側溝のぞき男再犯逮捕 覗きがやめられない

道路脇の側溝の中に潜り込み、その隙間から歩道を歩く女性のスカートの中を覗き見する、という側溝覗き男こと平井泰臣容疑者がまた逮捕されたと報じられています
平井容疑者は2013年、2015年にも同様の犯行で逮捕されており、今回が3度目となります。平井容疑者が述べた「生まれ変わったら道になりたい」との発言が大々的に取り上げられ「変態の鑑」と呼ばれました。が、迷惑な犯行であり笑って済ませるわけにはいきません
産経新聞がこの「覗き行為がやめられない」特殊性癖の持ち主について記事を掲載していますので、一部を引用します


生まれ変わったら道になりたい-。8年前、側溝に潜んで女性のスカート内をのぞき見ようとしたとして逮捕された男が今年9月、スマートフォンを側溝に仕掛けた疑いで、再び兵庫県警に逮捕された。以前の逮捕時には「側溝男」として実名で大きく報じられ、厳しい社会的制裁を受けたにもかかわらず、男は改心することなく、またしても同様の手口の犯行に手を染めてしまった。常習性が高いとされる性犯罪の再犯を防ぐ有効な手立てはあるのだろうか。
(中略)
一般に、性犯罪には再犯が多いイメージがあるが、実際は再犯率がそれほど高いわけではないという。性犯罪の問題に詳しい原田隆之・筑波大教授の「痴漢外来-性犯罪と闘う科学」(ちくま新書)によれば、その再犯率は5%程度にとどまるとされる。
ただ、性犯罪全体に比べ、痴漢や盗撮の再犯率は高い。法務総合研究所の統計によると、その同種再犯率は、保護観察付き執行猶予者で痴漢が36・9%、盗撮が25%、出所受刑者では痴漢が49・7%、盗撮が42・9%。原田氏は著書の中で同種犯罪ばかりを繰り返している者が多いのが特徴だと指摘する。
認知のゆがみに自ら気づく「認知行動療法」
性犯罪の再犯防止に一定の効果を上げているのが、認知行動療法だ。人の行動に関する心理学や行動科学を応用した心理療法で、問題行動の原因になる考え方や行動のゆがみに自ら気づく練習を行い、実際に同じ場面に直面したときに、自らをコントロールする。
法務省は、16年に奈良市の小学1年、有山楓ちゃん=当時(7)=が再犯者に誘拐、殺害された事件を機に再犯防止の検討に着手。18年の刑事収容施設法の施行に伴い、認知行動療法に基づく受刑者への再犯防止指導を始めた。
現在は、昨年度改定された処遇プログラムを基に、受刑者にグループワークやカウンセリングなどを実施。自身の性加害のパターンや特有の認知のゆがみを知り、日常生活でうまくいかないときの対処法を学ぶとともに、被害者の苦しみへの理解を促す。
受講者同士が意見を出し合って、再び罪を犯さないための方策を話し合う。例えば、痴漢なら満員電車に乗り合わせないため職場の近くに住む、盗撮ならスマホのカメラを壊したり、そもそもスマホを持たないようにしたりする対処法があるという。
(中略)
生まれ変わったら道になりたい-。こうした言動から強い覚悟すらにじませる男を、別の道へと進ませることは可能なのか。
性依存症の治療に詳しい専修大の松嶋祐子准教授(心理学)は、のぞきを繰り返す男の犯行態様から「のぞきへの性依存傾向がうかがえるが、8年間捕まっていなかったことから、犯行に及んでいなかった期間も相当に長いといえる。やめたいとも思っているのではないか」と指摘する。
その上で「痴漢や盗撮は、日常生活で行為を誘発するスイッチが多い。仮に刑務所で認知行動療法を受けたとしても年とともに効果は薄れてしまう。このため出所後も継続してカウンセリングや自助グループに参加できる環境整備や支援が必要だ」と話している。
(産経新聞の記事から引用)


