量子コンピューター超え計算システム 東京理科大

今年に入って量子コンピューターの話題を取り上げる機会が増えました。技術的な部分を自分は理解しているとは言い難いのですが、個人的な関心事なので今後も取り上げるつもりです
さて、その量子コンピューターとは別の、それでいて匹敵するほどの高い計算能力を持つシステムの開発が東京理科大学のチームによって進められていると報じられていますので、言及します
その前に余談ですが、2010年にアメリカ空軍研究所がプレイステーション1700台を用いてスーパーコンピューターを製作した、と報じられたことがあります。この時、「プレイステーションがあるんだから、もうスーパーコンピューターを開発する必要はなくなった」との意見があちらこちらから出たものです。しかし、アメリカ空軍研究所の狙いは、インテル製などの演算装置に不具合が生じたり、ハッキングによって使用不可能な状態に陥ればアメリカが保有する既存のスーパーコンピューターが使えなくなる可能性があるため、それを回避する方策を予め用意する意図があったものと思われます
今の量子コンピューターが優れた性能を発揮するとはいえ、それだけに依存してしまうのは危険なわけで、量子コンピューター並みの計算応力を有するまったく別のシステムを準備しておくのは十分に意義があり、価値があるものです


東京理科大学の河原尊之教授らの研究チームは、回路線幅22ナノメートル(ナノは10億分の1)の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を使い、現在の量子コンピューターを超える計算能力を持つ大規模集積回路(LSI)システムを開発した。創薬や材料開発などに生かせる「組み合わせ最適化問題」を低消費電力かつ高速に解く。複数のチップを並列動作させることで機能を拡張し、大型の設備が必要なクラウドサービスを使わずに大規模な計算を可能にする。
河原教授らが開発したのは、複数のLSIチップをつないで機能を拡張できるスケーラブルな全結合型の「イジングLSIシステム」。これまで1チップ内に収まっていた演算機能を、複数の汎用CMOSに分けて接続することで拡張可能なことを実機で実証した。
22ナノCMOSで作製した演算LSIチップ36個と制御用FPGA(演算回路が自由に書き換えられる半導体)1個を搭載。現状のゲート方式の量子コンピューターを上回るビット数が4096個の大規模システムを試作した。チップ数を約半減できる新たな実装方式を採用して集積度を高めた。組み合わせ最適化問題の一つである4096頂点の「頂点被覆問題」が解けることを確認している。
2030年ごろまでにビット数を2メガ(メガは100万)個程度まで増やし、50年ごろに実現するとされる同方式量子コンピューターと同等以上の計算能力を目指す。
量子コンピューターは組み合わせ最適化問題を解くのが得意だが、超電導方式では極低温に冷やすために大規模な装置が必要。これに対し、既存のシリコン半導体によるLSIで同様の計算が可能になれば、創薬や材料開発、物流や金融、マーケティングなど幅広い領域において、現場で手軽に使えるなど応用の可能性が広がる。
(日刊工業新聞の記事から引用)


22ナノメートルの回路線幅の半導体は、およそ10年前の製造技術になります。現在は2ナノメートルとか3ナノメートルといった超微細な回路線幅での製造技術で、各メーカーが競争しています。つまりそれだけ枯れた技術(使いこなされ成熟した技術)による半導体が、最先端の量子コンピューターに匹敵するほどの計算応力を発揮する可能性を示した、との報道です
量子コンピューターに比べ遥かに低価格で実現でき、理化学研究所の量子コンピューターのように超低温状態に冷却させたまま稼働させる必要はないので運用費も安く済みます
今後、このシステムが主流になるかどうかは不明ですが、第2、第3の選択肢を備えておくのは十分に意義があり、価値があるものと考えます
なにせ既存の半導体を組み合わせて実現してしまったところに驚かされます
基礎研究とはこのように、さまざまな可能性を模索し、新たな発見や技術の改良を積み重ねる取り組みです
隣の韓国では商業化可能な技術、ビジネスに結びつく新発見ばかりを重視し、実利を探求してきました。それではノーベル賞が穫れないと分かるや、「基礎研究に取り組まなければならないニダ」とメディアが大合唱を始めています。ですがそれもノーベル賞という実利を追い求めるものです
韓国の量子コンピューター開発は日本が取り組んでいる「超伝導方式」ではなく、「イオントラップ方式」を推めています。あえて他国と違う方法を探るというのも見識だと思います。従来の韓国なら「選択と集中」を唱え、いわば勝ち馬に乗る方を選択して資金と人を集中的に注ぎ込み、追いつき追い越す途を選んでいました。韓国が「イオントラップ方式」の量子コンピューターを実現し、可能性を押し広げるならそれこそ科学への貢献として評価されるでしょう

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