甲府放火殺人 公判では責任能力を争うか

定時制高校の女子生徒に惚れ込んだものの、交際を断られて逆ギレした遠藤裕喜被告が女子生徒の両親を殺害し、家に火をつける事件があったのが2021年10月でした。あれから2年を経て、ようやく遠藤被告の裁判員裁判が始まります
テレビ山梨が公判では遠藤被告の責任能力が争点になる、との記事を出していますので取り上げます


2021年、甲府市の住宅で、当時19歳の男が夫婦2人を殺害し住宅を放火したとされる事件の裁判は犯行当時、男に完全責任能力があったかなどが争点になることが公判前整理手続きで明らかになりました。
この事件は2021年10月、甲府市内の住宅が全焼し、この家に住む夫婦2人の遺体が見つかったもので、当時19歳の男が夫婦を殺害して放火したなどとして殺人などの罪で起訴されました。
11日は検察官や弁護士が出席し公判前整理手続きが行われ、裁判の争点などを確認しました。
甲府地裁によりますと裁判の争点は
・夫婦の次女に対する殺人未遂罪の殺意が認められるか
・犯行当時、男に完全責任能力あったか、心神耗弱であったのか
・量刑の3点になるということです。
また、10月25日の初公判から今年12月11日まであわせて26回の公判日程も明らかになりました。
改正少年法で18歳と19歳は特定少年と位置付けられ、この事件では全国で初めて検察が男を起訴した際、20歳未満の実名を公表しました。
(テレビ山梨の記事から引用)


公判が26回も予定されているのは、争点整理手続きの中で検察側の提出する証拠のほとんどに弁護側が不同意を示し、あらためて公判の場で証拠品の確認や証人による証言を求めた結果です
そもそも遠藤被告以外の第三者が井上さん夫婦を殺害し放火したとは考えられないのであり、26回も公判を開く必要があるとは思えません。遠藤被告の開き直りなのか、弁護人の法廷戦術なのか、あるいはその両方なのでしょう。裁判費用の無駄遣いです
公正な裁判を受ける権利を否定はしませんが、公正な裁判を受けたいのであれば被告側も誠実に応じるべきでしょう。無闇矢鱈と証言を採取した調書に不同意を示し、誰も彼も法廷に引っぱり出して証言台に立たせようというのは悪意を感じます
さて、上記の記事に挙げられている3つの争点ですが、井上さん宅に夜中に火を放っているのですから、井上さん夫婦のみならず女子生徒まで殺害する気だったと十分認められるのでは
2番目の責任能力については、検察側が起訴前に精神鑑定を実施し、被告に精神障害はないとの鑑定結果を得て起訴したはずです。ただ、上記の記事からしても弁護側はこの精神鑑定結果にも異を唱え、証拠採用に同意していないものと思われます。もしそうであるなら、裁判所に申し立てて2度目の精神鑑定実施を要求するのですが、どうだったのでしょう。自分が報道をチェックした限り、2度目の精神鑑定が行われたとの記事は見ていません
遠藤被告は尾行をしてまで女子生徒の自宅を確かめ、予め凶器を準備するなど計画立てて犯行に臨んでいます。これで事件当時、責任能力が失われていた、もしくは著しく減衰していたとする弁護側の主張には無理があります
3番目の量刑については検察の求刑を踏まえないと何とも言えません。通常なら死刑が求刑されてもおかしくない犯行ですが、遠藤被告が事件当時19歳だったことを酌んで無期懲役を求刑するのでは。弁護側は犯行当時心神耗弱だったと主張し、懲役10年程度が妥当であると言う可能性が考えられます
ただ、親を殺害された女子生徒は遠藤被告を厳しく処罰してほしいと望むはずで、遠藤被告はどう答えるつもりなのか気になるところです

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