中国のアニメファン 「呪術廻戦」声優を絶賛

日本のアニメーションの長所として、声優の演技の質が高いとしばしば指摘されます。例えば中国アニメの場合、演技とさえ呼べないほど質が低いと、中国のアニメファンから批判されます。日本を上回る数のアニメ作品を量産している中国ですが、声優の育成はまだまだなのでしょう
他方で韓国アニメでは、劇場版作品に有名な俳優や女優を起用したりするのですが、こちらも評判はよくありません。有名俳優が声を担当していると話題を作り、映画館に客を呼び込みたくて起用しているのでしょうが、単なる話題作りに終わってしまうようです(作品のプロモーション動画では声優を務める俳優・女優をべた褒めするのが常です)
さて、TVアニメ「呪術廻戦」2期で、七海賢人の声優を務める津田健次郎の演技に中国のアニメファン称賛が寄せられている、とレコードチャイナが記事にしていますので取り上げます


2023年11月24日、中国のSNS・微博(ウェイボー)でアニメ「呪術廻戦」に関するワードがトレンド入りした。
「呪術廻戦」は芥見下々(あくたみげげ)氏原作の漫画作品。人間の負の感情から生まれた呪霊をはらう呪術師の戦いを描く。現在、アニメ第2期で「渋谷事変」が放送されており、世界的なブームを巻き起こしている。
23日に放送された「呪術廻戦」第2期第18話では、重傷を負った七海建人の元に大量の呪霊が現れ、苦戦しながらも呪霊を倒していく七海の姿が描かれた。海辺でゆっくり過ごしたいという七海の胸中を表したシーンが流れつつも、最後には真人が現れ、七海はこの戦いで犠牲となってしまう。
微博で586万超のフォロワーを持つアカウントは「おやすみ七海建人さん、ちゃんと休んでね!さようなら、ななみん(涙)」という投稿と共にこのシーンを紹介。微博で「さようなら七海」がトレンド入りし、ネットユーザーからは涙のコメントが多数寄せられた。
また、「声優の演技がすごく良かった。漫画は何度も見たけど、このシーンを見るといつも泣いてしまう」「津田さん(=七海の声優)の演技がすごすぎる。『逃げて、逃げたくせに』っていう一言でもう泣いた」「日本の声優はすごすぎる。感情移入が尋常じゃない。演技しているっていう感じがしないし、漫画を読んでる時にこのキャラクターの声はまさにこれって感じがするんだ」など声優に言及する声も多かった。
このほか、「大丈夫、ななみんはクランクアップしただけ。次はバカンスに行けるさ。海辺で今まで読めていなかった本も読める。休ませてあげよう(涙)」「もう仕事しなくていいよ。海辺でゆっくりしてね」「きっと今ごろはご飯でも食べているよね?」と七海をいたわる声のほか、「漫画では真人に向かって立っているだけだったけど、アニメでの改編は良かった」「漫画とカット割りが違ったよね。傷の痛みや絶望を見せることもなく、そばにいた虎杖に体を傾けて一言声をかけた。きっとこれがかっこいい大人の最後の優しさだったんだろうね(涙)」など、アニメでの改編に言及する声も寄せられた。
(レコードチャイナの記事から引用)


中国のアニメファンはおそらく日本語の放送を中国語の字幕で視聴しているものと思うのですが、声優の演技(声調や抑揚、間といった微細な部分も)をよくよく感じ取っているのだな、と驚かされます
少し前までは日本アニメを絶対に認めたくない中国共産党(習近平)の意向に従い、中国メディアはこぞって批判的な記事を掲載したものです
例えば当ブログでも取り上げたように、アニメ「幼女戦記」を軍国主義賛美だと批判し、声優を務める早見沙織や戸松遥まで槍玉に挙げていました。が、これらはあくまでメディアによる批判であって、アニメファンの感想ではありません。その記事から一部を引用します


(アニメ作品「幼女戦記」の声優を務める早見沙織、戸松遥への批判と作品そのものへの批判)2021年9月
多維新聞の記事もこうした批判に同調しているようで、「(同作の声優の)早見沙織、戸松遥は中国侮辱アニメとして知られる『魔法科高校の劣等生』に出演したという“前科”があり、悠木碧は『幼女戦記』の興行を盛り上げるためにナチスを思わせる軍服を着て、日本の民衆の軍国主義感情をあおったことがある」などと伝えている。
また、今年8月15日の終戦の日前後には、中国の大手映画情報サイト・豆瓣(Douban)で宮崎駿の「風立ちぬ」や「紅の豚」、小津安二郎の「東京物語」、「戦場のメリークリスマス」といった作品に相次いで低評価や中傷コメントが付けられたが、記事はこれについても「第2次世界大戦に関わる日本映画は、制作チームの中に中国侵略戦争に関わっている人がいたり、ストーリーが中国侵略戦争に関係していることから不評を買った」と説明。「多くのネットユーザーは日本のいわゆる反戦映画は『反戦争』ではなく『反戦敗』であると批判している」と伝えた。
(レコードチャイナの記事から引用)


いかにも、と感じさせる中国共産党の意向を反映した批判記事です。記者は原作小説の「幼女戦記」など読んでもいないのでしょう。「幼女戦記」は敗戦へと向かう帝国軍の中にあって、主人公らがいかに敗北への道筋をつけるかがテーマとなっている作品であり、軍国主義賛美だと決めつけるのは作品を理解できていない証拠です
こうした官製メディアの日本アニメ批判に対し、中国のアニメファンは「なぜ日本のマンガ・アニメが人気なのか?なぜ日本の文化が中国で浸透することを恐れているのか?それは中国の文化教育がしっかりしていないからだ。自分が持っていないからと優れたものを排斥したのでは、鎖国と何ら変わりはない。日本の文化に中国が学ぶべき点が多いのは事実だ」と反発しています

【呪術廻戦】七海建人 イケボまとめ(津田健次郎)

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