京都アニメーション放火事件 被告供述を専門家が読解

青葉真司被告の公判が続いています。ここまで青葉被告に対するさまざまな質問があり、彼はそれに答えています。質問と答えが噛み合っている場合もあれば、噛み合わない場合もあり、結論として「どうにもズレた人だな」との印象を与えます
FLASHの記事が青葉被告の供述に対する識者の見解を取り上げていますので引用します


「京アニ事件」青葉真司被告の「妄想供述」を専門家らが断!「彼の言葉には“嘘”があります」「もっとも感じるのは『共感性の欠如』」
https://smart-flash.jp/sociopolitics/255646/1/1/
(前略)
裁判のいちばんの争点は、青葉被告の責任能力の有無だ。犯行当時の青葉被告が心神喪失状態で責任能力なしと判断された場合、無罪判決が出る可能性も報じられているが……。精神科医の片田珠美氏は「彼には責任能力があると思います」と断ずる。
「確かに、被害妄想が犯行の動機形成に大きな影響を及ぼしている可能性は非常に高い。妄想の条件としては『(1)現実離れした不合理な内容であっても、(2)本人が真実であると確信しており、(3)訂正不能(誤りを認めない状態)であること』が挙げられます。
『闇の人物に狙われている』『公安に監視されている』という供述から、『妄想型統合失調症』が疑われます。しかし、だからといって即無罪判決が出るわけではありません。犯行時には、新幹線で京都へ行き、ガソリンを買って放火しています。かなり計画的な犯行であり、彼に精神疾患があったとしても、私は彼に責任能力があると思います」
青葉被告の「妄想供述」は裁判でも続き、片田氏は「現在でも『つけ狙われている、迫害されている』という妄想は続いているはず。そうした被害者意識が強い場合、自分の犯行を正当化しやすい」と語る。実際に、彼から謝罪や反省の弁はほぼ出てきていない。
唯一彼が謝罪を口にしたのは、「放火殺人をする対象者に家族、特に子供がいることは知っていたか」という質問に対してのみだ。青葉被告は「申し訳ございません」「そこまで考えなかった」と述べた。
青葉容疑者は、父親が不倫相手と駆け落ちし生まれたが、母親は3人の子供を置いて出奔。父、兄、妹が自殺している。
「京アニに対しては、『自分がこれだけひどい目に遭っているんだから、何をやってもいいだろう』という気持ちがあったのでしょう。ですが、その家族や子供については、彼自身の非常に過酷だった子供時代を思い出したのだと思います。親が死ぬと子供がどれほどつらい目に遭うかというのを、身をもって知っている。それゆえに、謝罪という振る舞いに表われたのではないでしょうか」(片田氏)
しかし、彼の謝罪を別の見方をする精神科医もいる。多くの刑事事件で心理鑑定を手掛けた、こころぎふ臨床心理センター長で公認心理師の長谷川博一氏がこう語る。
「彼が心底謝罪をしたかは疑問です。というのも、供述を見ていて私がいちばん感じたのは、『共感性の欠如』だからです。多くの被害が出たことについては『(亡くなるのは)8人くらいではないか』と考えていたと、自身の“誤算”を告白し、むしろ被害関係者の感情を損ねることになりました。反省のようなことも供述していますが、自身の行為で傷ついた人の痛みを想像しているように受け取れません。
また、彼は犯行の3日前に現場近くの京アニのショップに立ち寄っていますが、そこに放火しなかった理由として『恨みの対象は京アニ。(ショップには)お客さんがいる』と供述しています。感情ではなく、理屈で語っている。
(以下、略。FLASHの記事から引用)


前回書いたように青葉被告が「公安(警察)に見張られている」とか、「謎の男に脅されている」というのは青葉被告自身が考えた「設定」であると精神鑑定を担当した医師に語っています。つまり中二病の男子が「自分は異能者なので、謎の組織に追われている」という、ライトノベルやアニメにありがちな設定を青葉被告が自身に当てはめ、「◯◯ごっこ」をしていたのです
ただ、一方で青葉被告は自分の強い思い込みによって事実関係を都合よく歪めたり置き換えたりする供述が目につき、物事を客観的に捉えようとする視点を欠いているように感じられます。つまり、すべてを自分の主観のままに判断し、受け止めようとする傾向が顕著です
京都アニメーションの小説の新人賞はあの「涼宮ハルヒの憂鬱」がヒットした影響を受け、「涼宮ハルヒの憂鬱」を焼き直したような応募作が殺到したのだとか。青葉被告が新人賞に応募した作品もおそらくそのパターンだったと思われます。青葉被告自身、「涼宮ハルヒ」の文体を真似たと述べています
しかし、新人賞に落選すると京都アニメーションを敵視するようになり、自分のアイディアが盗まれたと決めつけ、その延長で報復を計画するようになります。新人賞は応募作品の99%が落選するわけで、青葉被告の作品が落選したのは何も特別な出来事というわけではありません。単に青葉被告が落選の事実を受け入れられなかっただけでしょう
犯行の経緯を見ればあれこれ計画を立てて実行しているのが分かります。決して行きあたりばったりの犯行ではないのですから、相応の判断力があったと推測され、精神病の影響はあったとしても限定的と解釈するのが妥当でしょう

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