林真須美死刑囚 2度目の再審請求棄却
和歌山カレー事件で死刑判決が確定している林真須美死刑囚は2度めの再審請求を申し立てていたのですが、今年1月に和歌山地裁がこれを棄却していたと報じられています
林真須美死刑囚の1回目の再審請求時は、「週刊金曜日」などのメディアが応援団となり、有罪判決の決め手となったヒ素の成分鑑定に誤りがあったとする主張を大々的に取り上げていたものでした。原判決では林宅の台所から発見されたヒ素と、カレーから検出されたヒ素の成分が同一であるという鑑定結果(ヒ素の製造元によって混在する不純物の割合に特徴が出るため、どこのメーカーが製造したヒ素か特定できる)が有力な証拠とされたのですが、それに対して弁護側が別の鑑定を実施して2つのヒ素は別物であるとの結果を得たとして再審を請求したものです
しかし、この再審請求は棄却されています
2回目の再審請求は、裁判官を退職した弁護士が中心となって申し立てられました
1998年に和歌山市で行われた夏祭りで、カレーにヒ素を混ぜ殺害した罪などで死刑が確定した林真須美死刑囚が起こしていた2度目の再審請求を、和歌山地裁が棄却していたことがわかりました。
1998年7月に和歌山市で行われた夏祭りで、カレーにヒ素を混ぜ4人を殺害したなどの罪で死刑が確定している林真須美死刑囚は、「4人がヒ素により死亡したと立証する証拠がなく、第三者の犯行だ」などとして、2021年5月に和歌山地裁に対し、2回目の再審請求を行っていました。
この請求について、和歌山地裁が、今年1月31日付けで棄却していたことが関係者への取材で分かりました。林死刑囚側はこの決定を不服として、今年2月2日に大阪高裁に即時抗告したということです。
林死刑囚は2009年に1回目の再審請求を行いましたが、和歌山地裁と大阪高裁が棄却。最高裁判所へ特別抗告していましたが、これは2021年6月に自ら取り下げています。
2023年7月25日で発生から25年となります。
(MBSニュースの記事から引用)
裁判官を退官した弁護士はこれまでの裁判資料を読み、「これで林さんを死刑にするのは無理がある」と、裁判の杜撰さを見抜き2回目の再審を申し立てたと、過去には報道されていました
この2回目の再審請求に自信があったため、林死刑囚は1回目の再審請求(最高裁で争っている途中)を取り下げています
2回目の再審請求の中核は、死亡した4人の解剖結果でヒ素中毒以外の死亡原因が発覚していたものの、警察はこれを秘匿したというものです。当時、ヒ素中毒が直接の死因だと騒がれていたのですが、4人の中には青酸化合物によって死亡したと考えられる被害者がいた、というものであり、それが事実であるならヒ素を使用した林真須美死刑囚以外の第三者による犯行の可能性が浮上するという主張です
ただ、林死刑囚自身はヒ素をカレー鍋に混入させたとは認めていないのであり、林死刑囚以外の第三者が青酸化合物を混入させたとは言い切れません。林死刑囚がヒ素と青酸化合物の両方をカレー鍋に投入したとも解釈できるのであり、再審の決め手になるとは思えないのです
それにしても2回目の再審請求棄却(今年の1月です)があまり大きく報じられないのには、何だかなという気がします。今年の春、小さな囲み記事で2回目の再審請求が棄却されたとの報道は目にしたのですが、棄却の背景や事情が分からないためブログでは取り上げませんでした
次々と世間の注目を惹く事件が起こるのですから、扱いが粗略になるのはやむを得ないところですが
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