3歳児に熱湯浴びせ殺害 松原被告に懲役10年判決
大阪府摂津市のマンションで2021年、新村桜利斗(にいむら・おりと)ちゃん=当時(3)が熱湯を浴びて死亡した事件で、殺人罪などに問われた無職、松原拓海被告(25)に対し、大阪地裁は殺意を認めず懲役10年(求刑懲役18年)の判決を言い渡しています
抵抗もできない3歳のこどもに熱湯を浴びせ続ける鬼畜の所業です。これをなぜ「殺意は認められない」として殺人罪ではなく傷害致死罪と判断したのか、すこぶる疑問です
幾つかの報道を読み比べては見たものの、裁判官の判断の根拠がよく分かりません
おととし、大阪 摂津市で、3歳の男の子に熱湯をかけて殺害した罪などに問われた母親の元交際相手に、大阪地方裁判所は「被害者は全身に重いやけどを負っていて残酷というほかない」として懲役10年を言い渡しました。判決では「殺意は認められない」として殺人ではなく傷害致死罪を適用しました。
大阪 羽曳野市の無職、松原拓海被告(25)は、おととし8月、大阪・摂津市のマンションで当時、交際していた女性の長男で3歳だった新村桜利斗くんに、熱湯をかけ続けてやけどをおわせ殺害したなどとして、殺人などの罪に問われました。
検察が「高温の熱湯をかけ続けたのは残酷な行為で悪質だ」として懲役18年を求刑したのに対し、被告は「熱湯を浴びせ続けた事実はない」として起訴された内容を否認していました。
14日の判決で、大阪地方裁判所の坂口裕俊裁判長は、被告が熱湯を意図的に浴びせたと認定する一方「熱湯をかけることで死亡する可能性を認識していたとはいえず、殺意は認められない」などと指摘し、殺人ではなく傷害致死の罪にあたると判断しました。
そのうえで「被害者は全身に重いやけどを負っていて殺意がなかったとはいえ残酷というほかない。事件の前から虐待を繰り返しており強い非難に値する」として懲役10年を言い渡しました。
大阪地検「判決内容精査し適切に対応したい」
判決について、大阪地方検察庁の北岡克哉次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」としています。
(NHKの記事から引用)
別の報道によれば、『判決理由で坂口裁判長は、桜利斗ちゃんのやけどが全身の90%に及んでいた状況から「熱湯がまんべんなく触れる必要がある」と指摘した。偶然、熱湯がかかっても回避行動をとるはずだとして弁護側の主張を退け「意図的にシャワーを浴びせる以外の方法は考えられない」と認定した。
ただ殺意については「60度の湯をかけて人が死ぬとまで考えるかについては疑問の余地がある」と言及。救急隊員が駆け付けた際は桜利斗ちゃんの体に出血や水疱がなく、殺害する動機もうかがわれないことを踏まえ、「深刻な状態と認識しなかった可能性も否定できない」とした』と書かれています
これを読んでも判決に対する疑問は解消されません。炎で焼かれたわけではなく熱湯を浴びせたのですから、皮膚が焼けただれていたり黒く変色しているはずはありません。裁判官は、火傷=皮膚がめくれ水ぶくれができる、という憶測にとらわれた上で判断しているのでは?
毎度のように日本の裁判は「殺意の有無」という、外から見えない何かを基準にしており、これも止めるべきでしょう。被告が認識しなかったのであれば首を絞めても、刃物で刺しても殺人罪には問えないのか、と
百歩譲って傷害致死罪を適用するとしても、傷害致死罪の上限は懲役10年ではありません。懲役15年を科すのも法律の範囲内です
検察は控訴し、高等裁判所の判断を仰ぐべきでしょう
「こどもが死んでも構わないという未必の故意があった」と、殺意を認定できるのでは?
追記:桜利斗ちゃんが通っていた保育園の保育士の話として、園でシャワーを使う際に桜利斗ちゃんが逃げ回っていたと言い、松原被告が以前から熱湯を浴びせる虐待を繰り返していたのではないかと疑いを提起しています。が、これも虐待の証拠とするには弱く、虐待を継続していたと疑わせる背景の一つ、という扱いでしょう
追記:検察は控訴を断念しましたが、松原被告は懲役10年を不服として控訴しています
追記:検察は控訴を断念しましたが、松原被告は懲役10年を不服として控訴しています
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