名古屋路上2人刺殺事件 懲役30年確定
名古屋市北区で2019年6月、近所トラブルが発端で2人の男性が佐藤俊彦被告にサバイバルナイフで刺殺される事件がありました。佐藤被告側は統合失調症を理由に無罪を主張したのですが、1審名古屋地裁は懲役30年(求刑は無期懲役)を言い渡しています
佐藤被告側は判決を不服として控訴し争っていました。2審の名古屋高裁は1審判断を支持して控訴を棄却し、最高裁も1審判断を支持して上告を棄却し、佐藤被告の懲役30年が確定しています
佐藤被告は統合失調症で被害妄想があり、家の周囲に防犯カメラを数台設置し、モニター画面で映像をチェックして過ごしていたとされます
佐藤被告の家の向かいに住んでいた赤松さんは、車を傷つけられる被害が数度あって、佐藤被告を疑っておりトラブルになったのだとか。一方で佐藤被告は、赤松さんが車を路上駐車していることに腹を立てていたとも報じられています。また、佐藤被告が野良猫に餌を与えていたとの話もあり、赤松さんがその行為に憤っていた…という具合に互いの不信感が憎悪となり、殺人事件にまでエスカレートしたのでしょう。当然ながら、サバイバルナイフを持ち出して2人を殺害した佐藤被告の非が問われます
1審名古屋地裁の判決を報じる記事と、最高裁が上告を棄却したと報じる記事の2本を貼ります
3年前、名古屋市北区の路上で会社員2人を刃物で刺して殺害した罪などに問われた41歳の被告の裁判で、名古屋地方裁判所は「被害者の無念さや苦しみの大きさは筆舌に尽くしがたい」などとして、懲役30年の判決を言い渡しました。
佐藤俊彦被告(41)は、3年前、名古屋市北区の自宅近くの路上で、近くに住む会社員の赤松英司さん(当時41)と、同僚で愛知県大府市の小笠原智之さん(当時44)をサバイバルナイフで刺して殺害したとして殺人などの罪に問われました。検察側が無期懲役を求刑したのに対し弁護側は事件当時、被告は統合失調症により自分で判断する能力が全くなかったか、著しく低下していたとして、無罪にするか、刑を軽くするべきだと主張していました。4日の裁判員裁判の判決で、名古屋地方裁判所の山田耕司裁判長は、「急所を一方的に突き刺すなど非常に危険かつ残虐な犯行だ。被害者の無念さや苦しみの大きさは筆舌に尽くしがたく残された遺族の悲しみや喪失感の大きさも計り知れない」と指摘しました。一方で、「被告が統合失調症による影響を受けていたことを考慮すると無期懲役を選択すべきとは言いがたい」などとして、懲役30年の判決を言い渡しました。
(NHKの記事から引用)
最高裁第1小法廷(堺徹裁判長)は、令和元年に名古屋市の路上で男性2人を刺殺したとして殺人などの罪に問われた無職、佐藤俊彦被告(42)側の上告を棄却する決定をした。24日付。懲役30年とした1、2審判決が確定する。
判決によると、元年6月24日夜、サバイバルナイフで会社員、小笠原智之さん=当時(44)=と、同僚の赤松英司さん=同(41)=を刺殺した。被告には精神障害があり、当時は昼夜を問わず自宅に設置した防犯カメラ映像を見て過ごし、2人がカメラに向かって手を振り、トラブルになった。
弁護側は被告が心神喪失か心神耗弱状態だったとして無罪や刑の減軽を主張したが、昨年10月の一審名古屋地裁判決は完全責任能力を認定。検察側の無期懲役の求刑に対しては、精神障害の影響が一定程度認められる点などの事情を挙げ、有期刑を言い渡した。今年2月の名古屋高裁判決も支持した。
(産経新聞の記事から引用)
佐藤被告は精神鑑定の結果、統合失調症の影響はあるものの刑事責任能力が失われていたわけではない、と判断され起訴されています。ただ、判決を見れば統合失調症を考慮し、無期懲役の求刑に対して罪一等を減じて懲役30年の有期刑を言い渡しています
長野県で警察官や高齢女性4人を殺害した青木政憲容疑者も、引きこもり状態を「ぼっち」と揶揄されたとの被害妄想があって凶行に走ったわけですが、現在は精神鑑定を受けているところです。統合失調症あるいは被害妄想で精神科を受診していたのかどうか、気になるところです。猟銃所持の許可を受けていたのですから、精神科での受診歴はなかったのかもしれません。同居していた親も、息子が精神疾患だという現実を直視したくなかったのか?
佐藤被告の場合、自身が統合失調症であり被害妄想あるいは被害念慮を有しているとの自覚があったのかどうか、そこらを詳細に報じた記事が見当たらなかったのでコメントのしようがありません
ただ、佐藤被告のケースと青木政憲被告を「同じ事件だ」と決めつけるのは誤りで、個人それぞれの病状には違いがありますし、生活環境も違います。青木容疑者は曲りなりにも農園やジェラート屋で就労し、クレー射撃にも出かけるという具合に自宅外で活動しており、家にこもっていた佐藤被告と簡単に同一視すべきではないでしょう
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