立川ホテル殺人を考える 懲役25年求刑

2021年6月、東京・立川市のホテルで風俗店勤務の女性(31)を殺害し、同店従業員の20代男性も殺害しようとしたとして殺人や殺人未遂などの罪に問われている元少年(現在21歳)の公判で、検察側は懲役25年を求刑しています。1人殺害で1人に重傷を負わせた犯行として、元少年に懲役25年を求刑するというのはかなり重い判断です
初公判の際には加藤聖哉被告が不規則発言を繰り返し、裁判官から退廷を命じられる一幕もありました


おととし、東京・立川市のホテルで、風俗店の店員の女性を包丁で刺して殺害した罪などに問われている当時19歳だった元少年に対し、検察側は懲役25年を求刑しました。
元少年(22)はおととし6月、19歳だった時に立川市のホテルで風俗店の店員の女性(当時31)を包丁で刺して殺害した殺人の罪などに問われています。
元少年側はこれまでに「心神喪失状態だった」と無罪を主張していて、裁判の主な争点は元少年に責任能力があるかどうかです。
きょう東京地裁立川支部で開かれた裁判で、検察側は「凶器の包丁を事前に用意し犯行前日に風俗店に電話をかけて予約するなど相応の準備を行っていた」と指摘しました。
そして、「自閉スペクトラム症の影響は限定的で、完全責任能力があった」と主張。「自殺しようと考え、一方的に好意を抱いた被害者を殺そうと考えた動機は身勝手だ」と懲役25年を求刑しました。
一方、元少年の弁護側は「自閉スペクトラム症の影響で善悪を区別する能力や行動をコントロールする能力がなかった」と改めて無罪を主張しました。
きょうの裁判では殺害された女性の父親が意見陳述を行い、「被告人や被告人の家族から私たちは直接、一度も謝罪を受けていません」「何十か所もの傷を負い亡くなってしまった大切な娘の命を返してください。私たちの幸せを返してください」と述べました。そして「被告人は犯行当時は未成年で加害者であっても将来を守られているが、私の娘に将来はありません」、「重い刑に処されることを強く望みます」と訴えました。
これまでの裁判で元少年は不規則発言を繰り返し、複数回、退廷を命じられています。
きょうの裁判でも元少年は、女性の父親や検察官が意見を述べているときに「まだ生きてますよ」「心神喪失、心神耗弱」などと不規則発言を行い、裁判長から注意される場面もありました。
判決は12月14日に言い渡される予定です。
(TBSニュースの記事から引用)


初公判時の不規則発言について、以下のようなものだったと別の記事で伝えています。加藤被告は起訴前に精神鑑定を受けており、刑事責任能力に問題はないと検察側は判断して起訴しています。この場合、問題となるのは裁判時での精神状態ではなく、犯行時の精神状態です

「ウルトラのゼロ……ウルトラの……って人にすごい似てるんですけど、バイオハザード、なんか、ハリウッド、なんか……トランスフォーマーの関係で……今ちょっと悩んでて、みんな死んでる世界で南海トラフ地震に……それがいずれ目覚めて……仮面ライダーキバの……」

こうした発言が自閉スペクトラム症による影響なのかどうか、判断が分かれる所です。弁護人が心神耗弱を理由に減刑を求めていることを加藤被告は理解しているはずですから、わざと不規則発言を法廷で行い精神に異常をきたしているかのごとく振る舞っている可能性も考えられます
もちろん、公判を迎えた時点で精神障害が悪化し善悪の判断能力もなく、自分を弁護するだけの見当識もないと判断された場合(心神喪失状態)は裁判の継続が困難と判断され、公訴棄却となります。が、実際に公訴棄却となる事例はまれです
被告に精神障害や重度の知的障害あったと認められる場合でも、「弁護人の助けを借りれば訴訟継続は可能」と裁判官が判断すれば公訴棄却とはしません
本件でも求刑まで公判が進んでいますから、このまま12月14日に判決が言い渡されるのでしょう。無罪という判断はあり得ず、懲役20年以上の刑が言い渡されるものと予想します
ただ、加藤被告の障害が事件にどう影響したのかまでは詳らかせされず、検討もすっ飛ばして有罪の判断を下す、という展開になってしまうのは引っかかりを覚えます。そこまでの厳密な検討を刑事裁判に求めるのは無理だとは分かりますが

(関連記事)
立川ホテル殺人を考える 法廷での異常な発言
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/502000181.html
立川ホテル殺人を考える 元少年に懲役23年判決
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/501764851.html
立川ホテル殺人を考える 加藤被告初公判
立川ホテル殺人を考える 風俗嬢を敵視
立川ホテル殺人を考える 19歳少年逮捕
門真4人殺傷事件を考える4 控訴審も懲役30年
門真4人殺傷事件を考える3 懲役30年判決も不服で控訴
門真4人殺傷事件を考える1 犯行の狙いは?
飯能市一家殺害 専門家の見解
飯能市一家殺害 両親離婚、ボッチ、ひきこもり
西成准看護師殺人事件を考える 控訴審でも無期懲役判決
西成准看護師殺人事件を考える 無期懲役判決
西成准看護師殺害事件を考える 解離性同一性障害
大阪多重人格殺人で懲役16年の判決2 人格障害認めるも有罪
大阪多重人格殺人で懲役16年の判決1 6つの人格
学習塾殺人事件を考える4 6年生女児を殺した塾講師
学習塾殺人事件を考える2 アスペルガー障害と殺人の関係
学習塾殺人事件を考える1 京進ゼミが9900万円賠償