東大試験会場で刺傷事件 初公判で謝罪表明
東海高校の2年生が2022年1月、大学共通テスト会場である東京大学弥生キャンパス前で3人を刺し、負傷させた事件の刑事裁判が始まっています
名古屋家庭裁判所での少年審判では、「保護処分になじまない(それだけ刑事責任が重い)」と判断され、検察官送致となっていたものです
裁判の冒頭で弁護人は、「生活のすべてを勉強にささげ、不良とは対極にいた。彼の未熟さを考えてほしい」と述べ、刑罰を科すのではなく少年法に基づく保護処分とするべきだ」と主張しています
検察は、「元生徒は東京大学への進学を希望していたが成績が落ちてきたことから自暴自棄となり、無差別に人を殺して自殺しようと考えた。身勝手で悪質な犯行で、刑罰を科すべきだ」と述べています
東京大学(東京都文京区)の前で2022年1月、大学入学共通テストの受験生ら3人を包丁で刺したなどとして、殺人未遂などの罪に問われた名古屋市の少年(当時17歳)に対する裁判員裁判の初公判が12日、東京地裁であった。起訴内容に間違った点はあるかと問われた少年は「特にございません」と述べ、刺傷などの罪を認めた。
弁護人も事実関係は認めた一方、少年には刑罰ではなく保護処分が相当だと主張し、この点を争う姿勢を示した。
少年は黒いスーツ姿で出廷し、背筋をまっすぐ伸ばして証言台の前に立った。起訴内容の認否に続き、「被害者のお三方には、お心と体に傷を負わせたことを大変申し訳なく思っています」と謝罪した。
起訴状などによると、高校2年だった少年は共通テスト初日の22年1月15日午前8時半ごろ、東大弥生キャンパス前の路上にいた受験生ら3人を殺そうと、包丁で背中を刺し、約2週間~3カ月のけがを負わせたとされる。
刺傷事件の直前には、東京メトロ南北線の後楽園―東大前間を走行中の電車内や東大前駅の構内通路で火をつけたとされ、駅員らに消火活動や避難誘導などをさせたという威力業務妨害の罪にも問われている。
■成績が低迷、自殺願望抱く?
少年については、鑑定留置を経て、名古屋家裁が同年6月に検察官送致(逆送)とし、翌7月に東京地検が起訴した。
名古屋家裁の決定文によると、少年は最も偏差値が高い東大理科三類を志望していたが、成績の低迷で教諭や父から進路変更を勧められていた。
「自身の存在意義がなくなった」と思い、自殺を試みたが実行できず、「東大・安田講堂前で切腹自殺をしたい」「通行人を殺傷するなどの重罪を犯せば、他者と差をつけられるとともに、罪悪感を抱いて自殺できる」と考えたという。
家裁は「勉強に没頭し、それ以外の交友などから距離を置き、情緒面の発達が未熟なままだった」などと指摘。それでも「保護処分を選択する社会的許容性を見いだし難い」として刑事処分が相当と判断していた。
(朝日新聞の記事から引用)
「情緒面で未熟」と言うのはあまりに安直すぎるように思います。そもそも16歳、17歳のこどもは情緒面で未熟なのは当たり前で、むしろ成熟したこどもがどれだけいるのか、と言いたくなります(まあ、揚げ足取りなのですが)
検察としては成績低下の自暴自棄になり、ヤケクソになって事件を起こしたとの見方を貫き、「だから悪質であり、刑事罰を科すべき」との言い分です。が、あまりに単純な図式に当てはめすぎでしょう
学校の成績低下⇒テロまがいの犯罪に走る、のは思考・行動の飛躍が大きすぎて、検察の描く図式ではこの飛躍を埋めきれていないと考えます。
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、デイリー新潮の記事の中で思春期挫折症候群の概念を引用して説明しています
思春期挫折症候群に陥りやすいのは、真面目で繊細な学生だという。また、感受性が強いという傾向もあるそうだ。
「彼らに足りないのは“鈍感力”です。『ドラえもん』を思い出してみてください。ジャイアンは自分が音痴という自覚がなく、友達に無理矢理、歌を聴かせます。音痴は挫折体験になっても不思議はないのですが、彼は鈍感力が高いので挫折に気づきません。そのため落ち込まないのです」(同・碓井教授)
繊細で真面目な中・高校生は、“挫折の乗り越え”がうまくできないことがある。すると、思春期挫折症候群に陥る可能性は高くなってしまう──。
「思春期挫折症候群を防ぐには、共感が重要だと言われています。例えば、友人の成績が落ちたり、甲子園に出場できなかったりして落ち込んでいるとしましょう。友人を励ましても、説教しても、あまり効果はありません。友人の話に耳を傾け、『それは分かるよ』と理解を示すことが重要なのです」(同・碓井教授)
ただ、この思春期挫折症候群との考え方でも、共通テストの試験会場で無差別殺人を決行するという行動を突飛さを説明できてはいません
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(社会心理学)は、デイリー新潮の記事の中で思春期挫折症候群の概念を引用して説明しています
思春期挫折症候群に陥りやすいのは、真面目で繊細な学生だという。また、感受性が強いという傾向もあるそうだ。
「彼らに足りないのは“鈍感力”です。『ドラえもん』を思い出してみてください。ジャイアンは自分が音痴という自覚がなく、友達に無理矢理、歌を聴かせます。音痴は挫折体験になっても不思議はないのですが、彼は鈍感力が高いので挫折に気づきません。そのため落ち込まないのです」(同・碓井教授)
繊細で真面目な中・高校生は、“挫折の乗り越え”がうまくできないことがある。すると、思春期挫折症候群に陥る可能性は高くなってしまう──。
「思春期挫折症候群を防ぐには、共感が重要だと言われています。例えば、友人の成績が落ちたり、甲子園に出場できなかったりして落ち込んでいるとしましょう。友人を励ましても、説教しても、あまり効果はありません。友人の話に耳を傾け、『それは分かるよ』と理解を示すことが重要なのです」(同・碓井教授)
ただ、この思春期挫折症候群との考え方でも、共通テストの試験会場で無差別殺人を決行するという行動を突飛さを説明できてはいません
毎年、受験で挫折を味わうこどもが1万人近くいるのではないかと想像しますが、無差別殺人に走るこどもは極めて稀です。それを思春期挫折症候群というだけでは納得できないでしょう
強いて憶測するなら、悪名を残して社会に何らかの爪痕(自分が生きた証)を残そうという思惑でしょうか?
そんな発想自体、あまりにチンケなのですが、思い詰めてしまった彼には他に選択肢が思い浮かばなかったのかな、と想像します
また、人生の進路など考えもせず、周囲から認められたいとの思いだけで東京大学理科Ⅲ類に執着しており、医師になろうとの気持ちや覚悟が備わっているのさえ疑問です。なぜ家庭でその部分を話し合おうとしなかったのか、謎です(大事なことです)
被告は精神鑑定を受け、刑事責任能力に問題はないと(精神障害ではない)との鑑定結果が出ています。通常、鑑定結果に書かれている医師の見解、犯行に至る精神的な力動の説明などを検察官は起訴状に盛り込み、事件のアウトラインを描くのですが、今回は鑑定結果に使えそうな見解がなかったのでしょうか?
成績低下でヤケクソになり事件を起こした、という検事のあまりに単純な図式にちょっと驚いてしまいました
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