京都アニメーション放火事件 「死刑は正当化されるのか」

青葉被告の公判が続いています。大詰めを迎え、量刑を巡るやりとりに入ったと報じられています
しかし、弁護人が「死刑制度を巡る過去の判例を挙げながら『人を殺すことは悪いことなのに、なぜ死刑が正当化されているのか』とか『本当に目には目を、なのか考えて審理してほしい』と求めた」と記事には書かれており、何をいまさらと思ってしまいました
弁護人は何か重大な問題提起をしたつもりなのかもしれませんが、あまりに陳腐な発言です
殺人は刑法で禁じられた犯罪であり、処罰の対象です。死刑は刑法で定められた刑罰であり合法です。まったく異なるものなのに、同じであるかのように並べ、「なぜ死刑は正当化されているのか」などと問うのは小学生並みの論法でしょう
「動物を虐待してはいけないのだから、牛や豚を殺して食べるのは犯罪だ」と主張するが如き、です


36人が死亡し、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第17回公判が27日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれ、検察側、弁護側双方による冒頭陳述に続き、被告人質問が行われた。事件の受け止めを改めて問われた被告は「あまりにも浅はかだった」「他に方法がなかったのかという後悔が山ほど残る事件だった」と語った。
被告はこれまでの審理を踏まえ「被害者一人一人が、顔や性格、生活がある生きている人だと痛感した」と吐露。「恨みがあったとはいえ、それを考えずにガソリンをまいたことはあまりにも考えが浅はかだった」と振り返った。
また京アニに対する怒りや憎しみがあった一方で、「(事件後は)『ざまあみろ』という思いより、逆に他に方法はなかったのかと後悔が残った」と説明。「思ったことを裁判で答えることが自分の責務ではないかと思っている」と述べた。
これまでの公判では、被告の精神鑑定を実施した鑑定医の一人が、被告が自作小説の内容を京アニに盗用されたと主張している点について「妄想によって形成された」と指摘していた。検察側からこの点について問われた被告は「自信がなくなった。自分の目の前で行われたことが事実でなかったかもしれない」と述べ、「人の命を奪ったことを重く考えるべきだと思った」と語った。
(産経新聞の記事から引用)

検察側は事件を「類例なき凄惨な大量放火殺人」と位置付け、被害の大きさや犯行の悪質性を主張。弁護側は「死刑選択は重大な判断。本当に死刑と判断すべきか考えてほしい」と裁判員らに訴えた。
事件の重大性に鑑(かがみ)み、事件全般、責任能力、量刑の3つに分けて審理が行われている公判は、この日から最後のテーマである量刑に移行した。
冒頭陳述で検察側は「筋違いの恨みによる復讐として及んだ類例なき大量放火殺人事件」と指摘した。事件として平成以降最悪の犠牲者数となった結果などを考慮すべきだとし、「被害者、遺族が負った恐怖や苦しみ、精神的苦痛について着目してほしい」と訴えた。またガソリンを用いた犯行の残虐性についても言及した。
一方、弁護側は冒頭陳述で、死刑制度を巡る過去の判例を挙げながら「人を殺すことは悪いことなのに、なぜ死刑が正当化されているのか」「本当に『目には目を』なのか考えて審理してほしい」と求めた。
これまでの公判で検察側は、事件は被告のパーソナリティーに基づく犯行だとして完全責任能力を主張する一方、弁護側は事件当時、精神障害の影響で心神喪失や耗弱の状態だったとして無罪や刑の減軽を求めている。
(産経新聞の記事から引用)


国選弁護人として青葉被告の弁護人を引き受けた弁護士も使命感を持って取り組んでいるのは理解できますが、どうにもその努力が空回りしているように思えてなりません
さて、上記の記事を読む限り、裁判が始まった当初と比べて青葉被告は自身の犯行をより深く見つめ、内省する傾向が出てきているように感じます。当初の投げやりで、自棄的な様子からは変化しているかな、と
一番の変化は京都アニメーションの新人賞で落とされ、その後に小説の一部がパクられたとする青葉被告の主張が、どうやら自分の思い違いであったかもしれないと気づいた点にあります
ただ、それで判決がどうこうなるものではなく、あくまで犯罪事実に即して判断されるのでしょう
量刑を巡っては、検察側が死刑を求刑をするのは確実視されます。それに対抗する弁護側はありきたりの死刑廃止論を持ち出すのでしょうか?やめてもらいたい、と思うのですが

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