京都アニメーション放火事件 青葉被告の初公判

京都アニメーションのスタジオにガソリンを撒いて放火し、多くの社員を殺害した青葉真司被告の裁判が始まりました。精神鑑定を経て、検察は刑事責任能力には問題はなかったとして起訴したのであり、極刑を求刑するものと予想されます(ただし、死刑を執行するかどうかはまた別の判断です)
裁判の方は冒頭陳述だけで3回の公判が費やされ、全部で32回の公判が予定されるという異例の長期裁判になるます。裁判員裁判は公判に参加する裁判員の負担を軽減するため、予め争点を整理し、できるだけ少ない公判の数で判決に漕ぎ着けるのが趣旨なのですが、本件は延べ143日にも渡る長期の裁判となります


3回の冒頭陳述の意図は?143日間の長期審議
――初公判が行われました。冒頭陳述が行われ、動機・経緯などについて話がありました。そしてこの後、10月には2回目の冒頭陳述でこちらは責任能力について、そして11月下旬に3回目の冒頭陳述でこちらは量刑についてということです。合計で3回の冒頭陳述が行われるという、この形はどういうふうに見たらよろしいでしょうか?
川崎拓也弁護士:冒頭陳述というのは通常は証拠調べのスタート地点で、1回だけするというのが一般的ではあります。ただ、やはりこうして審理期間が長いと、証人が出てくるのがかなり先になってしまう。そうするとそのポイントも最初に聞いただけではやっぱりわからなくなっちゃうので、重要なポイント3点に絞って、それぞれで冒頭陳述をして、争点を明確にし、証人のどこをしっかり聞けばいいのかっていうことを明らかにするために、あえて3回に分けているんだと思います。
――判決は来年の1月25日、予備日を含めて32回143日間の長期審理ということで、これはやはり異例の長さということが言えるんでしょうか?
川崎拓也弁護士:そうですね、一般的な裁判員裁判の期間と比べると相当長いですけれども、今回やはり被害者の方がたくさんいらっしゃる、お一人お一人に人生がある、そういったことも法廷で明らかにしていく。さらには判決が極刑も予想されるようなところもありますので、そこはやはり慎重に、一つ一つ丁寧に審議をしていくという意味では、これぐらいかかってもやむを得ない、逆にこの手の事件であれば、これぐらいが一般的なのかなというふうにも思います。
最大の争点『刑事責任能力』を判断する流れ
――最大の争点が刑事責任能力の有無、そしてその程度というところです。もし青葉被告が当時、『心神喪失』状態だと判断されれば、責任能力がないと見られて無罪ということも可能性としてはある。そして『心神耗弱』状態だった場合は、責任能力は限定的として刑罰を軽くする減軽するということです。弁護側はこの2つの可能性について指摘をしているというところです。そして一方で『完全責任能力』がある場合はそのままの状態で、ということで検察側が訴えています。この3つの可能性があります。精神鑑定を行って青葉被告がどうだったのかというのを見ていくわけです。
――ここまで青葉被告に対して精神鑑定が2回実施されました。1回目は起訴前に検察が行ったもので、こちらは刑事責任を問えると判断しました。そして2回目は起訴後に弁護側の請求で裁判所が行ったものです。『精神鑑定が2回行われたというのが非常に重要なポイント』です。この精神鑑定はどういったことをするんでしょうか。
川崎拓也弁護士:精神鑑定ってのは基本的に被告人と精神科医が事件当時の状況について調べていくということになります。なので主な内容というのは基本的には、面談をして当時の状況あるいは前後の状況というのを確認していくということが大きな柱になります。他方でそれだけではやはり当時の状況わかりませんので、通院歴はどうだったのか、服薬状況はどうだったのか、そのときにちゃんと薬飲めていたのか、あるいは家族はどういうふうに見ていたのか、周囲とトラブルがなかったのか。ときにはMRI・CTを撮って客観的な異常がなかったのかというのも調べますし、心理検査のようなものをしてどんなパーソナリティなのか性格なのかというのを調べます。これを総合的に精神科医の先生が判断をされて一定のご意見を述べられる。そのご意見は単に責任能力が有る無いという意見ではなくて、どんな病気があって、その病気が今回の犯行にどんな影響を与えたのか、どれぐらい強く与えたのか、こういったところが精神科医の領域になってきます。これを踏まえて法律家の領域として責任能力は有ったのか無かったのか限定的だったのかというのが決まっていく流れになります。
川崎拓也弁護士:最近のトレンドなんですけれども、責任能力の有り無しというのは法的結論であって、精神科医の先生はそこまでの結論は述べない、あえて述べない、というようなことが一般的です今は。責任能力の有無っていうのはまさに法的判断だというのを最高裁は示しています。精神科医の方が述べられるのは、本来どういう病気があったのか、それによって骨折をしたとか、どこまで手が動くのか、とかは言えるんですけれども、その評価として殺意があったのかとかそういうことまでは言えません。それと同じで、精神科医の領域のところまでは、おっしゃられて、さらにそれをどう評価すれば法的な結論に至るのか、そこは弁護人、検察官、それを受け止めた裁判官・裁判員が判断するという枠組みです。
(以下、略。MBSニュースの記事から引用)


昨日の夕方のニュースはこの裁判の話題ばかりでした。ただ、公判で青葉被告が謝罪の弁を述べるかどうか、にばかり焦点を当てているのも何だかな、と思うばかりでした。また、遺族に取材をし遺族を口を借りて青葉被告を批判させたり、夫や娘を亡くした遺族の悲惨さを強調する内容をこれでもかと流すのには閉口しました
被害者遺族の感情を尊重するのであれば、悲惨さや恨み、亡くした家族ヘの未練などなどを剥き出しにして視聴者に晒すような報道の仕方は止めるべきでは?
話を戻して、裁判の長期化の1つの要因は、被害者参加制度を利用し公判に立って青葉被告に質問を投げかけたい遺族が多い、との事情があります。それも被害者遺族を尊重する制度ではありますが、入れ替わり立ち替わり遺族が公判で青葉被告に「なぜ」、「どうして」と質問を浴びせたところで、あまり有意義な回答を引き出せるとは思えません
遺族にすれば青葉被告に問いかけ、謝罪の弁を引き出したいとの思いがあるのは理解できます。が、青葉被告がそれらの問いかけ1つ1つに応じ、謝罪の言葉を返すとは想像できないのであり、裁判を長引かせるだけのように感じます(遺族の方々に怒られるのを承知で書いています)
遺族の方々にすれば、どれだけ時間を費やしてでも青葉被告を問い詰め、糾弾し、謝罪させる狙いがあるのでしょう。が、それでは公開でのリンチになってしまいかねません。そこは裁判官が舵取りをするのでしょうが
青葉被告の弁護人は犯行事実を認めた上で心神喪失で無罪または心神耗弱による減刑を主張しており、最後の最後まで青葉被告が遺族に向かい具体的に謝罪の言葉を口にすることはないもの、と予想します
なので、粛々と公判を進めて結審させ、判決を待つしかないと考えます

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