甲府放火殺人 公判で耳を塞ぎ黙秘貫く

甲府の定時制高校にかよっていた少年が失恋を逆恨みし、女子高生の両親を殺害した上に住宅に放火した事件の裁判が始まっています
初公判の模様は先日、当ブログで取り上げたところですが、言及できなかった情報も含めて書きます
タイトルにも挙げた通り、遠藤裕喜被告は裁判官の人定質問にもまったく答えずに黙秘し、公判中は耳を手で塞いだままだったそうです。弁護人が遠藤被告の生い立ちを申し立てた場面では涙を流したとも報じられていますので、耳は塞いでいても公判でのやり取りは聞こえていたのでしょう。また、涙を流したのですから精神異常で感情が鈍麻しているはずもなく、喜怒哀楽を表現するだけの反応がある証拠です
また、検察の冒頭陳述では、遠藤被告が女子高生の妹にも斧で切りつけ頭部に裂傷を負わせたと明かしています(以前から報道されていましたが)
にも関わらず、弁護側は妹を殺害する意図はなかったと主張し、殺人未遂について否認をしています。斧で頭部を切りつけておきながら殺意はなかったと主張するのは荒唐無稽です


LINEのブロックをきっかけに……《検察側冒頭陳述概要》
2021年5月ごろ、学校行事でCさんと話す機会を持った遠藤被告は、Cさんに興味を持った。その後、秋になり友人から「Cが『尊敬してる』と言ってる」と言われたことから、Cさんへの気持ちは好意に変わる。入れ込んでいたアイドルの写真を処分し、Cさんにネックレスをプレゼント。交際を申し込んだが、その場で返事はもらえなかった。LINEのアカウントを交換したいと告げ、これには応じてもらった。
翌日、Cさんからは「お互いのことを知らない状況で付き合うのは、ごめんなさい」と明確に交際を断わられた。だが、遠藤被告は諦めないどころか、“知ってもらえれば交際してもらえる”と考え、デートに誘いプレゼントをするなど積極的に迫った。Cさんは、遠藤被告に会うたび、プレゼントを渡されたり食事に誘われることに、恐怖を感じるようになった。しかし遠藤被告はCさんとの関係が順調に進んでいると思い込んでいたという。
2021年10月に行なわれた高校の学園祭終了後、Cさんから再び、交際を明確に断わるLINEが届いた。遠藤被告は「話したい」と何度かLINEを送ったが、Cさんは遠藤被告のアカウントをブロックしたため、既読にならず、返信もこない。
「最初のメッセージから2時間半経ってもメッセージを見ないし、返信しない」と思った被告は、Cさんへの怒りを我慢できなくなり、Cさんに対し肉体的精神的苦痛を与えることを考え始めた。“Cさんを拉致、強姦して忘れられなくしてやろう”と企てたが、そのようなことをすれば社会に戻れなくなる。それならば逃走しよう……そう考え、Cさんの拉致強姦、そして犯行後の逃走を計画し始める。
ホームセンターで寝袋など、逃走後の生活のための道具を買ったほか、Cさんへの拷問のための道具も購入した。爪を剥ぐためにペンチを、体に針を打ち込むためにホームパンチャーなどを調達したという。遠藤被告の曽祖母宅の近所に空き家を見つけ、そこに潜伏することも決め、食料を持ち込んだ。
そして事件の数日前。Cさんを拉致しようと高校で待ち伏せしていた遠藤被告は、Cさんが友人と親しくしている様子を目撃する。友人は女子だが、男子風の格好をしていたため、遠藤被告は友人を“男”だと思い込んだ。
「自分の交際を断わり、連絡を絶ったのに、別の人と親しくしている。Cが自分を裏切った」
と怒りをたぎらせたまま、Cさんを尾行、家を突き止めた。
一旦帰宅したのち、遠藤被告は計画を変更する。「Cに大きな傷を与えよう。家に侵入し家族を皆殺しにして、Cを拉致、拷問、強姦しよう。放火して犯人だとわかる痕跡を隠滅しよう」と考えるようになる。新たに斧やナイフ、放火のためのライターオイルやカセットボンベなどを購入し、深夜3時半頃、Cさんや家族が住む家に侵入した。ドアや窓は施錠されていたが、窓にテープを貼り、ガラスを叩き割って解錠する。
(以下、略。NEWSポストセブンの記事から引用)


遠藤被告が女子高生の妹に対する殺意を否認しているのは、自分からの交際申し入れを拒絶した姉の方を殺害するつもりで侵入し、姉と見間違えて妹の方を襲撃したからなのでしょうか。弁護人の言い分がよく分かりません
ただ、姉と誤認したからといっても、妹の方に危害を加えたのは事実であり、殺人未遂は成立します。人違いだからといって犯罪者の利に資するような法の解釈は大間違いです
また、警察による取り調べの段階で、「家族全員を殺すつもりだった」とも供述しているのですから、いまさら妹だけは殺す気がなかったとの主張はいかにも苦し紛れの感があります
法廷での遠藤被告が見せた姿(両耳を塞いでうずくまる)についてもいくつかの解釈ができます
「自身の犯行事実から目を背け、逃げたいとの一心のまま法廷にいた」とか、「自分をフッた女に制裁を加えただけで、何も悪いことはしていないと開き直ったものの、その開き直りが法廷に立つという緊張感のため崩れそうになり、ひたすら耳を塞ぎ自己防衛に徹しようとした」とか。本当のところは遠藤被告に確かめるしかありません。が、彼も自分の行動がよくわかっていない可能性もあります
ただ、黙秘を貫いたのは謝罪を口にするような精神状態ではないと判ります。いまだに自分をフッた女子高生に対する恨み、憎しみで頭の中がいっぱいで、謝罪など思いもよらないのでしょう。判決によって刑務所に入る結果になっても、出所後は復讐してやろうなどなど、頭の中で考えているのかもしれません
罪状は悪質ですから死刑が求刑されても不思議ではありません。ただ、犯行時の年齢を考慮し、裁判官は無期懲役を言い渡すものと予想します

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