甲府放火殺人 「被告の犯行理由に納得できない」

甲府放火殺人の裁判も来週12月11日に結審する予定です。長々と裁判をやっていますが、公判前の争点整理段階で警察・検察側の提示した証拠、証言調書などに被告側が同意していれば、これほど長い裁判をやる必要はなかったわけです
被告側がこれだけ長期の裁判をやった狙い、意味は不可解であり、謎です
おそらくは法廷で遠藤被告の実父や実母、養父らの証言を引き出し、過酷な生育歴を裁判官や裁判員にアピールし、同情を得ようとしたのでしょう。が、その狙いが成功したようには思えません
また、遠藤被告が犯行時、精神的に追い詰められ心神耗弱状態(善悪の判断が不明確になるほど心が衰弱した状態)にあったので減刑すべき、と弁護人は主張していたのですが、これも説得力があったとは思えません
前回取り上げたように、「自分を振った長女に復讐するため、指の爪を剥ぐなど拷問をするつもりだった」などの犯行の狙いが調書の中にあり、裁判官も裁判員もドン引きしたはずです。心神耗弱どころの話ではなく、遠藤被告のドス黒い欲望に辟易とさせられたのでは?
12月4日の公判では、長女が法廷とは別室からリモートで証言し、「遠藤被告の語る犯行の動機や理由など、まったく納得できない」と述べています


おととし、甲府市の住宅で50代の夫婦を殺害し、住宅を全焼させた罪などに問われている当時19歳の被告の裁判で、遺族の意見陳述が行われ、夫婦の長女が「裁判で被告が話した理由は納得できず理解できない」と述べました。
甲府市の定時制高校に通い当時19歳だった遠藤裕喜被告(21)はおととし10月、一方的に好意を寄せていた女性が暮らす市内の住宅に侵入し、女性の50代の両親をナイフなどで殺害したほか住宅を全焼させたなどとして殺人や放火などの罪に問われています。
4日の裁判では、遺族の意見陳述が行われ、被告が一方的に好意を寄せていた女性が法廷と別の場所からビデオでつないで証言しました。
このなかで「お父さんやお母さん、妹は何も悪くないのにどうしてこんなことになったのか、ずっと理由を考えています。裁判で被告の話した理由は少しも納得できず、何も理解ができません」と述べました。
また、裁判で被告から謝罪がないことについては「自分が悪くないと考え、やったことから目を背けて、逃げているとしか思えません」と述べました。
さらに事件で被害にあった妹が精神的な後遺症で苦しんでいるとして「どんな処罰を望むかは被告が怖いので、ここでは言いません。裁判官、裁判員のみなさん、どうか妹の心と体を守ってください」と訴えました。
裁判は次回・今月11日に結審する見込みです。
(NHKの記事から引用)


もとより殺人犯の犯行理由、動機など聞かされても第三者には理解できないものであったりします。被害を受けた当事者であっても同様でしょう
遠藤被告の犯行の理由や動機も、遠藤被告にとっては当然の報復であり、筋道の通った行動なのでしょうが、他人には「何でそんなことするんだよ?」と言いたくなる内容です
当然ながら裁判官や裁判員にも理解は不可能であり、皆が「何でそんなことするんだよ?」と感じているはずです。殺害された井上さん夫妻が遠藤被告に何か危害を加えたわけでもありません
おそらく弁護人にとっても理解不能なのでしょうが、そこは商売ですから被告の心情や心の叫びを理解したフリをして、弁護活動をしているものと想像します
何度も書いた気がするのですが、遠藤被告が己の非を最初から認め、初公判から謝罪の念を前面に出していたなら違った裁判になったはずです
ただ、それでは遠藤被告自身納得できず、謝罪を口にする気になれなかったのでしょう
本来なら遠藤被告の怒りは井上夫妻に向けられるものではなく、自分の実父や実母に向けられるはずのものだったと考えられます。しかし、怒りをそこへ向けるのではなく、井上夫妻や次女へ向けてしまいました。遠藤被告の屈折した精神状態が垣間見えると思うのですが、裁判の本質とは関係のない話です(もう一つ付け加えるなら、実母が遠藤被告の就職先を勝手に決めてしまい遠藤被告は大いに不満だったのですが、最終的に実母の決めた会社への就職を受け入れています)
遠藤被告の実母がどのような女性か、情報が乏しいのであれこれ言えないのですが、実母に逆らえない理由が不明です。就職先など遠藤被告自身で決められるはずですから

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