プールで小学1年生死亡 何が問題か

夏休みに入り、各地で水の事故が相次いでいます。川遊びこどもが流されたりおぼれるという事故は毎年起きているのですが、「川に近づくな」と警告しても好奇心溢れるこどもたちに徹底するのは困難でしょう。特に夏休みともなればこどもたちだけで川へ遊びに行ったりするので、対策は困難となります。コンクリートで固めた護岸は水苔や藻がつき、大人でも登れないほどぬらぬらで滑りやすかったりします。なので、単に「危険だから近づくな」と警告するだけではなく、「何が危ないのか」を具体的に説明し、理解させる必要があります
また、本来は安全であるべきプールでも死亡事故は起きるのであり、安全を管理する立場の大人たちは気が抜けません
滋賀県長浜市の屋外プールで、児童クラブの引率で参加していた小学1年生の男子児童がおぼれ、死亡する事故がありました


滋賀県のプールで小学1年生の男の子が溺れて死亡しました。長浜市や放課後児童クラブなどは26日夜8時から記者会見を開き、謝罪しました。あわせて経緯を説明しています。
7月26日の午後1時半ごろ、滋賀県長浜市野瀬町のスポーツ施設「あざいカルチャー&スポーツビレッジ」にある屋外プールで、「小学1年生の男の子が溺れた」とプールの利用者から通報がありました。
警察によりますと、長浜市の小学校1年・田中大翔くん(6)が意識不明の状態で救急搬送され、その後、病院で死亡が確認されました。大翔くんは学童保育の活動でプールを訪れていて、当時引率者と小学生の子どもたち50人ほどがプールにいました。
警察はプールで子どもたちを監視していた引率者らから話を聞くなどして事故の状況を調べています。
会見で語られた経緯
「ご家族の皆さまと関係者の皆さま、決してあってはならない事故を起こしてしまったこと、深く心よりお詫び申し上げます。」
冒頭、長浜市から業務委託を受けている児童クラブ側から謝罪があり、その後、事故前後の経緯などが説明されました。
プールに入った児童は45人、付き添った職員は4人で、2人はプールに入り、2人はプールサイドで監視をしていたということです。田中くんは、午後1時ごろプールに入り、午後1時8分ごろ周りが異変に気付いたということで、プールのコースロープに覆いかぶさるような様子で動いていなかったということです。
深さは、浅いプールで60センチ、深い方は1.1~1.3mあり、田中くんの身長は120センチほどでした。また田中くんの水泳の習熟度を把握していたかという質問に対しては、「プールに行くのは今年度はじめて。1年生なので、的確に泳げるかどうかは把握していなかった」と回答しました。
田中くん以外の児童についても、「2年生以上は成長したと思うところがあったが、1年生については全く把握できていなかった」と話しました。いっぽうでどちらのプールで泳ぐかは、児童クラブ側では決めず、子どもに自由にゆだねていたということです。
(MBSニュースの記事から引用)


引率した職員が4人だと、浅いプールと深いプールにこどもが分かれた場合、監視する職員が足りなくなってしまいます。深いプールに職員4人が監視に当たり、そのうち2人はプールの中にいたとなれば、溺れてプールの底に沈んだこどもは発見できたかもしれません。しかし、溺れてうつ伏せ状態で浮かんでいるこどもに気づくのは難しいと考えます
45人のこどもたちがそれぞれプール内で遊んでいるとして、職員4人が個々のこどもたちの動きを把握するのも容易ではありません。単に監視役として状況を眺めているだけであって、個々のこどもたちの動き把握できていなかった(認識できていない)のでは?
自分が昔、アルバイトをしていた時、店舗で万引き犯を捕まえるのが上手な女性店員がいました。単に接客しているのではなく、店に入ってきた人の動作、表情、目の動きなど観察し、「怪しい」と思ったら徹底的にマークし、万引きしたところを捕まえるのです。監視とはこうした行動を指すのであって、単に眺めているだけを監視とはいえないのだ、と学生時代に知りました
警察の留置場や拘置所で自殺される件があったとき、多くの職員は「規定に沿って巡回していたが異常は見られなかった」と説明します。しかし、それは単に通路を巡り歩いていただけで、監房内の人の動きを観察していたとは言い難いのではないか、との疑念が残ります。「どうせ寝ているから」との油断もそこに加わります
児童クラブの職員たちは普段からこどもたちを見ており、プールでの監視も「できる」と思い込んでいたのかもしれません。が、本当にプールで遊ぶ45人を把握できていたのかどうか、疑問です
泳いでいるこども、はしゃいでいるこどもは目につくので認識できたとしても、コースロープにもたれて動かないこどもは目に入っても認識できていなかったのでは?
過去には子供会の行事で川遊びに出掛け、大人たちが付き添っていたにもかかわらず川を流されたこどもに気づかず、水死させる事故もありました。これも川に流されてしまったこども(不在のこども)を、大人たちは認識できなかったわけで、川からこどもたちが上がって人数を確認した際にようやく気づく、という事故でした。子供会が団体保険に加入していたため、そこから死亡保険金が支払われたと記憶しています
もちろん、親にすれば保険金を受け取って納得できるはずはないのですが

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