ではない」と述べ、「遺族の悲しみや無念さは察するに余りある」として青葉被告に死刑を求刑しました。
9月から始まった裁判員裁判は、22回の審理を経てきょう結審する見通しで、午後からは、弁護側の最終弁論、さらに青葉被告本人の「最終陳述」が行われる予定です。判決は、来年1月25日に言い渡される予定です。
(MBSニュースの記事から引用)


長い裁判の中で、青葉被告の心の中は揺れ動いたのでしょう。それでもなお、青葉被告は事件の発端であるところ「京都アニメーションに小説の新人賞から落とされ、挙げ句に小説の一部をパクられた」という怒りの原点を、いまでも手放せないでいるのが伝わってきます。小説を盗まれたという自身の認識が誤解であると幾度も説明されたのですが、それを受け入れてしまえば青葉被告自身の行動がすべて否定される結果になるわけで、まだ抵抗せずにはいられないというのが本音なのでしょう
その「自分の判断、復讐は正しいかったのだ」との思いへの執着心はともかく、青葉被告は決してモンスターなどではなく、不幸な生い立ちを背負った不器用で融通が効かない若者であり、生き辛さを抱えていたのだろうと思われます。ただ、不器用だから同情されるべきかどうか、ではなく、その分余計に頑なで人との衝突を繰り返す尖った生き方をしてきたのでしょう。青葉被告が周囲との衝突で何度も傷ついたように、青葉被告も周囲の人を何度も傷つけてきたのが実際だと推測します。結果、行き着いたのが京都アニメーションの放火殺人です
裁判も終わりますが、現時点で青葉被告に「心から反省せよ。後悔せよ。懺悔せよ」と迫ったところで無理な話であり、まだこの先も心が揺らぎ続けるのでしょう。あるいは現状のまま死刑が執行されるのかもしれません

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