仙台女子中学生刺傷事件 尾張被告に懲役16年判決
仙台市で登校途中の女子中学生2人を包丁で刺し、それぞれに全治一ヶ月の重傷を負わせた尾張裕之被告に対し、仙台地裁は懲役16年の判決を言い渡しています(求刑は懲役17年)
弁護人は統合失調症の妄想から逃れるため犯行に至ったもので、心神喪失か心神耗弱の状態にあったとして無罪か減刑を求めていました
去年7月、仙台市太白区の路上で女子中学生2人を包丁で突き刺したとして殺人未遂などの罪に問われた45歳の被告に対し、仙台地方裁判所は懲役16年の判決を言い渡しました。
住所不定、無職の尾張裕之被告(45)は、去年7月、仙台市太白区の路上で登校中の女子中学生2人を包丁で突き刺し、それぞれ大けがをさせたとして殺人未遂と銃刀法違反の罪に問われました。
裁判では、事件当時、統合失調症を患っていた被告に責任能力があったかどうがかなどが争点となっていて、検察は「目的に沿った合理的な行動を取っていて、完全責任能力があった」などとして懲役17年を求刑し、弁護側は心神喪失か心神こう弱の状態にあり、無罪もしくは減刑すべきだと主張していました。
29日の判決で、仙台地方裁判所の宮田祥次裁判長は「人を殺せば死刑になるとわかったうえで自分より弱いと考える相手を探して犯行に及んでいる」などとして完全責任能力があったと判断しました。
そのうえで「強固な殺意に基づく極めて危険な犯行で、結果は非常に重大だ。死刑になりたいから自分よりも弱い者を殺そうという動機も身勝手極まりない」などとして、懲役16年を言い渡しました。
判決のあと、被害にあった中学生の父親が報道陣の取材に応じ「家族の心の傷は回復していないが、おおむね求刑通りの判決となり納得せざるをえないと感じる。謝罪のことばがほしかった」と話しました。
求刑が懲役17年で判決が懲役16年ですから大幅な割引はなく、統合失調症による影響はほぼ否定した判断なのでしょう。統合失調症の影響は刑事責任能力を減衰させるものではなかったと
ただ、尾張被告がある日突然、統合失調症を発症したとは考えられません。統合失調症のほとんどは20代から30代にかけて発症すると考えられており、現在45歳の尾張被告が統合失調症を発症したのは10年以上前ではなかったかと推測します
その間、精神科の治療を受ける機会があったはずですし、治療の継続が必要とされる病気だと医師から教えられていたのでは?
しかし、尾張被告は治療を途中で止めてしまったのでしょう
「(妄想から逃れるため)人を殺して刑務所に入りたかった」という尾張被告の言い分を聞いても、とても納得できるものではありません。刑務所へ行く前に病院に行けと言いたくなります。無職でおそらく生活保護受給して生活していたと想像されるわけですが、精神障害者手帳を取得していたなら治療を受けるにしても自己負担は軽くすみます
尾張被告の周囲に、精神科受診を進める民生委員とかいなかったのでしょうか?あるいは保健所で尾張被告を説得し、受診を促すとか
被告を裁判にかけ刑務所へ送り込めば終わりではなく、犯罪を起こす前に対処する仕組みがあるはずなのに、それが機能していないのが問題です
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