堺市でまたあおり運転殺人 被告に懲役10年判決
午前中に記事をアップした堺市でのあおり運転殺人(殺人事件として起訴せず、危険運転致死罪での起訴となっています)で判決があり、懲役10年の刑が言い渡されています(求刑は懲役12年)
判決ではほぼ検察側の立証が認められ、川島被告にとっては厳しい内容となりました
去年、大阪府堺市で、4kmにわたってあおり運転をした末に、車をぶつけてバイクの男性を死亡させた男に対し、22日、懲役10年の実刑判決が言い渡されました。
起訴状などによりますと、大阪府堺市に住む介護職員の川島陸被告(28)は、去年3月、堺市の泉北1号線で北島明日翔さん(当時28)が運転するバイクを車であおった末に衝突させて死亡させた危険運転致死の罪に問われていました。
これまでの裁判で、検察は、「およそ3分もの間、執拗な追跡をしており、犯行後、証拠の隠滅を図り、悪質性が高い」として、懲役12年を求刑。一方、弁護側は、「被害者が追い越しの際に車を蹴ったことが発端で追跡したが、けがをさせようと考えていたわけではない」として、懲役6年が妥当だと主張していました。
■制限速度の2倍の速さであおる
事件が起きた後、警察が後続車のドライブレコーダーを調べたところ、現場の4kmほど手前で、川島被告がバイクを追い越そうとしながら、思うように追い越せないような様子が映っていたということです。
また、現場の制限速度は時速60kmですが、川島被告は、その2倍の時速120kmであおり運転をしていたこともわかりました。警察の調べに対し、川島被告は、あおり運転を認め「前を走るバイクの速度が遅くて追い抜けずに腹が立った。その後も相手の運転に腹が立って追いかけた」という主旨の供述をしていました。
■殺人容疑で逮捕も危険運転致死罪で起訴
警察が川島被告の車のドライブレコーダーを押収し調べたところ、映像を記録するSDカードが入っていませんでした。
川島被告は、「元々入れていなかった」と供述していましたが、事件の翌日、現場周辺の植え込みからSDカードが発見され、SDカードにはあおり運転をする映像が約3分間記録されていたということです。
警察は、殺意があったとして、殺人容疑で川島被告を逮捕しましたが、大阪地検は、「殺意を認定するに足りる証拠が収集できなかった」として、危険運転致死罪で起訴しました。
■「執拗に追跡しており悪質」懲役10年の実刑判決
22日の判決で大阪地裁堺支部は「制限速度を超える速度で幅寄せした上、進路を塞いでおり、その運転は重大な事故を起こす危険なものだった」「2分にわたって待ち伏せしてまで執拗に追跡しており悪質」「犯行後にSDカードを捨てたことからすると危険性を十分認識していた」などとして、懲役10年の実刑判決を言い渡しました。
(読売テレビの記事から引用)
上記の記事では触れていませんが、川島被告はウィンカーも出さずに車線変更をし、車間距離も取らない無謀な運転をしてバイクの運転者とトラブルになったものです
2019年に判決があって堺市のあおり運転では、被害者のバイクに追突して事故らせた際に「はい、おしまい」と発した被告の声がドライブレコーダーに記録されており、その音声が決め手となって殺意をもってあおり運転をしたと認定されています。今回の事件ではそうした証拠がなかったため(川島被告が捨てたドライブレコーダーのSDカードは現場付近で発見されましたが、殺意を証明するような音声はなし)、危険運転致死罪での起訴となり、懲役10年の判決でした
この量刑が重いか軽いか、人それぞれ判断はあるのでしょうが、単なる交通事故(追突事故)扱いなら執行猶予付きの禁固刑で片付けられた可能性が大です。交通事故のうち8割ほどは実刑ではなく、執行猶予付きの禁固刑で処理されているのが現実です
飲酒運転や無免許運転による死亡事故ならほぼ実刑となります
なので本件のように、懲役10年の実刑に持ち込んだ点で警察・検察が奮闘したものと思慮します
逆に川島被告にとっては不本意でしょう。それでも事件の本質は車を凶器として用いた殺人事件ですから、「殺人罪で懲役15年」とならなかっただけでも川島被告はよしとするべきです(おそらく、判決を不服として控訴するのでしょうが)
現在では多くの車にドライブレコーダーが装着されるようになり、証拠が残ります。無謀な運転で人生を棒に振るような愚は、くれぐれもおかさぬようにしてもらいたいものです
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