「日本は侵略戦争を反省せよ」と叫び続ける中国
8月15日の終戦記念日が近づくと、中国メディアは一斉に「日本は侵略戦争を反省せよ」とのキャンペーンを展開します。もちろん中国政府の司令によるものです
太平洋戦争終結から今年で78年となり、すっかり過去の話になりつつあります。それを「毎年反省し、中国政府の意向に逆らわないようにせよ」と、日本政府や日本国民に釘を刺すつもりでキャンペーンを繰り返しているのでしょう。が、効果は既に失われてしまったとは考えないのでしょうか?
自分の目には「他に手段もなく、手詰まり状態だと白状しているのも同然」と映ります
確かに日本が中国に手を出し、その領土を少しでも手に入れようと戦線を拡大し続け、先輩軍人の命と努力を無駄にしたくないと軍部が撤退を拒み泥沼に嵌ったのは事実であり、その愚を繰り返してはならないと思います。が、それと現在の中国政府の立場を尊重するのは別問題です
中国外交部の汪文斌報道官は18日の記者会見で、旧日本軍の陸軍病院による生体解剖犯罪への関与を研究する上で重要な史料価値がある「日本軍ハルビン第一陸軍病院原簿」が黒竜江省牡丹江市で開かれた学術シンポジウムで初めて外部に公開されたことについて記者からコメントを求められ、次のように述べた。
第2次世界大戦中、中国侵略日本軍は国際法に公然と背き、中国人民に対しておぞましい細菌戦を仕掛け、残忍極まりない生体実験を行い、人道に反する極悪非道の罪を犯した。あなたが挙げた歴史資料は、日本軍国主義による細菌戦の発動という事実の動かぬ証拠であり、否定や言い逃れが許されないことを改めて示している。日本は軍国主義による侵略の歴史を直視し深く反省して、歴史を鑑とし、残された害毒を取り除くべきで、過ちを繰り返してはならない。
(新華社通信の記事から引用)
おそらく中国国内向けの記事はもっと長文で、ものものしい言い回しになっているのかもしれません。が、どれだけ長文の記事を書いて日本を批判しても、現代の日本人には響かないのであり無駄です
中国共産党の発想が「おじいさん」のそれであり、時代遅れなのです。孫にクドクドと昔の体験を語り効かせても、「あー、うぜー」と思われるだけで響かないのが現実なのですが、理解できないのでしょう
世間はそんな老人の繰り言よりも、中国の秦剛外相が突如として解任され、行方不明になっている件に注目しています
習近平主席の信頼厚い若手政治家だったのに、更迭する理由も説明ないまま解任され、前任の外相だった王毅が復帰しています
中国で秦剛氏(57)が外相職を解かれてから8月1日で1週間。中国政府は解任理由について一切の説明を拒み続けている。秦氏が政治的に「失脚」したという見方が強いが、最終的な扱いはまだ固まっていないもようだ。中国外交の顔である外相ポストは移行期が当面続くとみられる。
「中国の特色ある大国外交の新局面を絶えず切り開く」。秦氏解任を受けて外相に復帰した王毅共産党政治局員は7月28日、中国外務省の公式ウェブサイトで外相就任後、初めてとなる談話を発表した。その中でも、秦氏が解任されたという非常事態には一切触れなかった。
秦氏解任は25日に公表されたが、中国外務省報道官は理由について「提供できる情報はない」と繰り返している。解任理由について、香港フェニックステレビの女性ジャーナリストとの不倫や、その女性が米国のスパイで情報が米側に流れていた責任をとらされたといったもののほか、外交路線を巡る対立や権力闘争など多数の説が出ている。
解任時期については、現役指導部と長老が非公式に意見交換する「北戴河会議」が8月に行われるのを前に急いだという見方がある。
外務省報道官の記者会見では、秦氏解任に関する質問が連日相次いでいるが、公式サイトに掲載している会見記録では全て省かれている。秦氏が事実上更迭され、政治問題となっていることがうかがわれる。
不祥事が原因ならば、共産党で汚職摘発を担う中央規律検査委員会などにより処分が公表されるのが通例だ。次世代リーダーの一人と目されていた重慶市党委員会書記の孫政才氏が2017年に解任された際には、その9日後に重大な規律違反の疑いで調査しているとの発表があった。
(産経新聞の記事から引用)
このように政府の要職にあった人物が何の説明もないまま更迭される事態を見れば、中国の国民も他国の人も政府内の権力闘争か、足の引っ張り合いなのかあれこれ憶測するしかありません
当然、中国政府への信頼は揺らぐわけであり、習近平政権を信用できないものと見なすようになります
加えて、中国恒大のような不動産会社の経営不安説が流れており、経済不安を伝える記事がメディアでも増えています。ますます「中国は危ない国」だとの印象が強くなります
78年前の戦争をとやかく言う前に、直面している問題を解決し、経済不安を払拭するのが先でしょう。が、習近平政権にはそれができないのではないか、との疑念がつきまといます
注記:中国では日本による侵略戦争を打ち負かし、勝利したのは中国共産党であるとの言い分があって(実際に日本に勝利したのは英米の支援を受けた蒋介石率いる国民党)、それが中国共産党による支配の正当性の裏付けとなっています。なので中国共産党は78年経っても、「日本に勝利したのは中国共産党である」とのキャンペーンを続けなければならない事情があります
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