平井容疑者は2015年の逮捕後、リハビリ(?)をしていたとの情報があります。正しくはリハビリテーションではなく、カウンセリングを受けるとか、行動療法を受けていたものと推測されます
ただ、そのまま継続するのではなく途中で止めてしまったのでしょう
アルコール依存症でもギャンブル依存症でも、「自分はもう大丈夫だから」と自助グループ(月に1~2度集まってグループワークをする)を抜けた途端に元の依存状態に戻ってしまうのはアルアルです
過去2度の逮捕で平井容疑者が実刑判決を受け服役したのかは不明ですが、これで3度目の逮捕となれば実刑判決が下されるはずです
刑期としては2~3年からもしれませんが、それで彼の性癖が矯正されたりはしないでしょう。刑務所から出所したらまた同じ犯行を繰り返すかもしれません
上記の記事では「出所後も継続してカウンセリングや自助グループに参加できる環境整備や支援が必要だ」と書かれているものの、現時点でその予算はありませんし、体制も整ってはいません
元受刑者の更生支援にどれだけ国費を注ぎ込めるか、国民の理解がなければ話は進まず提言だけで終わってしまいます
覗き行為や盗撮事件については当ブログでたびたび取り上げてきたところです
スカートの中を覗いても盗撮しても、そこにはパンツかパンティストッキングしか映らないと分かっていながら、覗きや盗撮をやめられない一種の強迫神経症の状態では、自分で制御するのは困難です。「外出時はカメラやスマートフォンを持ち歩かない」とする、手段・機会を奪う方法で抑制する方法もあります。が、盗撮好きな人間はああだ、こうだと理由をつけてカメラやカメラ機能付き携帯電話などを購入します。「仕事に必要だから」などと言って。しかし、もうそれは犯行の準備と同じでしょう
カウンセリングと精神分析の違い
カウンセリングの技法・基本理論は20以上もあって、どれが優れているとか一概に言うのは難しので、精神分析とカウンセリングの大まかな違いを書いておきます
カウンセリングは原則として人間の意識に問いかける技法であり、無意識の領域には立ち入りません。逆に精神分析は無意識の領域に立ち入る技法です
上記の記事にもある認知行動療法も、認知可能な意識に積極的に働きかけ行動の変容を図る技法です。性犯罪の多くが認知の歪みを抱えているとの前提に立ち、その歪みを正し行動を変えていこうとします
「痴漢被害に遭った被害者の立場になって考えましょう」と言う時、それは被害者の怒りや困惑、羞恥といった気持ちを想起させた上でそこに共感を寄せるわけですが、これも意識できる範囲でのことです。意識できない部分には及びません。なので、複数人で話し合いをさせ、自分にない視点(意識できない部分)からとらえた他者の意見を聞くことで、理解の範囲を広げる(気づき)ことができたりします。これが複数人による話し合いやカウンセリングの効果の一つです
精神分析の場合はあくまで個人の無意識の領域が対象です。上記の側溝覗き男の場合も、「単なるスケベ心の持ち主」と捉えるのではなく、その「止めたくても止められない行動」の背景には願望・欲望・衝動・反省・疑惑・命令・禁止などさまざまな防衛機制が潜んでいると考えます。つまり彼の問題行動の本質はパンツを見ることにあるのではなく、パンツを見る・盗撮するという行動の向こう側に何か本質的な欲望へと駆り立てるものがあると考えます。なので、何が衝動へと駆り立てているのか、解き明かすことを目指します。そのため個人の体験や記憶など掘り返す作業が伴いますので、本人の忍耐と問題行為解決への強い動機が必要となります。なので数回の分析のセッションで、「こんなことして何の意味があるのか」と投げ出す人もいたりします
フロイト自身、弟子たちが刑務所に出かけて受刑者の精神分析を実施するのを知り、「無駄だから止めなさい」と忠告しています。フロイトは受刑者のほとんどに強い治療動機がなく分析が続かないと考えていたのでしょう
追記:懲役1年6月、保護観察付き執行猶予4年(求刑懲役1年6月)の判決が出ています。が、執行猶予期間中にまたやるのでは?

(関連記事)
四谷大塚盗撮事件 別の元講師も逮捕
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/500958042.html
四谷大塚講師 児童を盗撮の常習犯
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/500421697.html
石見智翠館高校で盗撮騒動 女子寮風呂を狙う
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/500829098.html
女湯のぞき高校退学処分 生徒と学校の言い分に溝
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/202202article_37.html
東北医薬大教授 スカート内盗撮で再逮捕
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/501350447.html
東北医薬大教授 女児連れ去り犯はプリキュア好き
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/500857446.html
息子の指示で母親がスーパー銭湯盗撮
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/500364059.html
「ラブライブ!」オタク 学校の備品を盗みまくる
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/202206article_32.html
セーラー服で女装露出の37歳警部補逮捕
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201204article_12.html
女子高生のスカート強奪 部屋はスカートの山
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/493371963.html
高校に侵入しセーラー服姿に 窃盗で逮捕の55歳
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/202107article_14.html
学校の総務課長(53)が女子高の体操服を盗み、逮捕
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201405article_20.html
体操服泥棒 自宅から600着も
https://03pqxmmz.seesaa.net/article/201406article_28.html