堺市でまたあおり運転殺人 被告に懲役12年求刑

2019年に堺市でバイクを運転していた大学生を乗用車があおり、追突して死亡させる事件があり、懲役16年の判決が下されています
そして2022年にも堺市でバイクを乗用車があおり、バイクは防護柵に衝突して運転手が死亡する事件がありました
あおり運転をして起訴されら元介護施設職員川島陸被告(28)は自動車運転処罰法違反(危険運転致死)で懲役12年を求刑されています。判決を前に、事件の概要など公判で明らかになった部分も含め、書きます
なお、川島被告は事件後、自分の車のドライブレコーダーからSDカードを抜き取り、道路際に捨てています。証拠隠滅を図ったのは明らかであり、あおり運転をしたという不都合な事実を隠し、単なる交通事故に見せかけようとしたのでしょう
車でバイクをあおり、追い詰めようとした時点で「死に至らしめる」可能性があったと考えられるのですが、大阪地検堺支部は「殺意があったと認定するのは困難」との理屈で殺人罪適用を見送り、危険運転致死罪で起訴しています。いつも書いているのですが、「殺意の有無」などという曖昧な基準で判断するのではなく、結果(被害者を死に至らしめたという事実)をもって判断するべきでしょう


事件は2022年3月の夜に起きた。大阪府堺市の幹線道路「泉北1号線」で、バイクに乗っていた北島明日翔さん(当時28)が、乗用車を運転していた川島陸被告(28)からあおり運転を受けた。
最終的にバイクは、目の前に割り込んできた被告の車に衝突。はずみで北島さんは、バイクもろとも道路際の柵に衝突し即死した。
検察は川島被告を危険運転致死罪で起訴。9月13日に大阪地裁堺支部で開かれた初公判で被告は、「事実としては間違いありません」と起訴内容を認めたものの、「ぶつける意図などはなかった」と主張した。
罪状認否の際、「1分だけお時間よろしいでしょうか」と発言機会を求め、裁判長から止められる一幕もあった。被告人質問で弁護人から「初公判で話そうとしたことは?」と問われると、「被害者のご家族・親族・ご友人に申し訳なく思っています。申し訳ございませんでした」と謝罪した。
(中略)
北島さんと川島被告に面識はなかった。ではなぜあおり運転をするに至ったのだろうか。
事の発端は、被告が北島さんを追い越す際に、“急に割り込む”ような形になったことだ。被告と北島さんはいずれも同じ車線を走っていたが、被告は隣の車線に移って追い越した後、ウインカーも出さずにすぐさま元の車線に戻った。
検察官 「追い抜きたいのであれば、その車線を走っていけば良かったのでは?」
川島被告「元の車線の方がすいていたので…」
急に進路をふさがれ不快感を抱いたのか、北島さんは被告を追い越し返す際に、車のドアを1回蹴ったという。これで被告の感情に火が点いてしまった。
川島被告「まっすぐ走ってるのに、なんで蹴られんの?とは思った。ひったくり犯や強盗犯を追いかけるのと同じような感覚で追いかけた」
(中略)
検察官 「被害者が衝突・転倒する危険性は考えなかったのか?」
川島被告「どうすれば(バイクは)止まるんやろうとばかり考えていて、北島さんのことは考えていなかった。北島さんは意識の端にいたみたいな…」
検察官 「改めて確認するが、右ハンドルを切った理由は?」
川島被告「感覚的なものでしかない。ボーっとしているけど、端のほうで何かが動いているみたいな感覚」
バイクは被告の車に衝突。そのはずみで北島さんは、バイクもろとも防護柵のワイヤー部と支柱にぶつかり、延髄(脳の最下部で脊髄につながる部分)が断裂するなどして即死した。
(以下、略。MBSニュースの記事から引用)


2車線の道路を走行しながら頻繁に車線変更をして追い抜こうとする車があります。川島被告もそんな運転を日常的にしている人間だったのでしょう。しかもウィンカーも出さず、車間距離も十分にとろうとしない、迷惑な運転者です
介護士の資格を持ち、介護施設で働く川島被告ですが、ハンドルを握るとどこまでも「オレ様な運転者」になるようです
加えて、ドライブレコーダーからSDカードを抜き取って捨てるという証拠隠滅を働いており(川島被告は覚えていない、と否認)、あおり運転で人の命を奪ったことへの素直な反省を欠いていると言わざるを得ません
判決は本日言い渡される予定です
弁護人は「被告のマナーの悪い割り込みに、被害者が立腹しドアを蹴ったのではないかと考える。追いかけ方は相当ではなかったが、大切な車を傷つけられたかもしれない、話し合わなければならないと考えた被告の心情は理解できる」として、「適切な量刑は懲役6年だと主張しています
あくまで交通トラブルの延長で死亡させるに至ったもので、「大した犯罪ではない」との言い分です
これも毎度書いているように、弁護人は被告の主張に沿う形で弁論を展開していますので、弁護人の主張は川島被告の言い分(本音)を反映しているのでしょう。公判では反省の言葉を口にし、涙ぐんでいる川島被告ですが、心の中では自分が起訴され罪に問われるのが不満でたまらないものと推測できます

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