マインドコントロールで女性3人と同居男 初公判

さまざまな手段を使って脅したり、騙したりし、マインドコントロールによって長期間、人を拘束し隷属させる事件があります
大津地裁で初公判があった事件では、山森健被告が10年以上も女性3人と同居する生活をし、暴力を振るっていたとされます。どこまでが同意の上での同居であったのか、支配と服従だったのか、線引の判断が難しい事件です


大津市の自宅で同居女性3人に「蹴り殺すぞ」などと言って脅し、うち1人をパイプ椅子で殴ったとして暴力行為法違反罪に問われた設備業、山森健被告(44)は25日、大津地裁(大嶋真理子裁判官)の初公判で起訴内容を認めた。検察側は懲役3年を求刑し、弁護側は執行猶予付きの判決を求めて即日結審した。判決は10月10日。
検察側は冒頭陳述や論告で、被告が女性らの言動に腹を立てるなどして日常的に暴言を吐き、暴力を繰り返す中で萎縮させ、肉体的、精神的に抑圧したと指摘。はさみを示して脅迫するなど犯行は執拗、危険で、動機も自己中心的で身勝手とした。
弁護側は最終弁論で、被告と被害者の間に支配関係はなかったなどと主張した。
起訴状などによると3月から5月までの間、女性3人を「蹴り殺すぞ」などと脅迫。うち1人をパイプ椅子などで殴り、左腕に3週間のけがを負わせたとしている。
大津地検は脅迫、傷害の罪で起訴したが、初公判前に訴因変更した。
(産経新聞の記事から引用)

10年以上前から同居する女性ら3人を日常的に脅迫し、マインドコントロールして軟禁状態に置いていたとされる男の裁判。25日に大津地裁で開かれた初公判で男は起訴内容を認め、「10年以上一緒に居た甘えがあり、調子に乗っていた」などと話した。
傷害罪や脅迫罪、暴行罪などで起訴された滋賀県大津市の設備業・山森健被告(44)。起訴状によると、今年3月に自宅で同居していた女性・Aさん(当時26)にパイプ椅子で殴るなどの暴行を加え、全治3週間のけがをさせた罪や、今年5月、同居していた女性のBさんとCさん(当時36・37)に「蹴り殺すぞ」などと暴言を吐き、脅迫した罪などに問われている。
事件が発覚したのは、今年6月にあった女性(Aさん)からの1本の電話だった。
山森被告と同居していたAさん
「同居男性から酷い暴力を受けている。通報したことがバレれば、また暴力がひどくなる。探さないで」
電話は2分足らずだった。翌日、警察は山森被告の自宅を特定して踏み込むと、通報してきたAさんの他にBさんとCさんら3人の女性が暮らしていた。女性らは、山森被告から「何年なにもせんと食わしてもらいよるんや」「蹴り殺すぞ」などと脅されていた。山森被告は女性らを精神的に支配し、マインドコントロールしていたとみられている。
「家族と会うな」「1000万円奢ってんぞ」暴言や暴力…調書から見えた”恐怖に支配された”生活実態
そして、25日に大津地裁で開かれた初公判。長髪を後ろで結び、黒いスーツに身を包んで法廷に現れた被告は、傍聴席に礼をする様子もあった。
冒頭、検察官が起訴状を読み上げると、山森被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察官による証拠調べで、Aさんら同居していた女性3人の供述調書が読み上げられ、山森被告と知り合った経緯や暴力が振るわれた状況、また、当時の生活実態が明かされた。
▼Aさん(当時26)の供述調書
「被告とは私が働いていた飲食店に客として訪れて知り合い、今年1月ごろから付き合い、2月ころから同居していた」
「私が好きな韓国歌手のことで被告から怒られることがあり、パイプ椅子を振り上げられて4~5回殴られた」
「被告と別れ話になったときに、『海外旅行に行ったことない』と嘘をついたことで暴力を振るわれた。BさんとCさんは脱衣所に逃げていたが、『被告の暴力は異常だから状況を動画で撮影した』と聞いて2人が仲間とわかり、それ以降ケガの写真などを撮ってもらうようになった」
▼Bさんの供述調書(当時36)
「11年前に被告と出会い、職場のパワハラを相談したところ行政書士を紹介してくれて、仕事をやめた。Cさんの住んでいたアパートで一緒に同居するようになり、被告から暴力を振るわれた。『家族と会うな』などと言われていた」
「(手伝っていた)通販事業がうまくいっていないと知ると、『1000万円くらい奢ってんぞお前らに』などと言われ、恐怖で震え逆らうことが出来なかった。窮屈で息苦しい毎日を過ごしていた」
▼Cさんの供述調書(当時37)
「2007年、働いていたパチンコ店の常連客として被告と知り合った。21歳の頃、被告に『実家を出ろ』『親と連絡を取るな』と言われて一人暮らしするようになった」
「2011年頃、被告のもとから逃げ出したが連れ戻された。その時、被告の知り合いの司法書士のところで『被告は暴力を振るっていない』という旨のウソの書類を作っていたのを見て、その後被告から逃げる選択肢がなかった」
女性らの供述調書からは、山森被告の日常的な暴言や暴力に怯え・逆らえず、”恐怖に支配されていた”とも言える生活実態が見え隠れした。
(MBSニュースの記事から引用)


公判は1回で終わり、懲役3年を求刑しています。事実関係では争わず、被害者3人の調書にも異議を唱えない方針のためです。それにしても随分と刑罰が軽いように思えるのですが、検察側としては重罪に問うだけの罪状がないと判断したのでしょうか?
脅迫でもなく、暴力行為等処罰法違反で起訴しています。いわば酒によって暴れたような事件と同じ扱いです
弁護人は「脅迫したり、暴力で支配した事実はない」として執行猶予付きの判決を求めています。弁護人は被告の主張に沿って弁護活動をしますので、これが山森被告の本音であり、「オレの魅力に惹かれた3人の女と暮らしていただけ。何が悪い」と言いたいのでしょう
しかし実態は恫喝を繰り返して逆らえない状態に置くマインドコントロールですから、もう少し厳しい刑罰を求めてもよいのでは?
これでは山森被告の主張通り、女性3人を囲ってハーレムを作っていただけ、と追認するようなものです
被害者が未成年の女子だったなら、懲役10年は求刑されたでしょう。成人女性であるがゆえ、自分の判断で山森被告と同居していた節があったと推認される可能性が残ります
ただし、裁判を担当しているのが大津地裁の大崎真理子裁判官です。性犯罪関連の裁判では被告に厳しい判決を下すので知られた人物です
ハーレム男の言い分をそのまま認めるような判決は下さないと思いたいところです
追記:判決は懲役3年・執行猶予5年となっています。正直、物足りない判決でありなぜ実刑にしなかったのか疑問です。ただ、執行猶予期間を5年と長く設定しており、5年以内に山森被告が3人の女性に復縁を迫り、暴力をちらつかせるような態度を取れば再び逮捕されますし、執行猶予も取り消されます

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